|
カテゴリ:雑感
以前の日記で選挙民を二つの軸で四つに区分してみたことがあった。 政治に対する関心の多寡と現状に対する不満の有無である。政治に対する関心が高く現状満足のA層、政治に対する関心が低いが現状に満足のB層、政治に対する関心が高く現状に不満のC層、政治に対する関心が低く現状に不満のD層である。かつて話題となったB層もこれと似たようなものだろう。これは、ワイドショーなどの影響を受けやすく、じゅんちゃ~ん、かっこいいと総理の個人的人気を支えた層でもある。 たぶんこの区分は海外でも似たようなものなのかもしれない。 そこで、昨秋に行われた米国大統領選挙について考えてみる。 A層とC層の総計、そしてB層とD層の総計はいつの時代も似たようなものだろうけど、B層とD層は時代とともに入れ替わっていく。豊かで陽気な米国と言うのは過去の話で今の米国には膨大な貧困層がいるという。こうした人々は普段は選挙に行くことも少ないし、社会的にも可視化されにくい層なのかもしれないが、マスコミや識者の予想に反した選挙結果は、このD層が動いたせいだとみることができる。 B層とD層の大きな違いはマスコミの影響を受けるかどうか、人気者の言説に左右されるかどうかである。大統領選では主だった新聞や人気者のセレブ達はほぼ対立候補を応援した。しかし、D層にとってはマスコミ人士やセレブもしょせんはあっち側の人間であり、そんなものには左右されない。じゃあなぜD層は動いたのか。ここは米国事情に詳しくないので、まったくの想像なのだがネット動画などの新媒体の力があるのではないか。ネットには政治家や政党の主張を短くわかりやすくまとめた動画があふれている。米国でも似たようなものであろう。そうしたものは休憩時間にスマホをいじりながらでもみることができる。発信者も大マスコミではないごく普通の人間であるので、かえって信用できると思うかもしれない。 強固な二大政党制の国の米国では現大統領がD層の不満を受け止めるとも思えないが、移民排斥の主張は移民のために職を奪われている、労働条件が低下していると思っている人々には共感をよぶ。実際にD層の不満を受け止める政策を提言していたのは社会主義者を自称するサンダースであり、サンダースが候補にならなかったことで、民主党から共和党に移った票がかなりあるという分析があるというが、実際にそうだろう。 以上は米国の話であるが、ネット媒体の出現とマスコミの影響力低下は米国だけの話ではない。これからは、世界のあちこちでマスコミの制御を超えた選挙結果がでてくるのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[雑感] カテゴリの最新記事
|