2022年05月12日

終戦と占領

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映画「この世界のかたすみに」で印象的な場面がある。戦争が終わった街に米軍がやってきてチョコレートなどを子供に投げ与える。主人公達は米軍からきたソーセージやハムの入ったスープをおいしそうに食べる。こんな場面だったと思う。原子爆弾はもちろんのこと、空襲でも家族を失った人は多かっただろう。そこに米兵がやってくれば、復讐を考える人がいそうなものだけれども、米軍に対する抵抗反撃運動が起きたという話は聞かない。それはどういう経路だったから知らないが、米軍から食料が供給され、大規模な飢餓が起きなかったということがあるのかもしれない。戦争は勝つのも大変であるが、抵抗運動に悩まされずに占領を持続するのも難しい。米軍の統治が成功したのは、なによりも、米国に食糧を援助するだけの経済力があったということが大きい。逆にいえばこれほどの経済力に差異があるのに、そもそもそうした国相手に戦争を起こしたこと自体が悪手だったのだろうけど。
そしてまた、太平洋戦争では日本中が焦土になったというわけでなく、農村地帯はほぼ空襲を免れていた。そうした農村では人手不足はあったものの、春には種がまかれて、それなりの収穫があったわけであるから、それも極端な飢餓におちいるのを救ったことだろう。祖父母の家は農家であり、祖父は戦争の頃にはかなりの齢であるし、伯父はまだ若く、戦争に行った人もいないし、爆弾も農村には落ちなかった。自作農だったので、戦後の農地改革による困窮も免れた。戦争の被害は少なかった方なのだが、それでも終戦まもない頃には、「新潟にソ連軍が上陸してもうすぐこっちにやって来る」という噂があり、米俵を土蔵に隠し、娘たちはこぼれた米を掃いて隠したのがわからないようにしたという。母はそんな想い出をいかにも怖そうに話していた。





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最終更新日  2022年05月12日 07時22分27秒
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