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ドクターイワタの認知症ブログ~東海エリア最高の治療実績~

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Feb 26, 2014
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト​

「びっくりする」ほど良くなった時の感動


20140228#5089#81
先週、「5日間で改善したピック病」の施設入所されている患者さんを紹介した。初診時にコントミン12.5mg錠3錠開始して、5日後にお会いしたら別人のように穏やかになっておられた。穏やかではあるが、H25/11に脚立から落ちて脳挫傷、後頭骨骨折で大学病院に入院され、四肢のしびれと両側坐骨神経痛のため3ヶ月間車椅子の状態だった。5日目にピック病に対してフェルガード100M2包、両側坐骨神経痛に対して消炎鎮痛剤であるロキソニン、末梢神経痛の治療薬であるリリカ、末梢神経しびれの治療薬であるメチコバールを開始した。定期往診で2週間後、すなわち17日目にお会いしたら、「あっ」とびっくり、シルバーカーを押して施設の診察室に入ってきた。「この前、先生はどんな魔法を使ってくれたんだ」「歩けるようになったから家に帰って農作業をやる」と言ったのである。「腰が抜けるぐらい」びっくりした。歩くところをビデオに撮らしてというと、シルバーカーなしで上手に歩いて見せたのである。感動して「良かったね」と言うと、嬉しそうに笑って答えた。「もう家に帰りたいよ」。私は「御家族と相談して決めて下さい」とだけ答えた。オーナー社長は看護師出身であり「私はずっと食事介助をして添い寝をしていた」「凄く良くなられて嬉しい」と感動を分かち合った。

症例報告
20140228#5029#76
地域包括支援センターからの紹介である。老老介護で御主人が介護していた。時計描写テスト:9/9。改訂長谷川式:29/30、近時記憶6/6。老人性鬱スコアGDS-5 Score 5/5、GDS-15 15/15。これだけを見ると鬱病になってしまう。ピックスコア7。レビースコア7であり、レビー・ピック複合の所見である。頭部CT上、前角拡大軽度、前頭葉の脳溝がやや多い、海馬萎縮の左右差軽度という「ピックっぽさ」が少し見える。ピック症状にはピックセットウインタミン朝4mg夕6mgとフェルガード100M2包、妄想にはセレネース0.2mg(細粒0.02g)夕を出した。鬱症状はあるが、ジェイゾロフトは興奮性であり我慢した。28日後、とても落ち着いており、攻撃性はなくなっていた。暫く話していると妄想から興奮してきたためセレネース朝0.2mg夕0.2mgとした。

20140228#5024#77
インターネット検索で来院された。夫と2人暮らし。夫も似た症状で一緒にかかられた。問診からピックっぽい。ピックスコア7であり、頭部CTでも右片側性海馬萎縮、右>左前頭葉萎縮があり、ピック病で間違いない。語義失語は全くなく、時計描写テスト:8.5/9であり、生活力は問題ない。脱抑制行為は軽度であり、フェルガード100M朝2包夕1包、頭部CT上、血管性ピックの所見もあり、プロルベインDR4Capも勧めた。30日後、中核症状も、周辺症状も著明改善していた。

20140228#5023#79
インターネット検索で来院された。妻と2人暮らし。妻も似た症状で一緒にかかられた。問診からピックっぽい。神経学的には歯車様固縮があり身体も右へ傾いていた。レビースコア5。ピックスコア4。プチLPC(レビー・ピック複合)である。頭部CTでは右片側性海馬萎縮軽度、前角拡大軽度があり、ピック病典型ではない。語義失語は全くなく、時計描写テスト:8.5/9であり、生活力は問題ない。脱抑制行為は軽度であり、フェルガード100M朝2包夕1包を勧め、パーキンソニズムにネオドパストンを開始した。30日後、中核症状も、周辺症状、パーキンソニズムも著明改善していた。

20140228#5034#78
当クリニック通院患者さんからの紹介である。次女さんが勉強家でフェルガード100 2包(ネット通販)、食品ハーブ(ビタミン、ミネラル、イチョウ葉、バレリアン、レモンバーム、DHA、プロテイン)を飲ませていた。診察態度からピック感いっぱいである。問診から幻視もあり、レビースコア7.5。ピックスコア8。改訂長谷川式8。典型的LPC(レビー・ピック複合)である。頭部CTは右片側性海馬萎縮、右>左前頭葉萎縮があり、ピック病の所見である。幻視はほとんどないと言うことで、ピック症状にピックセット、ウインタミン朝4mg夕6mg、フェルガード100M2包とした。28日後にはピック感がなくなり、穏やかな表情になり、中核症状も改善が見られた。

20140228#5076#80
当クリニック通院患者さんからの紹介である。問診と診察からアパシー(無気力・無関心)を強く感じた。2ヶ月半前に意識消失発作、昼間傾眠、パーキンソニズムが見られ、レビースコア5であり、典型的レビー小体型認知症である。GCS点滴(グルタチオン600mg-シチコリン1000mg-ソルコセリル4mL)をすぐ行うと15分後には顔つきが変わり、歩きもスムーズになった。頭部CTではDNTC(石灰化を伴うびまん性神経線維変化病)であり、「DLBタイプのDNTC」と診断した。アパシーを改善するためリバスタッチパッチ4.5mg、サアミオン15mg、フェルガード100M2包(DNTCはFTLDになっていく傾向があるためNewフェルガードLAでなくフェルガード100Mを選択)、前頭葉血流低下によるアパシーの可能性もありプロルベインDR4Capを勧めた。26日後、同伴した長男から「やる気が出て以前の母に戻った」とアパシーは改善していた。抗パーキンソン剤はなしで、GCS点滴1回だけで歯車様固縮はなくなり歩行は改善していた。


