2023/06/18(日)16:07
ドクターイワタの認知症ブログ2022年2月6日
長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト
「特発性基底核石灰化症(IBGC)」は発達障害として治療すべし「特発性基底核石灰化症(IBGC)」は頭部CT撮影の1/4に見られると報告されています。筆者は認知症ブログ内の症例報告の中で「特発性基底核石灰化症(IBGC)」を「石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患」と表現しています。筆者の発表論文の中でIBGCに罹患する患者の共通点として「頑張り屋で頑固者」を発見しています。「頑張り屋で頑固者」は「じっとしていられなくて(多動)でこだわりが強い人」と言い換えることが出来ます。これはまさしく「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の症状です。最近、多くの「成人発達障害患者」を診察すると、頭部CT上IBGC所見を呈する患者が非常に多いことに気付きました。
最近では、認知症専門外来で「頭部CT上IBGC所見を呈する患者」に対して、「ストラテラ5mg2錠1日2回朝夕食後およびフェルガード100M2錠1日2回朝夕後」投与から開始することが増えてきました。ストラテラはシナプス内ノルアドレナリン上昇により過敏になりすぎている5感を制御することが出来ます。ストラテラには末梢血管収縮および頻脈による高血圧症、膀胱弛緩による排尿困難、眼圧上昇に伴う緑内障などの副作用があります。高血圧症、頻脈、弛緩性膀胱、閉塞隅角緑内障既往(開放隅角緑内障は処方可)がある場合は、ストラテラを回避してインチュニブを開始します。インチュニブは後シナプスのα2Aアドレナリン受容体を刺激することで前頭前皮質におけるシグナル伝達が増量され、作業記憶、注意力、多動を改善させると同時に、前シナプスのα2Aアドレナリン受容体を刺激することでカテコールアミンの放出が抑制され、降圧作用や鎮静作用を引き起こします。従って、高血圧症や夜間不眠を伴う場合には、インチュニブ1mg1日1回夕食後を開始します。
今までは興奮していたらグラマリール、セロクエル、ウインタミンなどの抑制系薬剤を投与することにより、認知機能低下やパーキンソニズム(パーキンソン症状)悪化を犠牲にしてBPSD改善を優先していました。幻視や妄想には抑肝散、セレネースなどの抑制系薬剤を投与することにより、それぞれ心不全やパーキンソニズム悪化を犠牲にしてBPSD改善を優先していました。これらのBPSDを5感の感度が良すぎるために起こる症状と考えれば「自閉症スペクトラム障害(ASD)」としてストラテラで治療をすればこれらの症状改善が出来ます。
<IBGC診断基準>下記1~3を満たすものを特発性基底核石灰化症(IBGC)に分類する。 1.頭部CT上、両側基底核に明らかに病的な石灰化を認める。加齢に伴う生理的石灰化と思われるものを除く(高齢者における淡蒼球の点状の石灰化など)。小脳歯状核などの石灰化の有無は問わない。注1 原因によらず、大脳基底核、特に淡蒼球内節は最も石灰化を来しやすい部位であり、特発性の症例で、1症例を除いて全て両側性に基底核に石灰化を認めている。注2 下記の文献における調査のように、頭部CTで淡蒼球の石灰化は、約20%に点状、2~3%に斑状に認め、頻度も加齢とともに増加する傾向があり、年齢を考慮する必要がある。 2.何らかの進行性の神経症状を呈する。具体的には、頭痛、精神症状(脱抑制症状、アルコール依存症など)、てんかん、精神発達遅延、認知症、パーキンソニズム、不随意運動(PKCなど)、小脳症状などがある。注1 無症状と思われる若年者でも、問診により、しばしば頭痛を認めることがある。またスキップができないなど軽度の運動障害を認めることもある。注2 脱抑制症状があり、ときにアルコール多飲となり、頭部CTで、脳萎縮が目立つ症例がある。 3.下記に示すような脳内石灰化を来す疾患が除外できる。主なものとして、副甲状腺疾患(血清カルシウム、リン、iPTHが異常値)、偽性副甲状腺機能低下症(血清カルシウム低値)、偽性偽性副甲状腺機能低下症(Albright骨異栄養症)、コケイン(Cockayne)症候群、ミトコンドリア脳筋症、エカルディ・グティエール[m1] (Aicardi-Goutieres)症候群、ダウン(Down)症候群、膠原病、血管炎、感染(HIV脳症など、EBウイルス感染症など)、中毒・外傷・放射線治療などを除外する。
ロウバイ@東山植物園
温室植物@東山植物園
温室植物@東山植物園
温室植物@東山植物園
温室植物@東山植物園症例報告
知り合いからの紹介である。既往歴:小児期から右>左難聴。H10腰椎脊椎管狭窄症、八事日赤。物忘れ、暴言、易興奮、昼間傾眠、介護抵抗、難聴を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤脳梗塞なし、⑥その他 右淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:3、ピックスコア:4、前頭側頭型認知症(ピック病)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9。改訂長谷川式:21/30、近時記憶2/6と軽度下していた。認知機能低下にフェルガード100M4錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20.5/30(-0.5)、近時記憶1/6(-1)と軽度悪化、上記周辺症状はすべて続いていた。フェルガード100M4錠から2錠へ減量した。甲状腺正常。一般採血:異状なし。VitB1=67,VitB12=1280,葉酸=8.6。5か月後、中核症状は改訂長谷川式:17.5/30(-3)、近時記憶4/6(+3)と更に悪化、上記周辺症状はすべて続いていた。前頭葉症状にウインタミン10mg開始、フェルガード100M粒2錠から4錠へ戻した。6か月後、中核症状は改訂長谷川式:24.5/30(+7)、近時記憶3/6(-1)と著明改善、上記周辺症状はすべて続いていた。ウインタミン10mg中止、自閉症スペクトラム障害(ASD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患としてストラテラ20mg開始、フェルガード100M粒4錠から2錠へ減量した。7か月後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+4.5)、近時記憶6/6(+3)と治癒状態、上記周辺症状はすべて改善した。
