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味くんの家族再生支援日記

味くんの家族再生支援日記

論文 分離親子の相互成長のために

               
     for mutual growth at separated family       
      分離親子の相互成長のために          09.1.20







          日本家族再生センター  japan family revirth center 
              味沢 道明      Ajisawa Michiaki



















はじめに 

離婚と虐待の関係

離婚をめぐる現状

資料 離婚と面接交渉に関する法律 国際比較

離婚を巡る家族関係の修復のために 

日本家族再生センター関連組織の援助

ビジテーションサポートの実績

ビジテーションサポート、ガイドライン

事例

まとめ

参考文献


















分離親子の相互成長のために                日本家族再生センター
for mutual growth at separated family       japan family revirth center
                             味沢 道明

はじめに

虐待防止法ができさらに改正強化されたにも関わらず虐待は減る様子を見せないし、法的解釈では虐待と相互に関連づけられたDVも一向に減る様子はない。私はDVや虐待さらには高齢者虐待など、いわゆる親密な関係における暴力について、暴力をなくすには暴力の本質を理解し、その原因に対する複合的な支援がなされなければ、暴力はなくならないと主張している。その根拠でもあり、実践でもある複合的な援助(注1)を長年続けている。特にいわゆる加害者に対する脱暴力支援としては先駆的な立場で活動を続けている。その複合的援助の現場では、離婚により親子分離となった関係についても支援を続けている。その中で離婚と虐待の相関や、離婚後の親子面会支援による虐待の予防について見えてきた事をお伝えしたい。

離婚と虐待の関係

 虐待の背景には様々な要因があるが、社会的孤立、対人関係能力の未熟さ、経済的逼迫などがあり、単に親としての養育能力の問題や暴力的言動を誘発する認知の偏りだけではない。この社会的な要因について対応を考え適切な支援を提供する援助者がいればいいが、福祉全般が厳しい状況の中ではややもすると個人的な問題に援助者自身の視点がいきがちである。こういう状況のなかで、DV防止法、虐待防止法ともに罰則分離強化が指向され、それは家族解体の加速化に加担していると言わざるをえず、結果的に虐待の社会的背景をより悪化させている。東京都がまとめた「児童虐待白書」05年版によると、虐待する家庭の家族形態は、実の父母と子どもの家庭が43.6%を占める。その一方で、ひとり親家庭が35.6%、実母と継養父の家庭が11.7%もあった。全家庭に占めるひとり親家庭7.3%と虐待の起る割合はひとり親家庭において極端に高いことがわかる。この事実をみれば、児童虐待が増加している背景に、離婚や夫婦関係の破綻があることは明らかである。
 そこで本論では養育する親が孤立逼迫する原因の最大の出来事である離婚について、離婚にいたるプロセスと離婚後の親子関係について子どもの人権と言う視点で論述する。  
            注1 (04.5.15 子どもの虐待とネグレクト第6巻1号)
離婚をめぐる現状

我が国では年間25万件の離婚がありその六割にこどもがいる。一方離婚後の親子面会を求める面接交渉の申し立ては年々増加し06年度は五千五百件近くになっている。離婚後の分離親子の面会は65%ができていない現実がある。これは離婚に際しての対立が激しく子どもの奪い合いが生じていることもその一因である。そもそも離婚するしないに関わらず、こどもが親に養育される、親に面会できるということは子どもの人権であり、子どもの権利条約九条第三項でも父母の一方もしくは両方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも直接の接触をする権利として規定されている。批准各国はその制度的保証として、離婚分離親子の面会に法的強制力を持たせている。(注、国際比較)子どもの福祉に反さないかぎりにおいて養育親が分離した親と子の面会を許可しないのは子どもに対する虐待とみなされうる。国際離婚の場合はハーグ条約では誘拐とみなされ、逮捕勾留の対象ともなり得る。しかしながら我が国では、子どもは家のもの、親のものとの意識が強く、また先進諸外国の中では例外的に単独親権制であること、親子面接交渉にあたって裁判所の強制執行権がないことなどから、こどもが離婚した相手方の親にあえないという現実がごく普通のこととなっている。またそれは、非監護親の養育の義務の放棄を認めていることでもあり、養育親の負担を増大させているという現実となっている。現実の離婚では母親が親権・監護権を持つ事が圧倒的多数だが、これは育児は母親がするのが当然とする、家族、労働形態、と、現状の親子関係追認の裁判所判断がある。けれど、離婚に際して対立が深まり相互不信が嵩ずれば、親子面会も難しくなり、それは養育費の不払いなもなりかねず、養育する親の経済的負担が増加し、生活の逼迫をもたらしさらには親子面会の不履行の原因となり、悪循環となる。こうした事が原因となり先述の東京都の調査結果のような現実にいたる。







