味くんの家族再生支援日記

今日も被害者と言われる人たちやその支援者の方から連絡がありました。被害者は自分が被害者として申し立てる事で事態を荒立て、問題をこじらせるのではないか、自分がもう少し辛抱すれば解決するのではないか、との思いで辛抱するのですが、その辛抱する事は事態を温存させ、問題解決を難しくしていきます。

で、ギリギリまで耐えるのですが耐えきれなくなって、相談に行くとあなたは悪くない、ＤＶ加害者は変わらないし危険だからできるだけ早く保護命令を申し立てて、安全を確保したほうがいい、それまではシェルターもありますよ、との助言を受ける事になります。

確かに、あなたは悪くないと言われると、相談するとか申し立てるとか言う事をした自分に対する罪責感は薄まるでしょうし、怒らせた自分も悪い、と考えて自分を責めていた痛みからも解放されます。その事自体は悪い事ではないのですが・・・。

けれど、現実に暴力が起こるのは相互の人間関係の中で権力構造ができ、支配する、される関係が固定化されているという現実があります。さらに、相互に性役割に依存しつつもその役割を演じきれない状況が発生すると、たちまちパワーコントロールは暴力と言うかたちになってしまいます。

法的には善悪で語る事も必要ですが、心理的には善悪で語る事は無意味なだけではなく、暴力の背景や対策を見えづらくさせるので有害です。

暴力的な関係になったプロセス・・それぞれの家族意識やらジェンダーバイアス、自尊感情やコミニュケーションスキル等について、それぞれが理解し、それぞれの抱える問題を克服しなければ、本質的な解決には至るのはとても難しいものです。

パートナーと別れても、それぞれの問題が解決されなければ、再びそう言う相手を選んで、またＤＶが再発すると言う事になりかねません。

私は安全確保のために必要な分離は行いますが、離婚するかしないかというのはまた別の話しです。コントロールしない、されない、対等な関係の中で相互に尊重し対話を重ね、関係を決めていくべきであって、それは修復的な離婚となるので、相互の将来にとって不利益を被ることは少なくなります。

けれど多くの被害者は私のような援助を受ける事はほとんどありません。加害者対応のできる被害者支援もなければ、加害者対応できる所と連携している被害者支援もほとんどありません。いきなり、シェルターに入り、弁護士を伴って強硬、一方的な離婚を求める事になります。これは法律を使ったパワーコントロール以外の何ものでもありません。

そこでは、相互の対話もありませんし、（調停では離婚と金の駆け引きのための泥仕合をするだけ）お互いが納得して離婚する訳でもありません。当事者から聴くのは痛ましい話しばかりです。

私のところにつながってくる当事者の方もいろんな方がおられますが、結果的に修復的離婚に向かう人もあれば、再同居される方、別居を維持する方、いろんな方がおられます。けれど、被害者やその関係者が事件に巻き込まれると言う事は起こっていません。

それは加害者を悪者として追いつめない、悪い言い方をすれば野放しにしないということ。適切なケアをし、脱暴力支援を続けると言う事ができるから、ということもあるでしょう。さらに被害者に対しても、その方の抱える様々な問題について様々な支援を提供すると言う特徴があります。

ＤＶだけに限らず、暴力は加害者被害者と特定しても解決する訳ではありません。パワーコントロールの社会的な連鎖（玉突き）の中で暴力は起こります。そのパワーというのは、権力や知識や名声、経済力、等様々なパワーがあり、強者は弱者をコントロールする事で、自身の敗者、弱者の不安から逃れます。

このパワーに依存し、弱者をコントロールし強者にはコントロールされる対人関係の取り方を持っている人は容易に加害者にもなれば被害者にもなります。相手次第、状況次第でしょう。

ですから私が被害者に伝えたいのは、暴力を振るう相手を変えるのは無理だからあなたがパワーにコントロールされない人になってくださいね、ということ。もちろん、加害者は私が脱暴力支援しますから、私に任せてくださいね・・と。ということで、私の所では、加害男性がシェルターに入る事もすくなくありません。