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ドクターイワタの認知症ブログ~東海エリア最高の治療実績~

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May 7, 2017
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト​

長久手南クリニック~10年目の春 part4~

20170507@白雲木1
白雲木@長久手南クリニック
20170507@白雲木2
白雲木@長久手南クリニック
20170507@シラン群生
シラン群生@長久手南クリニック
20170507@シラン1
シラン@長久手南クリニック
20170507@シラン2
シラン@長久手南クリニック
20170507@ジューンベリー実
ジューンベリー実@長久手南クリニック

症例報告

20170507@6289@946
インターネット検索で来院された。物忘れ、収集癖、生真面目を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.左側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮中等度、5.境界領域梗塞、6.その他 左>右脳室拡大、両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:19/30、近時記憶1/6と軽度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、NewフェルガードLA粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgとサアミオン10mgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(+4)、近時記憶5/6(+4)と中等度改善した。10か月後、中核症状は改訂長谷川式:18/30(-5)、近時記憶4/6(-1)と中等度悪化した。認知機能低下にレミニール4mgから8mgへ増量した。13か月後、中核症状は改訂長谷川式:16/30(-2)、近時記憶2/6(-2)と更に軽度悪化した。認知機能低下にレミニール8mgから4mgへ減量、メマリー5mg開始した。14か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+9)、近時記憶5/6(+3)と高度改善した。

20170507@6952@947
ケアマネからの紹介である。既往歴:H21アルツハイマー型認知症、うつ病、アリセプト3mgで興奮中止。レミニール8mgで興奮中止。大阪大学精神科 1.エビリファイ1.5mg 2.パキシル50mg 3.抑肝散加陳皮半夏7.5g。物忘れ、悪夢、夜間大声、目を合わせない、アパシー、両膝痛、夜間せん妄、易転倒、薬物過敏、生真面目、使用行動、口を鳴らす、REM睡眠行動障害を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.左側頭葉萎縮先端部軽度、4.海馬萎縮なし、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:6、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5、改訂長谷川式:21/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にエビリファイ1.5mg中止、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR2Capを勧めた。幻視に抑肝散加陳皮半夏7.5g、鬱状態にパキシルCR50mgを継承した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(-2)、近時記憶0/6(-2)と軽度悪化、上記周辺症状はすべて改善した。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(+4)、近時記憶3/6(+3)と中等度著明改善した。

20170507@6963@948
施設からの紹介である。物忘れ、幻視、暴言、暴力、易興奮、介護抵抗、昼間傾眠、徘徊、易転倒、感情失禁、尿便失禁、REM睡眠行動障害、甘い物好きを呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.右側頭葉萎縮中等度、4.海馬萎縮なし、5.両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:5、レビー・ピック複合(LPC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:2/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶4/6と中等度低下していた。前頭葉症状にウインタミン朝4mg夕6mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。11日後、中核症状は改訂長谷川式:14/30(-2)、近時記憶3/6(-2)と軽度悪化、暴言、暴力、介護抵抗以外上記周辺症状はすべて改善した。前頭葉症状にセルシン朝0.8mg夕1.2mgを開始した。26日後、中核症状は時計描写テスト:7.5/9(+5.5)、改訂長谷川式:18/30(+4)、近時記憶6/6(+3)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。

20170507@6978@949
知り合いからの紹介である。既往歴:てんかん発作、神経内科 デグレトール朝200mg夕100mg。物忘れ、意識消失発作、アパシー、生真面目、左右失認、語義失語、肘付きを呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.左側頭葉萎縮軽度、4.左海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:5、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:18/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。認知機能低下にNewフェルガードLA1包朝およびフェルガードB1包夕を勧めた。てんかんのため認知症治療薬は投与出来ない。多発性脳梗塞ににプレタール100mgとサアミオン10mgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+4)、近時記憶5/6(+1)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。

