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魂の叫び~響け、届け。~

想いの果て

可愛い俺のハニー、いくちゃんがスネて書いてくれたお話です。

『こんなに僕はキミの事が大好きなんだ…』
と言われてるのがひしひしと胸に来て、生涯大事にしなくちゃなと思いました。(三つ指土下座)


そんないくちゃんのお話が、もっともっと読めるサイト『えぶりでぃ はっぴぃ』コチラ!

※著作権は執筆者様が持っていますので、無断での持ち帰りはしないで下さいね。



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―――― 愛してる――――

何度、そう君に伝えれば、この愛しさに終わりが来るんだろう・・・



想いの果て


最近、胸の辺りがざわざわする。

原因は判ってるんだけど・・・。


ピピッ

僕たちのこの家へ、通信が入ったことを知らせる電子音。
その無機質な音に、思わず僕は顔をしかめる。

「アスラン、通信入ってるよ。」
僕はソファーで本を読みながら、パソコンで熱心に調べ物をしているアスランに声を掛けた。
「キラが出てくれよ。俺ちょっと忙しくて。」
やっぱ、そうくる訳ね。
でも、僕はいやだから。
だって、どうせ・・・
「どうせアスランへの通信なんだから、最初からアスランが出た方がいいよ。効率いいじゃない?その方が。」
僕はおどけて、でも笑顔は見せずに言った。

すると、奥のデスクで作業をしていたアスランが、ため息と共に立ち上がった。
「ったく、お前は。何拗ねてんだか。」
僕の前を通り過ぎながら、僕の頭をくしゃっと撫でていくアスラン。
「拗ねてなんかっ・・」
ピッ
否定の言葉を言いかけたところで、アスランが通信を繋いだ。
そうすると、僕は黙るしかなくて。

『アスランさん、こんにちはv』
モニターから聞こえてくる可愛い声。
見なくても判る。
これはメイリン。
一緒に居た時間は短くても、こう毎日のように声を聞いていれば、イヤでも覚えてしまう。
『アスラ~ン、久しぶりっ。元気ですか?』
これは、ルナマリア。

ホーク姉妹。
二人とも可愛くて、いい子。
ルナマリアは僕はあまりよく知らないけど、メイリンはアスランがザフトを脱走する時に連れてきちゃったから、話もしたし。
うん。
素直でとってもいい子。
ほんとにね。

けど・・・・・
ごめん。気に入らない。
だってね、だって・・・・

『アスランさん、例の件なんですけど。資料まとまったので送りますねv』

ほら、なんかもうハート飛んでるし・・。

アスランのこと、好きみたいだもん。

さっき、アスランに何拗ねてるのって言われた時は、拗ねてない・・・なんて言おうとしたけど、アスランが当たり。
思いっきり拗ねてるよ。

やっと戦いが一段落して、オーブに戻って・・・。
僕たちはそのまま、月基地の処理やプラントとの国交・戦後復旧の任について、カガリの元で行動を共にしている。
本当は、僕の立場からしたら、カガリの傍にいなきゃいけないんだ。
でも、カガリはアスランと一緒に居ればいいって、言ってくれた。

そんな、カガリの気遣いで一緒の家に住まわせてもらってるのに。

最近はお互いにずっと仕事が立て込んでいて、この家には寝に帰るだけのような状態。
シャワーを浴びてベッドに入ると、隣に有る温もりを感じながらも疲れから来る睡魔には勝てず、深い眠りに落ちてしまう。

そんな日がずっと続いて、やっと・・・・。
やっと一緒に取れた休みなのに。

君が傍にいるのに、なんとなく一人ぼっち。

一週間ほど前からは
「キラ、先に休んでていいよ。お前の方が疲れてるんだから。」
って、アスランは先に僕を寝室に追いやって、一人で何かをしているらしい。
その頃から、夜遅くに入る通信の相手はホーク姉妹で・・。

何やってんの?アスラン。

僕が
「昨夜の通信誰だったの?」
って訊いても
「あぁ、メイリンだよ。」
って隠すこともない。
だから安心していいって、判ってるんだけど・・。

なんだか、凄く不安なんだ。
僕だけが、君の事愛してるような気がして。
君には大切な仲間がたくさん居て、もちろん僕だって居るけど・・。
でも、この愛しさはアスランだけ。

なんだかアスランだけが段々大人になっちゃって、真剣に仕事に取り組む横顔にドキドキしてしまう。
家のソファーで居眠りしている時の無防備さに、胸がきゅっとなる。
一日顔が見れなかっただけで、苦しくて切なくて、どうしようもなく会いたくて。

こんな気持ち、僕だけなんじゃないかって、不安になる。
アスランも僕のこと好きで居てくれるって信じてるけど、それでも僕の想いのほうが強すぎる気がして。

愛してる
愛してる
アスラン・・
君を愛してる

何度伝えても、伝えきれない。
後から後から、君への想いが溢れて止まらない。

どれくらい君に「愛してる」って言えば、この溢れる想いに終わりが来るの?

