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カテゴリ:格差社会
ときならぬ「蟹工船」ブームだという。
文庫本が増刷しても追いつかないほど売れているという。 それもカラマーゾフと違って若い人が買っていくという。 ひろがる一方の格差、そして貧困があの多喜二の世界とシンクロするのだろうか。 今の貧困は昔の貧困と違う。 昔の貧困はたいてい子沢山、老人、病気の妻など扶養負担とセットになっていた。 でも今は健康な男が家族も持たない、酒やギャンブルもやらないのに、自分の生計もたてられないでいる。 こんなタイプの貧困はかってはなかったのではないか。 もう一つ昔と今とで違うところがある。 よいとか悪いとかではなく昔は貧困に階級のようなものがあった。 貧困な家庭に生まれた人が貧困層に落ちる可能性が高いというような・・・。 でも今は違う。 中流家庭で大学をでた若者がワーキングプアになっていく。 機会の平等とはいうけれども、どうやらそれは貧困の可能性の平等という意味でもあるらしい。 そんな貧困者に対して自己責任をいう人は多い。 スキルをみがかないせいだとか、努力をしないせいだとかと。 そしてまた格差は乗り越えられる、乗り越えられないのならあんたが悪いと。 貧困者の側も自分を責めて自信や誇りを失っていっているようにも見える。 本当にそうなのだろうか。 貧困といったって明日のわが身。 格差の烈しい社会は多くの人にとって生きにくい社会なのではないか。 自分ばかり責め、自信を失っていた若者が、あの蟹工船のように誇りある労働者として立ち上がってくれれば、そうなったら社会も変わっていくのではないか。 changeというのは米国大統領選挙だけの話ではない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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先日文庫本を買いました。レジで「ブームに乗せられてるヤツ」と見られてないだろうかと余計な気恥ずかしさでした。電車内では「アカ」だと思われないかと気にしながら読んでいます(笑)
蟹工船の結末も面白かったですが、もう一編の「党生活者」もより興味深く面白い。そう、「面白い読み物」という範疇を越えませんね、自分には。 >誇りある労働者として立ち上がってくれれば、そうなったら社会も変わっていくのではないか。 本の中での、労働者達が結束していく様子がなるほどと思うのですが、やはりまとめ役のような人物が出てこないと無理かと。今はこの小説の時代より個の時代で育ってきた人が多いですから、結束して世の中を動かすより単発の犯罪や自殺などに現れてくるのではという気もしました。大きな流れにはまだまだならないのではないでしょうか。 (2008年05月15日 06時33分30秒)
slash555さん
>電車内では「アカ」だと思われないかと気にしながら読んでいます(笑) その「アカ」というマイナスイメージをすりこんだ戦前のマインドコントロールってたいしたものでしたね。今では「アカ」というのは死語でしょうけど。 >蟹工船の結末も面白かったですが、もう一編の「党生活者」もより興味深く面白い。そう、「面白い読み物」という範疇を越えませんね、自分には。 「党生活者」も読んでみます。 >今はこの小説の時代より個の時代で育ってきた人が多いですから、結束して世の中を動かすより単発の犯罪や自殺などに現れてくるのではという気もしました。大きな流れにはまだまだならないのではないでしょうか。 蟹工船のように一つの固定された職場に同じ立場の労働者が多勢いるような状況だと団結もしやすいけど、今の貧困層は電話一本であちこちをわたりあるく派遣が中心ですから結束が難しい。 ただ行動は団結だけではありません。 投票だって立派な「行動」ですし、ネパールはそれで革命に等しい変化を招来しています。 そんな貧困層の声をうけとめる政党がでてきたらよいのですが。 「たしかな野党」には期待しているのですが、「9条を守れ」とか「減税」とか書いてあるポスターをみるとげんなりしますね。 9条よりも25条を前面に出して税金も払えない貧困者向けに支援を訴えれば政治勢力として大躍進するはずなのにね。 (2008年05月15日 06時57分49秒) |