七詩さんのHP

2023/02/01(水)17:40

少子化論議に欠けている視点

雑感(731)

少子化に関する論議がさかんである。少子化が問題であるということを前提にして、どうやって出生率を回復するかを考えた場合、結婚に対する支援と子育てに対する支援との二つが問題となる。出生はあくまでも結婚が前提であるということが当然視されているわけである。しかし、世界に目を転じると、出生数のうちでの婚外子の比率はフランス57%、イギリス48%、ドイツ35%、アメリカ40%で、これに比べると日本の2.3%というのが異様にみえる。 https://www.foresight.ext.hitachi.co.jp/_ct/17230320 もちろん家族や出生についての考え方はそれぞれの文化や社会風土によって異なり、欧米がよくて日本が遅れているとかだめだというわけではない。しかし、歴史の潮流は個人の自由な選択を認め、いわれなき差別や偏見を排除する方向に動いていることは否定できないだろう。もし、日本の婚外子の比率の少なさが日本の美風だというのであればよいが、非婚の母やその子供に対する差別の結果だとしたらそれはそれで問題のように思う。 未婚者の中には経済的理由で結婚など考えられないという人が相当数いると思うが、どうもそうした方面の対策には政権はやる気がないらしい。そうであるならば、経済力はあるし、自分の子供はほしいのだが、適当な結婚相手に巡り合えないという人が、できるだけ子供を持つようにすることが、出生数向上の鍵なのではないか。もちろんその層がマッチングという形で結婚をすればそれにこしたことはない。しかしそこで問題の現実がある。 男性は低収入ほど未婚率が高く、女性はさほどでもないが高収入で未婚率が高くなっているのである。 https://woman.nikkei.com/atcl/dual/pwr/029/45/ 高スペック女が低収入の男と結婚する気になるとも思えず、独身男女のマッチングというのも無理がある。 婚外子を推奨するわけではないが、安定した収入のある女性が、非婚であっても子供を持つという選択に、日本の社会はもっと暖かくあっても良いように思う。政治や行政は人々の意識を強制的に変えることはできないが、離婚や死別の場合に認められている寡婦控除のような優遇を非婚の母にも拡大するなどの制度面の差別をなくすことはできるように思う。

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