内閣府調査によると、女性が出産後も仕事を続けた方がよいと考える人が初の6割超えとなったという。昨今の雇用情勢を考えれば、安定した企業の正社員や公務員の職を得た人は、絶対に出産を契機に辞めるということは考えないだろうし、回答者を職業別に分析すればそうした女性やその配偶者ほど「出産後も仕事を続けた方がよい」と答えたことは容易に想像できる。
ダグラス有沢の法則というのがあり、世帯主の男性の収入が高いほど妻の就労率は減るということなのだが、これも最近ではあてはまらなくなっているのではないか。身も蓋もない言い方なのだが、条件の良い安定した職業に就くような、いってしまえば優秀な女性ほど配偶者には自分と同等かそれ以上の人を選ぶだろうし、逆に条件の良い職につけなかった女性が人生の一発逆転を狙って婚活に励んでも、成功することもあるだろうけど、そうでない場合も多い。そしてまた不安定雇用だと女性が出産後に働くなどほとんど不可能である。かつては専業主婦というのは憧れであったのかもしれないけど、最近では「やむを得ず専業主婦」というケースもずいぶんとあるのではないか。
また、最近では、結婚観についても男性だからとか、女性だからとかいうのも、なくなってきているのかもしれない。最近の事件で高校の女性教師が10歳年下の無職男性と結婚していたという例があったが、これは男女逆にすればきわめてありふれた夫婦で高校の男性教師が10歳年下の専業主婦がいても話題にもならない。有名女性タレントと60歳の高級官僚とが結婚したという話題も、男性が初婚であることに驚く向きもあったのかもしれないが、これも高スペックの女性ならふさわしい相手がいずにいつまでも独身でいても誰も驚かない。このように、家族という最小の単位でみても、世の中の在り方はずいぶんと変わってきている。