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カテゴリ:認知症専門外来と専門往診の二刀流
栄養失調が認知症を作っている~医師は栄養食事指導/分子栄養学を学ぶべき~~ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ドクターイワタの認知症ブログ2025年4月20日 医者が認知症を作っている~医原性認知症を排除すればあっと驚く回復が起こる~ ドクターイワタの認知症治療 ~認知症専門外来:1500名 & 認知症専門往診:130名~ 認知症/発達障害専門外来 新患予約サイト 上記、新患予約サイトにて予約可能です。 希望日および希望時間 ①10:30am(-12:30pm) ②11:00am(-1:00pm) を選択して下さい。 問診、 神経学的所見、改訂長谷川式 簡易知能スケール(HDS-R)、時計描画テスト(CDT)、発達障害スコア、老人性うつスケール、甲状腺機能(TSH, FT3, FT4)、ビタミンB欠乏症(ビタミンB1,ビタミンB12, 葉酸)ビタミンD、ミネラル欠乏症(TIBC,フェリチン,亜鉛)に加え、頭部CT (GEマルチ) を施行します。同日からサプリメント治療および他院投薬調節を行います。1週間後には血液検査結果に従って食事指導および補充療法を開始します。自己免疫疾患やアレルギー疾患がある場合はGFCF指導もおこないます。 新患予約サイト ![]() 症例報告 ![]() 知り合いからの紹介である。物忘れ、生真面目、高度難聴を呈していた。独居生活。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:2.5、ピックスコア:0、特発性基底核石灰化症(IBGC)/混合型認知症(MIX)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:23/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒1錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にシトルリン含有赤ミミズ粉末1Capを勧めた。高齢独居のためメコバラミン0.5mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。14日後、中核症状は改訂長谷川式:24/30(+1)、近時記憶3/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:BUN22.2,Alb3.7,TG163,Hb10.6,Zn63以外異状なし。VitB1=29,VitB12=167,葉酸=5.4。ビタミンB12欠乏症にシアノコバラミン筋注開始、メコバラミン0.5mg継続、亜鉛欠乏症にプロマック75mgを開始した。1か月半後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+1)、近時記憶4/6(+1)と更に軽度改善した。5か月後、中核症状は改訂長谷川式:28/30(+3)、近時記憶5/6(+1)と更に軽度改善した。 治療のポイント 1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。 2.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療 赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。 3.ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。 4.味覚低下または亜鉛欠乏症 亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。 ![]() インターネット検索で来院された。既往歴:H9子宮癌、名古屋市大病院R4総胆管結石、愛知医科大学。物忘れ、暴言、易興奮、昼間傾眠、夜間不眠、感情失禁、尿便失禁、食慾低下、病識欠如、右方視で複視、語義失語を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞。右手で左肩を叩く○、猿も木から落ちる×、犬も歩けば棒に当たる○、弘法も筆の誤り×、利き手○。以上から、レビースコア:1.5、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:6.5/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶3/6と中等度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始、シトルリン・田七人参含有赤ミミズ粉末1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。3週間後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(+3)、近時記憶3/6(+-)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb3.9,Zn73以外異状なし。VitB1=32,VitB12=152,葉酸=7.6,VitD=13.0。ビタミンB12欠乏症にシアノコバラミン筋注、メコバラミン1mg、ビタミンD欠乏症にエディロール0.75μg開始した。 治療のポイント 1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 上記参照 2.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療 上記参照 3.ビタミンB12欠乏症 上記参照 4.味覚低下または亜鉛欠乏症 上記参照 ![]() 知り合いからの紹介である。既往歴:川出耳鼻咽喉科①アデホスコーワ腸溶錠②メチコバール。杉上クリニック①ユベラNソフトカプセル。西山団地病院①モビコール。物忘れ(前日から突然に発症)を呈していた。頭部CT: ①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:2、軽度認知障害(MCI)/混合型認知症(MIX)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:27.5/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始、シトルリン・田七人参含有赤ミミズ粉末1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した10日後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+1.5)、近時記憶5/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Zn74以外異状なし。VitB1=31,VitB12=688,葉酸=4.5,VitD=12.0。ビタミンD欠乏症にエディロール0.75μg開始した。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。 治療のポイント 1.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療 上記参照 2.ビタミンD欠乏症 ビタミンDの生理作用の主なものに、正常な骨格と歯の発育促進が挙げられます。