平成27年8月期 第一級アマチュア無線技士試験対策の記事まとめ

2015/08/20(木)21:16

3組の共振回路(6個のLC)からなるT型フィルタ。その特性と名称

1アマ試験対策(44)

<解答>  問題の回路図はFig.HB0701_aの上の帯域通過フィルタですから、正解は3と分かります。 <解答>  問題の回路図はFig.HB0701_aの下の帯域消去フィルタですから、正解は2と分かります。 <<解説>> [1]共振回路はフィルタになる  問題の図の回路を見ると、T字を構成している各エレメントが、直列、又は並列の共振回路からなっていることが分かります。  詳しくは、共振回路の問題の解説をご覧いただきたいのですが、共振回路は、その使い方によって、帯域フィルタ(バンドパスフィルタ)、又は帯域除去フィルタ(バンドエリミネーションフィルタ)として動作します。  これを理解するために、共振回路の性質を少し復習します。 ・直列共振回路  共振周波数でのインピーダンス…最小  流れる電流…最大 ・並列共振回路  共振周波数でのインピーダンス…最大  流れる電流…最小 でした。これをフィルタに用いると、インピーダンスが最小になれば電流が共振回路の向こう側に抜けることができ、最大になれば手前に跳ね返されてしまう、というイメージを持って、再び回路図を見てみましょう。 [2]各エレメントの動作 Fig.HB0701_a T形フィルタの原理  Fig.HB0701_aにこの形をしたフィルタの概念図を示します。上が帯域(通過)フィルタ、下が帯域除去(消去)フィルタです。各エレメントは共振回路を示し、緑の箱が直列、黄色の箱が並列の共振回路を示します(箱の中の「曲線」は透過特性を示します)。 <T形フィルタの原理>    これらについて、3つの共振回路がそれぞれどのように動作するかを考えてみます。各共振回路の共振周波数はすべて同じで、それをf0とします。  まず、上の帯域フィルタについてみると、信号線に繋がる2つの共振回路は直列共振なので、f0の信号以外に対して高インピーダンスで、A側からB側に抜けられませんが、f0の成分のみB側に出られます。  一方、真中は並列共振回路ですから、f0以外の信号は低インピーダンスでコモン(GND)に落ちてしまいますが、f0に対しては高インピーダンスです。  結局、この回路の総合特性としては、A側に入力されf0の成分以外はB側には、非常に通りにくいものの、f0成分は通すようになっています。つまり、特定の周波数(=f0)のみを通過させる「帯域通過」フィルタとして動作します。リグに付いている、バンドパスフィルタですね。実際にはこの回路のようにピンポイント周波数ではなく、ある幅を持たせることが多いので、Qを調整したりして幅を調整します。  同様にして、下側の帯域除去フィルタについて見てみます。信号線に繋がる2つの共振回路は並列なので、f0の信号のみ高インピーダンスで、A側からB側に抜けられませんが、f0以外では(減衰はあるものの)B側に出てきます。  一方、真中は直列共振回路ですから、f0の信号は低インピーダンスでコモン(GND)に落ちてしまいますが、それ以外の周波数成分に対しては高インピーダンスです。  結局、この回路の総合特性としては、A側に入力されたf0の成分はB側には非常に通りにくいものの、他の成分は通すようになっています。つまり、特定の周波数(=f0)を除去する「帯域除去(又は消去)」フィルタとして動作します。リグに付いている、ノッチフィルタがこれです。これも周波数にある幅を持たせるために、Qを調整します。 以下、画像で覚える。 [1]フィルタの4パターンとその性質 [2]実際のフィルタの構成法 その1 LPF・HPF [3]実際のフィルタの構成法 その2 BPF・BEF [4]共振回路はフィルタになる [5]共振回路の組合せでもっと急峻な特性を得る 出典:3組の共振回路(6個のLC)からなるT型フィルタ。その特性と名称1    3組の共振回路(6個のLC)からなるT型フィルタ。その特性と名称2    フィルタの減衰特性のグラフからそのフィルタの名称を答える

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