離婚を巡る家族関係の修復のために 

虐待は単に個人的な素因だけでおこるのではなく、社会病理として複合的な要因が存在する。従ってそれに対して複合的な援助を提供する事がDVや虐待の防止には有効である。日本家族再生センターでは、様々な援助を複合的に提供することで、縦割りの弊害を防ぎ、ラポールの維持のもと効果的な脱暴力のための支援につなげていくことが可能となっている。

  日本家族再生センター関連組織の援助

グループワーク

 男性向けのグループワーク 
 女性向けのグループワーク 

カウンセリング

 加害者カウンセリング 被害者カウンセリング
 カップルカウンセリング 家族カウンセリング
レターカウンセリング  電話カウンセリング

暴力や自傷行為、引きこもり、鬱、セクシャリティー
などの困難や悩みを抱えておられる方のカウンセリングを行います。

ビジテーションサポート (親子面接交流支援)

離婚や別居で親子が分離して生活している場合、安全で有意義な面会のた      
めの状況設定、面会支援、などを行います。両親が共同で面会し子育てす       
ることが理想ですが、面会同室を望まない親であれば、養育している親か       
ら子供さんを預かり、面会する親にスタッフのみまもりのもとで面会し親       
子交流をしていただきます。
       
アドボカシー
問題に直面した当事者は心理的にも身体的にもかなりの困難を抱え       
ており、安定した対人関係を作ったり、対話を持つこともできなくなっている場合があります。問題解決には対人関係上の作業が不可欠ですが、当事者一人ではできない場合は、付き添いや代弁が必要な場合もあります。この援助がアドボカシーです。

保育サポート・家事支援
家族の解体再編や、家族の分離、などで家族の機能不全がおこっている場合、その不足した家族機能としての、子育てや家事などの援助を提供します。




ビジテーションサポートの実績

離婚が増加し分離親子が面会できない状況があるにもかかわらず、それを支援する援助論も援助組織もほとんどないのが現実であり、日本では民間でわずか数団体があるだけである。
私が代表する日本家族再生センターではこうした分離親子に対する面接交渉支援(ビジテーションサポート)を五年間、業務として行なってきた。その実績は五年間18組175件に達する。



日本家族再生センターでのビジテーションサポートは子どもの福祉にかない、すべての当事者にとって安心で安全な面会を保証するためにガイドラインを設けている。またこの援助を利用するにあたり、利用者の費用負担が発生するが、その負担額は当方の他の援助料との兼ね合いも考慮し、おおよそ、一般的な養育費の十分の一ていどの料金設定(一時間あたり)としている。

ビジテーションサポート、ガイドライン

目的

日本家族再生センターでは、別居・離婚などで分離された親子の安心で安全な面会(親子面接交渉)をサポートする「ビジテーションサービス」を援助の一環として提供しています。子どもの権利条約に則り子どもの健やかな成長のための「両親に愛される権利」を具体化することを目的としています。

背景
日本では子どもは家のもの、親のものという価値観が伝統的にあり、それは現在も変わりません。しかしながら単親権性で面接交流が法的に保証されていない現実で離婚件数だけは増加しているため、親にあえずに育つことを強いられる子供達が激増しています。こどもの健やかなアイディンティティー形成に自らの出自を知り、その親との関係を確認するという作業は不可欠です。こどもの権利条約で親子面接の保証が謳われる所以です。この法的制度的不備の改正を座視して待つのではなく、できることから援助として提供していくために、ビジテーションサポートを行ないます。


安心で安全な面会のために・・・・

事前の確認

子どもにとってそして双方の親にとってベストなビジテーションにするために以下の点について確認をします。そのために双方の親とこども本人の事前のカウンセリングあるいは面接を必要とします。

 分離に至るプロセス

協議離婚、調停離婚、あるいは裁判離婚、などの離婚あるいは別居に至るプロセスの確認。そのさいの合意書あるいは調書などがあればその内容の確認。

 現状の確認

現在の住所地、経済状況、生活状況、健康状況などに関しての確認。特に子どもに障害やアレルギーなどがあれば詳しく聞き取ること。また係争中であったり、保護命令が出されていたりする場合は、特にその点が面会のトラブルになりやすいので遺漏ない確認を要する。

