『熱い絹』ジム・トンプソンの生活 ア↑コガレ
※ほのかなネタバレあり マレーシアの高原リゾート キャメロン・ハイランドに消えた、タイシルク王ジム・トンプソンの失踪をモチーフにした長編推理小説です。友人Iに借りました(最近これ多いな・・・)。クアラルンプールの日系書店でも、「マレーシア滞在中ならこれ読むっしょ!」と言った感じで並んでいました。「熱い絹」ってタイトル、なんか東南アジアを舞台にした推理小説と言うより、官能小説っぽくありませんか?官能とまではいかなくても、なんとな~く森瑶子的なデカダンスの香りがします。でもまあ、私のような東南アジア好き、ハンドクラフト好きにはたまりません。しかもアンコールワットに行ったばかりだし。でも読んだ後の感想は「熱い絹」よりは「熱い茶畑」って感じかなあ?マレーシアが舞台だし、クメール美術やタイシルクも出て来るしで、とにかく東南アジアフェチにはたまらないファクターがいっぱいです。ジム・トンプソンって失踪事件は別として、私のア↑コガレなことをいっぱいして来た人なんですね。東南アジアの国に惚れ込み、移住し、農家の内職にすぎなかったシルクをモダンにして世界展開→金持ち、家は現地の民家風の造りで、中には趣味の東南アジアの骨董イパーイって言う・・・。いいな、いいな~、ア↑コガレだな~。結局、クメール美術に狂って人生破滅・・・みたいなオチでしたが、「盗掘場所はここか?!それともここか?吐けー!」って拷問する方もクメール美術マニアだったという・・・。そこまで人間を狂わせるクメール美術って・・・って思いました。まあ、素敵なんですけど。私もお金持ちだったら彫像の1つでも欲しいですけど。それがオチか・・・とも思ってしまいましたね☆タイシルク王失踪とは別に色んな殺人が起こるのですが、上巻の途中からバッタバッタと人が死んで行くので、怖いというよりちょっと笑えるという感じ。上巻の骨董店のくだりなんか、レリーフの顔つきまで浮かんでくるような美文で、しっとりとしてて読ませる感じなのに、後半めまぐるしくバタバタで(そりゃ色んなモノを回収しないと大変なんだからなんだけど)、もっと人の人生狂わせちゃったクメール美術の描写にあててもよかったのでは?と思います。長谷部警部が地方の一警官なんだけど、驚異的な名探偵っぷりを発揮して終了・・・みたいな感じ。最後は辻褄合わせで終わった感が否めないですね~。調べた所、98年になんとドラマ化もされているんだそうです。 下沢ヒロ子 - 鈴木京香山形佐一 - 村上弘明長谷部忠雄 - 渡瀬恒彦・・・は、的確なキャスティングだと思います!豪華ですね~。出来れば見てみたかった。しかし・・・ジェームス・ウィルバー - ケント・ギルバートパーカー支配人 - チャック・ウィルソンうーん、これはね・・・一気に画がチープになるのが目に見えます。まあ、人手不足だからしょうがないってのもあるんだろうけどさ・・・。 チャック・ウィルソンのパーカー支配人ってかなりネタバレじゃないか?とも思うのだった(笑) ジム・トンプソンはモノによって可愛いっちゃ可愛いんだけど、全体的にちょっとオバサンぽいような気がするんだよな~。もっとナウな感性を持ったデザイナーを雇って、ブランドのテコ入れを計った方が良いのでは?同じシルク製品ならカンボジアのアーティザンダンコールの方がシックで良いと思うのだった。