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カテゴリ:読んだ本
最初にこの著者を知ったのは受験勉強の効用についての一連の教育評論だったかと思う。当時、受験競争の弊害はさんざん言われていたので受験を肯定的にとらえたいわば「逆ばり」の論客だったのだが、文章は読み易く、言っていることももっともと思わせるものがあった。さらに勉強法についての著作、「受験のシンデレラ」という受験勉強を肯定的にとらえた映画の監督などもやっていて、そうした分野の専門家かと思っていて、精神科医というのは知っていたのだが、高齢者専門だとは知らなかった。
名の売れた論客が、「高齢者医療の専門家」を前面に出して、高齢期の生き方を書く…となれば、ベストセラーになるのは最初から約束されたようなものだろう。たまたま貸してくれる人がいて読んだのだが、文章は読み易く、おまけに高齢者を意識して字も大きい。そして読んだ後は「元気をもらった気」にもなれる。要するに、最近、売れている著名人が高齢期の生き方を指南する本と同じようなパターンである。書いている方は高齢でも仕事と金がありあまっている方だし、読むほうも金がないわけではない高齢者やその予備軍なのだから、ちょうどよいのだろう。 ただ、この本は、高齢になったら好きなことをやろう、脳を使おう、老化を肯定的に考えようというだけではなく、数値は気にするな、薬は飲み過ぎるなと書いているのが目あたらしい。そして子供のために金を遺すなとも言っている。 そうした目で見ると、今のネットというのはこれからの高齢者のためにあるようなツールなのかもしれない。リアルな付き合いの代わりになるかどうかは知らないが、ネットによって様々な人とつながることができる。そして動画サイトも含めて、気の向いたときに興味をもったことを勉強しようとすれば、様々なものが用意されてある。さらに興味を持てば図書館で本を探せばよい。よくおじゃまする受験算数のサイトなど、コメントをみると主流は勉強熱心な小学生ではなく、脳トレ目的でやってくる年配者ばかりのようである。 はなしはそれたが、「80歳の壁」は読む機会があったら読んでみて損はない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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