20170507@6987@950
インターネット検索で来院された。物忘れ、暴言、暴力、意識消失発作、感情失禁、後追い、甘い物好き、右鼓膜損傷を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.左>右前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、6.その他 左>右淡蒼球石灰化、左>右ピック切痕。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:5、前頭側頭型認知症(ピック病)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:25/30、近時記憶1/6と軽度低下していた。前頭葉症状にウインタミン朝4mg夕6mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。1週間後、上記周辺症状がすべて消失した。同居する妻(MCI)が治ったと勘違いして内服中止したため、妻に対するDVが酷くなり介護施設に避難された。内服再開後、上記周辺症状はすべて再消失し、再同居された。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:26/30(+1)、近時記憶2/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。絶対に内服を中止しないように指導した。


アルツハイマー型認知症=アミロイドβ沈着+ミエリン修復機能低下 ~プレタールや陳皮はミエリン修復機能を回復させる~

アルツハイマー型認知症はアミロイドβ沈着による神経細胞(ニューロンneuron)の障害のみでは説明できないことが最近の研究で明らかにされつつあります。加齢に伴う髄鞘(ミエリンmyelin)修復機能低下がもう一つの要素と考えられています。ミエリンはニューロンから出る一本の軸索(アクソンaxon)という神経線維の周囲をバームクーヘン状に取り囲む鞘のことを言います。中枢神経ではグリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイト(oligodendrocyte)がミエリンを形成します。オリゴデンドロサイトは神経細胞の軸索を取り巻くことで効率的な神経伝達の助けをしており、その障害は学習能力なども含む種々の神経機能を引き起こしてしまいます。
Fig.老化による白質障害

ミエリンは損傷と修復を繰り返して軸索という神経線維の束である「白質white matter」の機能を維持しています。加齢と共にミエリンの修復機能が低下するため「白質」の機能低下を引き起こします。2013年、Arai et.alはミエリンの修復機能が低下するメカニズムを明らかにし、同時にその修復機能をプレタール(シロスタゾール)が回復されることを論文発表しました(Stroke. 2013 Dec;44(12):3516-21)。

彼等は、若齢マウスと老齢マウスの白質損傷モデルで、オリゴデンドロサイトによる白質修復能について比較実験をしています。若齢マウスでは、白質障害後に失われたオリゴデンドロサイトを補填するためオリゴデンドロサイト前駆細胞(oligodendrocyte precursor cells;OPCs)の分裂が活性化、成熟オリゴデンドロサイトへの分化を認めました。一方、老齢マウスでは、オリゴデンドロサイト前駆細胞の増加は見られず、成熟オリゴデンドロサイトの数も少ないままだったのです。これらの事実から、若齢マウスに比べて老齢マウスでは、オリゴデンドロサイトへの分化が生じにくいことが判明しました。

老齢マウスではオリゴデンドロサイト前駆細胞の機能が落ちる理由を解明するために研究チームが着目したのが、多くの細胞の生存に関わるとされる「CREB(cyclic AMP response element-binding protein)」のシグナル経路でした。若齢マウスに比べて老齢マウスでは、白質障害後のCREBシグナルは顕著に低いことが確認されました。しかし、白質障害の老齢マウスに、ホスホジエステラーゼIII阻害剤であるプレタール(シロスタゾール)を投与することで、オリゴデンドロサイト前駆細胞の分裂および分化が促進され、白質障害と学習能力の低下を抑えられることが確認されました。
Fig.プレタールによる白質新生

2014年、Asou et.alは超老齢マウスに陳皮を投与することでオリゴデンドロサイト前駆細胞の分裂および成熟オリゴデンドロサイトへの分化が促進されることを論文報告しています(J.Biochem 155 265-271,2014) 。

アルツハイマー型認知症をアミロイド説だけで説明するのは困難であると言われていますが、アミロイドβがoligodendrocyteに障害を与えるという論文報告もあり、ミエリン説だけで説明するには無理があります。学説はともかく、プレタール、陳皮など既存の薬剤でミエリン修復機能を回復させることが出来ることは朗報と言えます。





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Last updated  Jun 18, 2023 04:30:45 PM
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