 希望する面接の状況

面接の場所時間、両親の同室あるいは分離、受け渡し、費用負担、連絡方法などについてそれぞれの希望を聞き取り、双方の希望にできるだけ近く、且つ子どもの福祉にかなう条件設定をし、合意書(別紙参考)を取り交わす。


面接実施

  ビジテーションスタッフ(ペアレンティング・コーディーネーター)

基本的にビジテーションは2名以上のスタッフが関わり、1人は面接の見守り、あるいは養育の支援を行ない、1人は緊急時の対応や連絡役としてスタンバイしておく。いずれのスタッフも保育サポート、保育士、カウンセリング、など、対人援助の資格を持つか、その実務経験を有し、且つメンズカウンセリング講座(注2)受講者であること。
       注2 日本家族再生センターの行う男性学に基づいた援助論、カウン       セリング論の講座、ジェンダーセンシティブ、当事者性を基本とする。
 連絡

双方に信頼関係があり、問題なく連絡ができるのであれば、双方で直接連絡することはかまわないが、係争中、保護命令中、どちらかが、直接連絡することを望まない場合などにおいては、基本的に連絡は当センターが仲介し連絡をとる。面接実施の数日前には、受け渡しなどの設定、こどもの状況などについて、最終確認を行なう。

 受け渡し

双方が接触を望む場合以外、こどもの受け渡しはスタッフが仲介し、特に係争中あるいは保護命令中、双方に不信感がある場合は特にニアミスが起こらないよう、受け渡しに配慮すること。その際、こどもの状況なども含めて面接に必要な情報は聞き取り、相手方に伝えるべきことは連絡する。

 面接

こどもの年齢によるが、幼少の場合は一時間半から二時間を基本とし、成長に合わせて時間を延長することもあり得ること。場所はセンターの面会室を基本とするが、センターの周辺の公園などの散策や遊技も可能とする。が、いずれの場合も基本は
スタッフの立ち会いのもとで行なうこと。また事情により遠隔地の場合は、当地の施設を利用することも可能である。その場合も受け渡しや面会についてはセンターで行なう場合と同様、見守りや支援のスタッフの存在と連絡役のスタッフがセンターにスタンバイしておくことに変わりはない。

 記録・報告

受け渡しの状況、連絡事項、面接の状況などは子細に記録し、記録は三部綴りとし、センター、双方の親、それぞれ一部づつ保管しておくこと。


緊急対応

 受け渡しのトラブル 

双方が事故、交通事情などによって、遅滞が起こった場合は速やかに相手方に連絡し、時間や場所の設定変更を行なう。あるいは面接のキャンセルを連絡する。

 面接時のトラブル

事故、疾病などにより、面接が困難になった場合は双方と連絡協議し、面接を終了する。面接が継続可能な場合は、相手方に状況を連絡し、対応を聞き取った上でスタッフが対応し面接を継続する。


必要な介入

 保育あるいは教育的配慮

面接する親はえてして子どもの生育や発達に対して充分な知識やスキルを持っていない場合が多く、子どもには負担が大きかったり、時には不適切な指導になったりする場合もある。かような場合はスタッフが指導的な介入を行なう。

  例  寒暖、発汗、脱水、空腹、排泄、などについて、おむつ替え、きかえ、
    おやつや飲み物などに関する指導をし、面接する親の養育能力を高める

  例  遊びや学びなどについても、こどもの年齢や成長のレベルに相応しい
    道具や内容について提示し、過度な負担となるような教育的態度や、叱責    
    をしないよう指導、介入する。

 中立的立場の維持

係争中の事例、DV事例、あるいは分離の際の受傷の深い場合、双方に対する不信感やネガティブな感情が強く、相手に対して前向きに対応することが難しく、その感情に基づいた言動を子どもにしてしまうことが多い。これは、子どもにとって過度の負担や困難の原因となり、子どもにとっての有意義な面接にはならなくなる。したがって、かような場合は子どもの心理的負担を増やさないよう、スタッフが介入する。
  例 それぞれの親の生活スタイルや価値観などについて、相手方の非難や調査    にならないよう、また、相手方に対する仲介を子どもに依頼しないよう、面接の状況における親子の対話について確認すべく親子の対話にスタッフも第三者として参加する時間を積極的に設ける。この際、監視、盗聴にならないよう、配慮すること。

以上のガイドラインに沿ってビジテーションサポートを累計で176件行ってきたが、大きな事故やトラブルは発生していない。ちいさなものでは、野外でのビジテーションでおそらく毒性植物によるものと思われる皮膚湿疹がおきた程度である。
体調不良によるキャンセルや日程変更は数%から10%ていど発生しているが、それが双方の不信感の増大にはならずに、推移するのも、スタッフの適切な仲介があるからと、判断している。



