味くんの家族再生支援日記

2008/12/16(火)03:19

被害者の回復

DV(163)

先日の虐待防止学会のある分科会でDV被害者がパネラーとして話されていました。離婚してかなりの年月になるけれど、彼女は離婚に到るプロセスと離婚後のプロセスを語ってくださいました。 彼女の語りはいろんな被害者の語る、被害者の傷付きの深さと、そこから立ち直る事の困難や回復の難しさ、と共通するものでした。 で、私が何かお話に期待したかったのは、真実の回復に到るプロセスですが、残念ながら、彼女の傷つきや不安はまだ癒される事なく続いているとの事、聴いてる私も胸が痛みました。 彼女の語りには語られる事のなかった、不安や痛みからの解放を彼女が一日も早く自分のものにされる事を願ってやまない私。 私も少なからず被害女性のお話を聞かせて頂いてきましたが、私なりに、被害者の傷つきの癒し、不安からの解放に一日もはやく到るように、支援してきました。 で、一般の女性相談、被害者支援と私の援助が異なるのは、加害者対応の有無です。加害者を野放しにするのは危険ですし、ヒートアップした加害者に対してそれなりの対応もできなければ、被害者は不安から逃れられません。 私は加害者に対してカウンセリングやグループワークを行いますし、それを拒む場合は被害者の安全確保のための様々な手だても考えます。シェルターへの緊急保護はもちろん、緊急電話対応、長期的な安全確保のための保護命令申し立てや、法的処置への助言もアドボカシーとあわせて行うことも可能です。 被害者に対して加害者の心理状況などを知らせる事も被害者の安心感を高めるには大切な事ですし、加害者がヒートアップしないような対応や非暴力化していく対応を順次進めていく事は、被害者の安全確保には不可欠です。 いずれにしても、被害者が加害者から逃げ続け不安な日々を送るという事にはならないように支援していきます。同居が危険であれば双方の合意のもとの別居もあるし、どうしても結婚が無理であれば修復的離婚という選択をされる方もおられます。 被害者支援よりも上手に、警察よりも柔軟に、加害者対応しながらの被害者支援があれば、被害者が加害者の攻撃を恐れ続ける必要は随分すくなくなります。被害者の回復や癒しには、加害者に対する不安や怒りから解放される事が必要だけれど、そのためには加害者の脱暴力支援なり、もう少しハードな加害者対応も時には必要。 その仕組みや援助論が法的制度的に認知されていない今の日本の状況では、本当に被害者が回復するのはとても難しい事と思います。被害者が不安や悲しみや怒りに苛まれながら暮らす日が一日でも少なくなる事を願ってやみません。

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