日本三景といえば松島、宮島、天橋立をいうのだそうだ。いずれも交通便利なところにあり、昔から旅人の生きやすいところが選ばれているのだろう。今では山間にまで道路ができ、交通手段も発達しているので日本三景をしのぐ絶景はいくらでもあるのだろう。その日本三景であるが松島と宮島は行ったことがあるが天橋立はまだ行ったことがない。どうも日本海側のあのあたりというのは関東からだと、なかなか行く機会のない場所なのかもしれない。
その代わりといってはなんだが、天橋立のような砂州の地形は東京の近くにもある。千葉県の富津岬である。東京湾に細長く伸びる岬で、その先端には明治百年記念で建てられたという展望団がある。五葉の松を象った形ということで、いくつもの円形の展望台が松の木のような形に連なっているので、すこし階段を上がると展望、さらにもう少し上がると次の展望となっているので、苦行のように階段を上らなくてもすむ。ちょうど海が西に開けているので、夕方になると夕陽をみるために多くの人が集まってくる。天気が良ければ、富士山もよくみえる。そして日が沈むころには、向かいの観音崎の灯台が点滅をはじめる。この富津岬と観音崎を結ぶ線が狭義の東京湾で、世界でも有数の過密航路である。