事例

事例1  夫婦間の対立・不信感が強く、調停での取り決めにも関わらず、養育する妻が面接に拒否的で、夫婦それぞれに対し個別のカウンセリングを数回ずつ行い、また母子のカウンセリングも数回おこなった。子ども(7歳)とスタッフのラポール形成は順調で、父と子の面会に問題はないとの判断をし、ビジテーションを行った。子どもと父親の面会は順調で、短時間のうちに相互の関係を確認し、次回の面会の約束を父子でするなど、とてもいい状況であったが、そのことが母親の不安をかき立てたのか、二回目の面会が納得のいく理由もなく拒否されてしまった。この事例はビジテーションサポートを始めたころの事例で、母親の不安に対するケアが足りなかったとの、結論に至る。

事例2  28回のビジテーションサポートを行った事例で、この事例の場合、当初から面接する父親と4歳の娘の関係が良好で相手方の母親もそのことは理解しているというレアなケースである。スタッフは受け渡しの場面と緊急対応だけでサポートした。面接の場所や状況などを聞き取り、母親に報告するという作業をおこなった。ほぼ二年半の間に、両親の間の信頼感が醸成された様子で、当方の支援を必要としなくなり、知人の第三者に仲介を依頼することになった。

事例3  この五年間継続してビジテーションサポートを行っている事例では、当初二歳半で、若干対人不安や過度の緊張のあった女児は今ではごく普通の小学1年生に成長した。女児は当初父親の記憶はほとんどなく、父親に警戒心を持っていた様子であるが、毎月の面会を重ねる内に、自己主張したり、甘えたりできるようになっていった。父親は毎回別れ際に女児をハグ(だっこ)しているが、女児もいやがることなく、ハグしている。
父親も当初は教育的意識が強く、しばしば女児に過度の負担をしいるような場面もあったが、スタッフが介入し受容的に接する様助言した。その結果もあってか、次第に父親も受容的かつ共感的にこどもに接するようになり、子どもとの関係も良いものに変化した。具体的には父親を呼ぶ時、当初は無言であり、そのうち父親の固有名を使うようになり、四年目くらいから「お父さん」と呼ぶようになり、その呼称が変遷した。


まとめ

離婚後の夫婦関係の状況にかかわらず、子どもは両親との関係を安定的に紡ぐことが理想であるが、離婚を巡る対立はそれを困難にしている。現行法制度、行政システムの限界がそれを助長している現実の中では対立する両親の仲介・サポートを可能にする専門職、ペアレンティング・コーディネーターの存在が不可欠と判断する。こどもの権利条約で詠われる分離親子の面会の権利が現実的に保証されない我が国の後進性にかんがみると、養育親の負担を軽減し、こどもの人格形成に安定性を付与するには、早急にビジテーションサポートを普及させ、またそれを可能ならしめるペアレンティング・コーディネーターの養成が求められる。そうすることで、離婚家庭、単親家庭、再婚家庭の経済的心理的負担を軽減し、虐待に向かう様々な圧力から親子を護ることも可能となる。
ひいては、養育親の社会的孤立や経済的ひっ迫、葛藤の深化を予防し虐待の発生にブレーキをかけ、また子どもの安定的なアイディンティティー形成に寄与することで暴力の連鎖を予防することにも繋がるものと確信している。事例などまだ僅少であり、仮説の域をでないが、社会にこの支援形態が普及することで、それが実証されるものと確信する次第、その意味と方法論を拙稿であるが論述した。


  参考文献・資料 
     
     虐待と離婚の心的外傷   棚瀬一代  朱鷺書房       01.08
YWCA of western massachusetts visitation center program 03.12
複合的援助の可能性  子どもの虐待とネグレクト 第6巻1号 04.5.15
     家族の暴力を乗り越える    共著     かもがわ出版   02.12
     殴るな~メンズカウンセリングの提言~ 味沢 オリジナルブックマイン  06.12
     日弁連「家裁シンポジウム」資料               06.12
こどもの福祉と共同親権 財)日弁連法務研究財団 他編 日本加除出版 07.11
     脱暴力のためのファシリテート    味沢 日本家族再生センター  07.12


すみません、正本に掲載されている、各国法律比較、などの添付資料の添付方法がよくわかりません、割愛しました。詳しく知りたい方はお問い合わせください。

     



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