小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収促進、血中Ca濃度調節、神経伝達や筋肉収縮を行う、免疫機能を調整する、ホルモンバランスを調整する働きがあります。ビタミンD2欠乏症=日光不足(特に冬は紫外線量が減るため)、ビタミンD3欠乏症=栄養不足(きのこ類(きくらげ、干し椎茸、まいたけ、エリンギなど)、魚介類 (しらす干し、サーモン、イワシなど)、卵 (鶏卵、うずら卵))。ビタミンD2とD3は同等の働きがあります。 3.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 上記参照 ![]() 家族からの紹介である。既往歴:H10咽頭がん、名古屋医療センター。狭心症、済衆館病院。R7/4レビー小体型認知症、済衆館病院。師勝クリニック①ハルナール0.2mg②クレストール2.5mg③ディオバン80㎎④ラシックス20mg。物忘れ、昼間傾眠、易転倒(3年前から)、小刻み歩行、歯車様固縮、生真面目を呈していた。頭部CT:以上から、レビースコア:7、ピックスコア:2、特発性基底核石灰化症(IBGC)/レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:21/30、近時記憶6/6と軽度低下していた。BP138/75。認知機能低下にクレストール2.5mg/ラシックス20mg中止、ディオバン80mg→40mgに減量、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。歩行困難にグルタチオン点滴(グルタチオン10Ap/シアノコバラミン1Ap/生理食塩水100mL)点滴/15minを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。14日後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+4)、近時記憶6/6(+-)と中等度改善、上記周辺症状もすべて改善した。甲状腺正常。一般採血:HbA1c8.0,Hb12.0,Zn62以外異状なし。VitB1=44,VitB12=186,葉酸=9.5,VitD=15.9。ビタミンB12欠乏症にシアノコバラミン1Ap筋注、メコバラミン1mg、ビタミンD欠乏症にエディロール0.75μg開始した。糖尿病で食欲旺盛であり、亜鉛欠乏症に対するプロマック投与は回避した。 治療のポイント 1.スタチン中止 高齢者(65歳以上)に対する高脂血症治療薬の投与は認知症の原因になるという論文報告があります(Statin withdrawal in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Sep 9;9(9))。総コレステロール、HDL、LDLに関わらず、スタチンは全員中止すべきです。総コレステロール(TCL)200以下の場合、特に150以下の場合に高度認知症の頻度が増します。スタチンを投与してもプラークは増加すると論文報告されています(N Engl J Med 2008 Jul 31;359(5):529)。従ってコレステロールが下がっても動脈硬化は進んでいると言い換えることが出来ます。スタチンはミトコンドリア毒であるという報告もあります(Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99)。 2.脳血管性認知症(VD)/妄想に対する治療 高血圧治療薬を投与して収縮期血圧130mmHg以下、すなわち過降圧にすると脳血流低下による認知症/妄想の原因になるという論文報告がされています。 降圧剤投与する場合は、収縮期血圧(年齢+50 ) -(年齢+70 )mmHgを目標にするように指導しています。血圧は1年の中でも2月が最高、8月が最低になるため春から秋は降圧剤を減量する必要があります。 春先から初夏にかけての被害妄想の出現は過降圧が原因ですから、降圧剤を減量して脳血流低下を改善する必要があります。降圧剤を投与していない場合は、OS-1などのイオン飲料を飲むことで血管内圧を上げる必要があります。 3.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 上記参照 4.グルタチオン点滴 グルタチオンは元々脳内にある生理活性物質でこれが不足するとパーキンソン病やアルツハイマー型認知症の発病を促すとされています。日本では9年前に元杏林大学教授の柳澤厚生先生が始められて劇的な効果を報告されています。蕁麻疹に200-400mgが保険診療として認められていますが、変性疾患には600-2400mg必要です。ですから自費点滴になることをご了承下さい。15分の点滴が終わると6-7割の方が改善兆候を現します。効かなければ次回から400mgずつ増やします。柳澤先生は4000mgまで副作用の心配はないと仰っています(「グルタチオン点滴でパーキンソン病を治す」柳澤厚生著)。 5.ビタミンB12低下症 上記参照 6.ビタミンD欠乏症 上記参照 7.味覚低下または亜鉛欠乏症 上記参照 ![]() インターネット検索で来院された。既往歴:R4/10アリセプト3-5mgで気分不快中止、ハートクリニックさわだ。R6/9メマンチン5mgで気分不快中止、こころのクリニック。物忘れ、妄想(死んだ家族がみんな生きている、物が消える、具体的な妄想)、夜間不眠、夜間せん妄、徘徊、生真面目、薬物過敏を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③右側頭葉萎縮軽度、④右海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:5、ピックスコア:1、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:20/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒1錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にシトルリン・田七人参含有赤ミミズ粉末1Capを勧めた。半独居のためメコバラミン0.5mg、夜間せん妄にロゼレム8mg/リボトリール0.125mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。8日後、中核症状は改訂長谷川式:24/30(+4)、近時記憶5/6(+2)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:HbA1c6.4,Alb3.8,Zn55以外異状なし。VitB1=26,VitB12=314,葉酸=7.4,VitD=12.7。ビタミンB12低下症にメコバラミン0.5mg継続、ビタミンD欠乏症にエディロール0.75μg開始した。糖尿病で食欲旺盛であり、亜鉛欠乏症に対するプロマック投与は回避した。 治療のポイント 1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 上記参照 2.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療 上記参照 3.ビタミンB12低下症 上記参照 4.ビタミンD欠乏症 上記参照 5.味覚低下または亜鉛欠乏症 上記参照
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Last updated
May 1, 2025 06:14:49 PM
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