コウノメソッド実践医からの質問メール
札幌市のコウノメソッド実践医であるむらもと循環器内科 村元信之介先生からの質問メールを頂いた。村元先生の許可を得て以下に質問メールを引用し、私の返事をその下に記載した。実践医の先生方の参考になれば幸いである。


<以下引用>
長久手南クリニック  岩田 明 先生

先日はグルタチオンの件でお世話になりました。先生にならい、保険診療で点滴治療を開始しました。まだ2症例で著効例はありませんが、感触は良好です。容量依存的に効果があるようなので3Aじゃ効かないかも
しれませんが、3Aで続けてみます。

今日は別件で教えていただきたいことがあります。これまで50例くらいの認知症を診させてもらいましたが自信を持ってATDと診断した例がありません。症状と身体所見から表現型はDLB、FTD、LPCの診断はつけられるのですが、CTを見ると全例FTLDになってしまいます。(梗塞あるなしは別)ATD診断の決め手っていったい何なのでしょうか?取繕いがあり、CTで著名な海馬の委縮を認めるとATDでいいのかなと考えたりします。しかし、海馬の著名な委縮がある人はほとんど前頭葉も側頭葉もそこそこ委縮があり、河野先生の言うFTLD所見を満たしている例が多数あります。(眼窩面委縮、ミッキーマウスなど)FTLDも左右差がはっきりしない例の方が多いような気がしてます。

ATD診断のコツがありましたら教えてください。

どうかよろしくお願いします。

<引用終わり>
<ドクターイワタの返事>
ドクターコウノの認知症ブログによればグルタチオンは用量依存的のようですから3-5Ap(600mg-1000mg)で調節しています。グルタチオン1Ap=60円ですからあまり気にしていません。

アルツハイマー型認知症は除外診断です。レビー小体型認知症でない(レビースコアで3未満)、前頭側頭葉変性症でない(ピックスコアで4未満)を共に満たす場合にアルツハイマー型認知症と診断します。
画像診断は症状と適合するかの確認のため、脳虚血病変の有無の確認のために行うだけです。

すべて初診時に確定診断する必要はなく、診療していく間に症状も変わるし、診断も変わる。大切なことは患者さんの変化に合わせてオーダーメイドで投薬調節することです。
顧客満足度を考え、周辺症状や中核症状を可能な限りバランス良く改善するための投薬を鍵穴にはめる訓練を続けることです。


<以下引用>
岩田先生

返信ありがとうございました。

『レビー小体型認知症でない(レビー スコアで3未満)、前頭側頭葉変性症でない
(ピックスコアで4未満)を共に満 たす場合にアルツハイマー型認知症と診断する。』

これは分かりやすいです。ちょっと気楽になれました。

もう少し教えて下さい。
1)スコア上ATDであると診断した疾患の脳CTがFTLDの要件を満たす(前頭葉外側、内側、眼窩面の委縮、ピック切痕、頭頂葉萎縮回避、左右差など)場合もATDと診断し治療されるのでしょうか?僕は病理はFTLDで表現型はATDとし、最終診断はFTLDと考えてました。
2)ATDの中期、末期の脳CT像はFTLDとは本当に異なるものなのでしょうか?左右差を除き、実はFTLDと同じCT画像に近づいていくということはありませんか?例えば側頭葉のナイフ様萎縮もATD末期には見られるものではないのでしょうか?
3)重度ATDでも語義失語が伴うと思うのですが、意味性認知症と鑑別ってできるので しょうか?その鑑別は結局CTになりますか?

頭が混乱してるので質問内容が重複してるかもしれませんがお許しください。

僕もグルタチオン4A、5Aに増やしてみます。

ブログの件了解しました。お忙しいところ恐縮しますが、今後ともご指導よろしく
お願いします。

<引用終わり>
<ドクターイワタの返事>
村元信之介先生、

1) →あくまでも診断は臨床症状すなわち各スコアで行います。画像診断は臨床症状に合うかどうか確かめるのが目的です。以前のブログにも記載しましたが、アルツハイマー型認知症はレビー化、レビー小体型認知症はピック化する傾向にあります。FTLDのような頭部CTである場合は、近い将来、ピック化していく可能性があるから注意すべきと言えますが、あくまでも臨床症状に対して治療するというのが原則です。

2)→診療症状を改善させるのが我々の仕事です。画像診断などある意味どうでも良いのです。医師が安心して治療を行うために行っていると考えて下さい。FTLDの場合、ピックスコアにあるように左右差とナイフの刃様萎縮が典型的所見です。末期になればなるほど、所見は明らかになります。

3)→FTLDだけでなくATDもDLBも末期になれば語義失語を伴うため意味性認知症となる可能性があります。意味性認知症は症状分類で病理分類ではありません。臨床症状をおちつけることが末期になると重要になります。ピック症状にはピックセット、レビー症状にはレビーセットというように症状に対してハッピーセットを駆使すれば、いつか鍵穴にはまります。





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Last updated  Jun 18, 2023 05:27:00 PM
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