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2022年05月23日
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カテゴリ:読んだ本
古典中の古典の歌集なので「読み終えた」という表現が適当かどうかはわからないが、山家集を読んだ。あらためて解説を読むと、作者西行法師の生きた時代は保元平治の乱から、源平合戦(治承寿永の乱)に重なる。晩年には源頼朝とも会っているのだが、源平争乱に関する歌は全くない。それよりも出家前は武士として崇徳天皇に仕え、保元の乱に敗れて剃髪した崇徳院の下にもはせ参じているので、崇徳院との交流を歌った歌、そして崇徳院を偲ぶ歌が何首かみられるのが、歌集の中の歴史的事件の反映といえるのかもしれない。和歌の名手としての崇徳院を称え、そして崇徳院の亡き後には讃岐での跡を訪ね、無常を嘆じている。

よしや君 昔の玉の ゆかとても かからん後は 何にかはせん

それ以外にも、叙景歌や恋歌、仏道を詠ったものなど、収録されている歌は変化に富むのだが、やはり数が多いのは桜を詠んだ歌と月を詠んだ歌である。その意味でやはりこの歌集を一読した後、一番この歌集を代表するにふさわしい歌はあの「ねがわくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃」になるのではないか。満開の桜はすぐにでも散り始めるし、望月は欠けていく。一瞬の中に凄絶な美があるのだが、その背後には滅びの宿命がある。
西行法師の見ていた世の中もまた様々な人物が栄華を極めたかと思うと没落していった時代でもあった。

こうした源平動乱を背景にした歌集には「建礼門院右京太夫集」もある。こちらは作者の恋人が平資盛だったこともあって、女房の目から源平動乱を見ている。建礼門院右京太夫は、星についての以下のような和歌を遺しており、これと思い合わせると西行法師は月についてはあれほどの数の和歌を遺しているのに星についての歌がないのは不思議な気がする。まあ、近眼だったとかそういうつっこみはなしにしてだが。

月をこそ眺め慣れしか星の夜の深きあはれを今宵知りぬる






最終更新日  2022年05月23日 19時03分05秒
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