修復
先日ある知人から電話が入りました。彼はDVが元で妻が子どもをつれて家出、典型的なパターンで調停、訴訟と進み、離婚は成立しましたが、面接交渉もなかなかすんなりとは進まないものの、とにかく無理はせず、彼女とは争いにならないよう、弁護士もつけず、できる事を少しずつ誠意を持って対応してもらえるように、私もサポートを続けてきました。彼は家族も仕事も金も失ってしまいました。生きる意味もないと落ち込む彼を支えたのは、彼の楽器であり、彼の奏でる音を聴く人達でした。ミュージシャンの彼は、子どもが多少情緒障害があったので、学校に行かない子どもに自身の技能を少しずつ子どもに伝えていました。子どもは父親と別れてもその楽器を手放さず、トレーニングを続けていたようです。彼女が家を出て、三年半でやっと、彼は子どもと面会を果たす事ができました。それから、少しずつ、面会を重ね、電話での自由な会話も可能となりました。で、面会したときに親子で楽器を楽しむ事もできました。子どもは、父親に音楽のことでいろいろと相談するようになり、先日「お父さんのようなミュージャンになるからいろいろと教えて欲しい」との連絡をもらったとのこと。彼から電話でこの話を聞かせてもらって、ほんとにうれしくなりました。彼の暴力で家族が深く傷付いた事は事実ですし、その事で彼自身も全てを失ってしまったのも事実です。けれど、彼がどんなにひどい暴力を振るったとしても、彼は謝罪しつぐない、そして子どもに対して先を歩む人として、子どもに愛と信頼を伝えること、それは可能である事、そんな事を彼は私に教えてくれました。こんど、彼の住む近くに行く機会があるので、彼のステージを聴く事ができそうです。ほんとうれしいです。ああ、こんな話誰も信じないかな。それとも、私の自己顕示としてしか映らないかな。自分のクライアントが回復したよ、みてくれって、いいたいんだろうって。まあ、言いたい人には好きに言わせておきます。私が伝えたいのは、どんな暴力を振るう人でも非暴力へ変わりうるし、そのエネルギーは「希望」だということ。このお話、もちろん、アレンジしています。