以前、この著者の大ベストセラー「バカの壁」を読んだことはある。面白くいっきに読んだが、じゃあ、何だったのかと問われると困るように思ったことがある。「ヒトの壁」も同じような感じである。読んだよといって見て、じゃあどうだった?と問われると、はてどうなんだとたぶん答えに窮するだろう。そういう本である。「バカの壁」は自分流に解釈すると思い込みが理解を妨げていることが多いという示唆が面白かった。
「ヒトの壁」も、わからないことがあることを認識すること、まあ、何もかも理屈づけするのは無理だと諦めることと、自分流に解釈したのだが、これも著者の言いたいことのごくごく一部なのだろう。声高に何かを訴える本ではない、かといって随想というものでもない。いって見れば素晴らしく頭がよく知識もある人の雑談を聴いたような読後感である。まあ、新書版で値段もさほど高くないし(自分は借りて読んだのだが)、さっと読めるので時間も使わない。暇があったら、まあお薦めの本である。
作者は誰知らぬ人もない「知の巨人」だと思うのだが、子供の頃の想い出や愛猫のエピソードが面白い。愛猫マルについては写真も掲載してあり、その名のとおり丸々した実に可愛い猫である。今はもう故人ならぬ故猫になっている。
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