@itan-journ@l

2011/01/24(月)22:18

『高名の依頼人』~シャーロック・ホームズの冒険

海外ドラマ:シャーロック・ホームズの冒険(14)

☆☆英国グラナダテレビ制作のドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」の感想です。ネタバレがあるので未見の方はご注意ください。また、エピソードを鑑賞後の方がより楽しめるレビューになっているかと思います☆☆子供の頃に触れるホームズ物語はたいてい「まだらのひも」(私はこれがファーストホームズでした)、「青い紅玉」、「赤毛連盟」、長篇では「4つの署名」、「バスカビル家の犬」等だと思います。どれも動物が出てきたりで冒険色が強いメジャーなものばかりですね。でも子供達は大人になってから他のホームズ物語に触れて驚くのです。ホームズが失敗する話やコカイン中毒なことを発見し、その他の物語の中に思い掛けないものを見つけて改めてホームズ物語の深遠を覗き込む事になるのです。 前置きはこれくらいにして、私が一番言いたかったのはこの話は非常にエロだということなのです。研究書(「シャーロッキアンは眠れない」飛鳥新社刊)などでヴィクトリア朝時代は非常に性道徳が厳しくて(表向きは)ホームズ物語にも抑圧された性描写が実はある、というのを読みました。例えば「美しい自転車乗り」はレイプで「花婿失踪事件」はインセストというタブーが隠されているらしい。でもこの話はオブラートに包まれる事はおろか、まんまです。前出のようなタブーではありませんが、スキャンダラス・イナフなのは否めないでしょう。今回の悪役は女性収集するエロ男爵なのですから。中国の陶器と女性収集が趣味のグルーナー男爵。彼にとって陶器と女は一緒です。今までに収集した愛人たちをノートに記録してあるのです。(タイトルは「愛欲日記」)そのノートには女達の写真、名前、細部にわたって細かく記録されているのだとか。な、なんていやらしい・・・。音楽をかけながら嬉しそうに日記をめくる男爵。ハッキリいって、キモいです。私はどんな事が書いてあるのか気になってDVDを一時停止してみましたが、文章が筆記体なのと画像が不鮮明なのとでよく判りませんでした。名前を誕生日(もしくは愛人期間)らしき日付けが読み取れましたが。 こんな浮気調査並みの俗っぽい事件ですがさる高名な方からの匿名の依頼で捜査に乗り出すホームズ。ご苦労様です。場面は2人の行き着けのサウナから。にしてもホームズ、手紙をタオルの下に持ってるのは不自然では?ふやけそう。 下町のジョンソン、通称ポーキー(おでぶちゃん)に連れられて221Bにやってきた男爵のかつての愛人で被害者のキティ。私は彼女がグラナダのシリーズの中に出てくる女優で一番好みです。ビスクドールのような真っ白い肌に大きな目。髪は燃えるようなストロベリーブロンドでロンドン美人って感じがします。(彼女は英女優エマ・トンプソンの妹さんらしいです) 彼女の協力を得て、男爵にたぶらかされているヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢を説得しに訪ねるホームズ。なんか鼻持ちならない思い込みの激しそうなお嬢様です。ここで注目したいのはホームズの彼女への「私に娘があったら」発言。正典でも同じ事を言っているかどうかは定かではないのですがまたヴァイオレットという名の女性に対して身内のような優しさを見せています。(「ぶな屋敷」のヴァイオレット・ハンター嬢のケースでは「彼女が妹だったら」発言)そしてキティのショッキングな硫酸の傷跡!男爵、ひどすぎます。顔が無傷なのが不幸中の幸いでしょね・・・。これにはホームズも驚きを隠せません。そして「愛欲日記」なる存在を知るホームズ。混乱したキティに日記の隠し場所を思い出すようにとせまります。そのときにキティに回された腕に萌え。映像的にアイリーンよりキティの方がジェレミーホームズに似合ってると思います。 閉店まぎわのレストランで食事をするホームズとワトソン君。この店は「ブルース・パーティントン設計書」で登場した店と同じでしょうか?ホームズはつけで払っていますね。それにしてもワトソン君!こんな危ないときなのにホームズを1人で帰らせるなんて!案の定、男爵の家来に襲われるホームズ。しかし。ホームズって強いって設定なんだよね?バリツやボクシングの達人なのにこのやられようは一体・・・。ポーキーは余裕でノックアウトしていた相手なのに、どうして??? そして新聞でホームズの負傷を知るワトソン君。遅いです。でもこのとき本気で男爵に怒っているワトソン君が見れてホームズじゃなくても嬉しくなります。中国陶器の猛勉強をするワトソン君。(バックにはオリエンタル調のBGMが)ホームズは暇そう(笑)!体温計を加えているジェレミーの顔がお茶目でいい。 そして男爵宅へ身分を隠し忍び込むワトソン君。でもあっっさりと正体を見破られてしまう。敵に本名を言われたら降参するしかないよなあ。そこへグッタイミングでホームズ登場。「(不法侵入は)得意の技さ」というホームズセリフが確かにと言う感じです。しかし、二人はキティが現れなかったらどうするつもりだったのかしら???   依頼人が高名な人なので今回のホームズ(不法侵入、窃盗)とワトソン君(詐欺罪)、キティ(傷害)はおとがめなし。いやあ、大怪我したかいがあったというものですよ。 今回はハドソンさんのさりげない優しさが印象的な回でもありました。負傷したホームズのお布団を首まであげて寝かし付けるシーンと終盤、デマリー大佐が来る前、ホームズがお薬(?)を飲むのを側で見守っているシーン。(このときはパジャマ姿だ!)なんだか本当にホームズの優しいお母さんーってのがすごく感じられて、なにげないけどお気に入りのシーンです。いつも早く部屋から出ていって!と言われているにもかかわらず。こんな偏屈な息子ですけどハドソンさん、これからもシャーロックをよろしくお願いします!!

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