知り合いからの紹介である。既往歴:S60乳癌、化学療法で嗅覚および味覚消失、八事日赤。H27悪性リンパ腫、八事日赤。加藤内科胃腸科クリニック①アムロジピン5㎎②アリナミン75mg。物忘れ、暴言、介護抵抗、食慾低下、意識欠如、偏食、うつ状態、生真面目、ウロウロする、こだわりを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③左側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:1、レビー小体型認知症(DLB)/自閉症スペクトラム障害(ASD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:9/30、近時記憶0/6と高度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠開始、アムロジピン5mgから2.5mgへ減量、アリナミンF75mg中止、自閉症スペクトラム障害(ASD)にストラテラ10mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、中核症状は改訂長谷川式:17.5/30(+8.5)、近時記憶4/6(+4)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。ストラテラ10mgから20mgへ増量した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.7,Zn56以外異状なし。VitB1=152,VitB12=211,葉酸=5.5。ビタミンB12欠乏症にシアノコバラミン筋注およびメコバラミン1mg、亜鉛欠乏症にプロマック75mgを開始した。
インターネット検索で来院された。既往歴:H24肺塞栓、愛知医科大学。R3/5肺塞栓、愛知医科大学。R3/7アリセプト3-5mg、アリナミン25mg、愛知医科大学神経内科。愛知医科大学循環器内科→やすかわクリニック①ニューロタン②アムロジン③テネリア④イグザレルト⑤パリエット。愛知医科大学①アリセプト5mg②アリナミン25mg。物忘れ、易興奮、妄想、膝組み、夜中に起床、食欲低下、色々なことが気になる、薬物過敏、生真面目を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞。以上から、レビースコア:5、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)/自閉症スペクトラム障害(ASD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:21.5/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。前医からのアリセプト5mg/アリナミン25mgを中止した。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠、脳血管性認知症(VD)にルベストPRoDR1Capを勧めた。自閉症スペクトラム障害(ASD)にストラテラ10mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、中核症状は時計描写テスト:8.5/9(+0.5)、改訂長谷川式:29/30(+7.5)、近時記憶5/6(+2)と著明改善、上記周辺症状はすべて改善した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.0,TG201,Zn65以外異状なし。VitB1=153,VitB12=624,葉酸=6.5。
知り合いからの紹介である。既往歴:犬飼クリニック①ジルムロ②ハルナール③ビソプロロールフマル④ベオーバ⑤ネキシウム⑥ピムロ。物忘れ、寝言、易興奮、いらいらした基質、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②左>右前頭葉萎縮軽度、③左>右側頭葉萎縮軽度、④左>右海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:4、レビー小体型認知症(DLB)/自閉症スペクトラム障害(ASD)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒2錠を勧めた。自閉症スペクトラム障害(ASD)にストラテラ10mg、脳梗塞にプレタール100mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:18/30(+2)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.0,TG435,Zn58以外異状なし。VitB1=36,VitB12=482,葉酸=10.1。自閉症スペクトラム障害(ASD)にストラテラ10mg(朝5mg夕5mg)から15mg(朝10mg夕5mg)へ増量した。
親戚からの紹介である。既往歴:H14心筋梗塞。H14前立腺がん。R3大腸ポリープ。大口医院①バイアスピリン②レニベース③ラシックス④オメプラゾール⑤メバロチン⑥セロケン⑦ニフェジピン⑧アイトロール⑨セルベックス。物忘れ、甘い物好き、生真面目を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:1、混合型認知症(MIX)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:18/30、近時記憶1/6と軽度低下していた。認知機能低下にストラテラ10mgを開始、フェルガード100M粒2錠を勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(+1)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:TG207,Hb12.5,Zn71以外異状なし。VitB1=19,VitB12=231,葉酸=8.6。ビタミンB12欠乏症にシアノコバラミン筋注およびメコバラミン1mgを開始した。2か月後、改訂長谷川式:21/30(+2)、近時記憶3/6(+-)と更に軽度改善した。
マレーグマ@東山動物園新型コロナウイルスはもうすぐ終焉を迎える沖縄県は本土よりも1か月前から米軍基地からのオミクロン株が広がり、本土よりも1か月前からピークアウトしています。海外でも同様な傾向が見られます。日本全体で考えてもオミクロン株の感染者数を数学的に解析すると増加数は減っておりピークを迎えています。筆者は2月中旬から減少し3月末には年末のレベルに戻ると予測しています。インフルエンザウイルス感染症はタミフルなどの内服薬、ラピアクタなどの注射薬ができたため死亡率が激減しました。新型コロナウイルス感染症も同じような内服薬や注射薬が出来ると確信しています。そうなって初めて以前の生活に戻ることが出来ます。インフルエンザワクチンが毎年冬期に接種されます。新型コロナウイルスワクチンも同様に毎年冬期にインフルエンザ&新型コロナ混合接種という形で残っていくと予想されます。当クリニックでは1月8日からスタッフおよび定期往診患者に対する3回目新型コロナウイルスワクチン接種を開始して、1月28日に終了しました。経済活動やエンタテインメント活動などは3月末からは通常通りに戻すべきと考えます。もちろマスマスク着用、手指消毒、うがいなどは継続すべきと思います。