受験関係の話題は当事者以外はあまり関心がなく、おかしな政策でも話題にもならずにたんたんと進められていく。大学入試における民間企業の英語検定試験導入の話もそのひとつなのだろう。2020年からの導入が決まってから、急に議論が勃発したのは、大臣の「身の丈発言」がある。金持ちの子供が有利という質問に身の丈という言葉を使ったのが反発を買ったわけである。
ところでこの英語検定試験導入の問題であるが、本当に金持ちの子だけが有利ということにあるのだろうか。別に試験そのものは、金持ちだろうが貧乏人だろうができる子はできるし、できない子はできないのだから、さして有利不利があるとも思えない。ただ、受験生の心理として、こういう試験があれば金の許す限り何度でも受けるだろうし、そのための家計負担も相当なものになる。大学の受験料というのは添削して返すわけでもないのに、何万円もとるのはボッタクリだと思うが、こういうおいしい収入を民間企業も得ようというのがその狙いなのではないか。そのうちだれでも知っている老舗の検定だけではなく、官邸に近しい業者もこの英語検定業務に参入するつもりだったりして。
思うに英語検定試験導入の問題は決して「金持ちが有利」という点だけにあるのではない。どの大学にも英語の授業はあり、大学ごとに英語の試験ができないなんてわけがない。そんな問題のないところに、英語検定試験導入の議論が起きたのは、やはりこうした業界の利権がからんでいたのではないか。教育行政が利権によってゆがめられていることこそが大きな問題のように思う。
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