七詩さんのHP

2024/04/26(金)17:53

消滅自治体の前に県の統廃合

雑感(690)

全国で今後消滅の可能性のある自治体として744の市町村名が公表され話題となっている。 実際に東京から日帰り圏のところでも、棄農地と廃屋ばかりがめだつところがあり、いずれは自治体としてなりたたないというのもうなづける。また、農村地域でなくとも、一戸建て志向が強い時期に鳴り物入りで開発されたニュータウンが住民の高齢化で半ばゴーストタウンのようになっているところもある。かつてはスーパーがあったところが撤退し、建物だけが残っているのに実際は空き店舗ばかりという具合だ。一戸建ての住宅群はそれぞれ瀟洒なつくりであるのに、道路が森閑としているのが不思議な感じすらする。まあ、半ば限界集落したところは都心の団地にもあり、こういうところも、見上げても衛星放送のアンテナがほとんどない、人が歩いているのを見かけない、店も少なく活気がないなどの特徴がある。 人口が減っていくとはこういうことである。 自治体も消滅していくのかもしれないが、その前におそらく県の統合が問題になるのではないか。明治後期以降、今の47都道府県は変わっていないのだが、人口は大いに変動し、いまや100万にも満たない県が相当ある。そうした小規模な県も県庁があり県議会があり市町村があり、国立大学があり、裁判所があり、県警本部がある。行政の無駄というよりも、そもそもそんな小規模の自治体が県でありつづけることに無理があるのではないか。 例えば刑事事件などはそれぞれの県毎の裁判所が所管するが、今は裁判員と言う制度があって、その県から選ばれた裁判員も裁判に参加する。都市の感覚だと、事件関係者のプライバシーの問題と言うのは実感しにくくても、例えば板橋区程度の人口数十万の県での事件を裁判員裁判にかけるとなると、被害者の中には事件を警察に届け出るのを躊躇する人も普通にでてくるだろう。また、せっかくの国立大学も人口数十万の県では優秀な若者を集められるのだろうか。かつてのように国立の授業料が安くなくなったとなればなおさらである。地元の国立大学がFランに近い水準になってしまったら、そうしたものをはたして税金で維持する必要があるのだろうかという議論もでてくるだろう。

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