|
テーマ:最近観た映画。(38812)
カテゴリ:映画
原作に忠実に映画化すると冗長になりかねないが、映画はそうした部分をうまく取捨選択し、しかも音楽映画にはよくある演奏家が遅れそうになる場面も設けて、よくできている。そのため、原作とはまた別の面白さをもつものに仕上がった。
人間関係は大幅に整理され、天才の若者三人と生活者代表の音楽家、そして彼を取材する女性に集約されている。若者らが海岸を散歩する場面も、その近くに音楽家と記者もいるという構図にしてまとめている。それに女性記者の配役もよい。大学時代からの友人という設定だが、記者の方は淡い恋心を抱いているようにもみえるが、音楽家の方は全く異性としては意識していない。これが美人女優だったら不倫のような関係にみえたかもしれない。 それにしても音楽の世界でドラマを描くのは難しい。 才能が明確に分かる世界なので、スポーツのような一発逆転のドラマは起こりにくい。そしてまた、その才能の差というのはけっこう明らかなので、嫉妬や確執もドラマにしにくい。そういえば原作でも人間同士の葛藤は、あまり描かれていなかったようだ。となると、残りは純粋な音楽の素晴らしさで、それが「世界は音楽で満ちている」という若き天才たちの持つ世界観につながっていく。そういう感覚というのは、凡俗には分かりようもないのだが。ただ、この映画を見た後、作中で使われた楽曲を聞きたくなったという人は多いのではないか。プロコフィエフのCDが急に売れ出したというのなら、間違いなくこの映画の影響だろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画] カテゴリの最新記事
映画化不能を映画化したというのがうたい文句でしたね。
原作を読んでから観るべき作品でしょうか。 (2019年10月18日 17時07分52秒)
maki5417さんへ
ものによっては原作を先に読んだ方がよい映画というものはあるのかもしれませんが、この映画に限っては原作とは別物ですので、全くその必要はないですし、映画は映画として楽しめます。原作では音楽の場面に合わせて、それで思い浮かぶ情景などを詳細に描写し、それが「読ませどころ」でもあるのですが、映画はそれを全く捨象していますから。 (2019年10月18日 18時07分10秒)
昨今の映画を拝見、といってもレンタルDvDですが、映画館で見るものではないですね。賛否ありますが、映画館のスクリーンでは大きすぎて、どうも現実離れした感があります。
テレビで見た世代かもしれませんが、映画館は現実の視点では捉えきれず、最後まで意味不明のままで終わった感があります。いままで見た映画を映画館で見たら、なんだかわからないで終わったでしょう。 (2019年10月19日 20時20分08秒)
赤いオーケストラ荒木さんへ
娯楽で一日を過ごすという意味では、映画から食事と言うのは一つのパターンでしょう。他にスポーツなどの趣味があればともかくそうした娯楽の需要ってあると思います。 ただ映画そのものを楽しむなら録画やDVDでも十分ですね。途中休憩もできますし、つまらなければ途中でやめることもできますから。 (2019年10月20日 08時41分58秒) |