|
カテゴリ:雑感
韓国映画「パラサイト」が世界的に大好評だという。
面白い映画なのだが、そこまで大好評だという理由がよくわからない。 先の読めない展開やどんでん返しは荒唐無稽と紙一重でもあるし、それに、正直言って格差を描いたという割には、格差を感じないのはこちらの感性がおかしいのだろうか。 たしかに、富豪の高台の家と貧しい一家の住む半地下の家は天地ほどの差異がある。でもそれは衣食住の住居の格差であり、食の差はそれほど描かれていないし、衣服に関しても貧しい一家の娘も息子も服装だけでは貧困家庭の出身だとはわからない。映画の中では半地下家族には「同じ匂い」がするという台詞があるが、これも逆に言えば匂いではわかっても見た目ではわからないということだろう。 そして格差の真因だとさえも思う知的格差や情報格差。これも貧しい一家の息子と娘が、富豪一家の息子と娘の家庭教師になり、娘の方は多少インチキなのだが、それでも別に支障なく勤めている。そのうえ、息子はなかなか優秀で難関大学を受験している様子もある。 同じ貧しい家族を描いた映画であれば「万引き家族」の方にずっと格差を感じるのは、これが日本映画で背景が身近なことによるのだろうか。「万引き家族」の父は万引きぐらいしか子供に教えてやれないというダメ親父で、母親も似たようなもの。そして祖母の離婚した夫と後妻との間にできた息子の一家が住む瀟洒な一戸建てが万引き一家の木造住宅と対比をなしている。 ただ裕福な一家の不出来な娘は万引き家族に入り浸り、家族からは「いないこと」にされているというエピソードは印象的だった。そういえばハンセン病の元患者も家族や親族からは存在を消され、いないことにされていたというが、こうした家族を世間体からか社会的にはいないことにしてしまうのは日本独特の現象なのだろうか。ちょっと気になるところである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[雑感] カテゴリの最新記事
|