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テーマ:ニュース(95798)
カテゴリ:事件・犯罪
京アニ殺人事件の動機が次第に明確になってきつつある。犯人は長期間かけて長編小説を執筆しており、それが京アニ主宰の公募で落選したこと、しかも、その応募した小説のネタが他の作品でパクられたことで怒り心頭に達したらしい。それだけではなかなか理解しにくいのだが、掲示板上で犯人は京アニの女性監督と名乗る人物とやり取りをしており、その相手に恋愛感情をもっていたという記事もあった。普通は小説を書いたところで、それがすぐに入選するとは思わないし、落選したから怒るということもない。ただもし掲示板上で女性監督なる相手とやりとりをして褒めてもらったりしたら状況は変わる。地を這うような生活で、唯一の希望は入選して「上りエスカレーター」に乗ることになるのではないか。人は信じたいものを信じる。特に窮地にある場合はなおさらである。普通はネット上の相手の肩書をうのみにするようなことはないのだが、犯人にとってネット上の「女性監督」は救世主のようにみえたのかもしれない。 次に犯人の言うパクリである。落選作品でも候補に残るようなものは、編集者や関係者の記憶に残り、そうしたものがアイディアとして使われることもあるかもしれないし、ないかもしれない。特に日常系アニメでは小ネタが重要なので、落選した作品の中にも使える小ネタがあるだろう。ただそうしたものをどこまでパクリと言うかは難しい。 また、もっと大きなネタやアイディアで複数の作家に使われているものもある。体はそのままで心だけが入れ替わる「入れ替わりネタ」はけっこういろいろなアニメにあるようだし、韓ドラの「シークレットガーデン」などの実写ドラマや映画にもある。最初は映画「転校生」の原作あたりかとも思ったが、「あばよ!明日の由紀」(1969年、光瀬龍)の方が初出かもしれない。 無作為に選ばれた人間が死を宣告されるというのも星新一の「生活維持省」が初出かもしれないが、その後、コミックなどでこういう話が現れている。タイムマシンや透明人間もウェルズが初出だが、その後も何度もこのテーマが使われているのは周知のとおりだ。 従って、落選を恨むのもパクリに怒るのも大量殺人の動機としては理不尽極まりないのだが、社会の底辺でのたうちまわっていた犯人にとっては、作品の入選が唯一の希望だったのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年09月22日 08時14分28秒
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