「・・・ラ、キラ?おい、キラっ!」
「え・・・?」
アスランに肩を掴まれて、アスランが僕の目の前に居ることに気づいた。
「え?じゃないよ。さっきから呼んでるのに。」
「あぁ・・・ごめん。ちょっと考え事してて・・。」
「キラが考え事?珍しいな。何考えてたの?」
そういって目の前にしゃがみこんだアスランは、俯きがちな僕の顔を覗き込んでくる。
綺麗な翠の、優しい目で。

やめてよ。
そんな目で僕を見つめないでよ。
でないと、僕・・・
「ぼ、僕だって、考え事くらい・・・。」
「キラ?」
言い終わらないうちに、頬に濡れた感覚。

ダメだ。
泣きたくなんてないのに。
戦闘があった時だって、アスランがザフトに戻った時だって、ずっと泣かずに居られたじゃないか。
なのに、何でっ?
「・・くっ・・う・・。」
「キラっ!」
アスランが僕の隣に腰掛け、僕の肩をぎゅっと抱いた。
「キラ、どうした?キラ?」
アスランが細い指先で、僕の頬を伝う涙を拭ってくれる。
「・・ごめ・・・なんでもな・・・。」
アスランを困らせてる、僕。

そんなのはイヤだから、アスランから離れようと腕をぐいっと突っ張ってみる。
「キラ・・。」
そんな僕をアスランはぎゅっと抱きしめなおす。
「アスラ・・・。」
驚いた僕が顔を上げると、こぼれる涙を今度は唇で拭ってくれた。

「どうした?キラ・・。俺に言えないことか?それとも・・・。」
アスランはそこで言葉を切って、僕を抱く腕に更に力を込めた。
「それとも、俺がお前を泣かせてる?」
「アスラン!」
その言葉に名を呼ぶと、アスランは苦しげにその綺麗な顔を歪めた。

「アスラン・・・。」
「キラ・・。」
どちらからともなく、重なる唇。

温かい・・・。
アスランの腕も、唇も・・・。
胸につかえていた不安が、溶けて消えていくみたいだ。
涙も、いつの間にか止まっていた。

名残惜しそうに唇を離すと、アスランの手がそっと僕の頬に触れた。
「キラ、辛いことある?」
何度目かの問いかけに、
「なんでもないよ。」
と僕は答えた。
今度は笑顔で。
でもアスランは納得してくれなくて。
「なんでもないのに、泣くわけないだろ?」
そう言って、また優しく僕を抱きしめてくれた。
僕よりも大きな手が、背中をそっと撫でてくれる。

ほっとする・・。
アスラン。
君の腕の中は、なんて居心地がいいんだろう。
僕はアスランの胸に、頬を摺り寄せた。

すると・・

「寂しい?キラ。」
不意にアスランが問いかけた。
「そんなことないよ。」
ダメだ。
普通に答えようと思ったのに、声が震えてしまった。

すると、僕の体はアスランの腕によって温もりから引き剥がされた。
「アスラン?」
戸惑ったように名前を呼ぶと、アスランは真剣な目で僕を見つめた。
「ちゃんと言って、キラ。キラの思ってること、俺にぶつけてよ。」
「アスラン・・・。」
あぁ、やっぱり・・・
僕、君を困らせてしまってる。
「ごめん・・・・、ほんとに何でもな・・。」
「キラっ!」
一度離した僕の体を、アスランは殊更強く抱きしめた。
「お前はいつもそうだ。自分が辛い時に限って『何でもない』って平気な振りをしようとする。一人で抱え込んでしまうなら、俺が傍に居る意味なんて・・。」
「アスランっ!」
僕もアスランの背中に腕を回し、ぎゅっとその存在を確かめるように抱きしめた。
「ごめん。ごめん、アスラン。そんなんじゃない。ほんとは、寂しかっただけ。」
「キラ・・・。」
アスランがそっと僕の髪を撫でてくれる。
優しく、優しく。
労わるように。
波立っていた心が凪いでいく。

僕はゆっくりと胸の内を吐き出していった。
「最近お互いに忙しくて、ゆっくり話をする時間もなくて。最近はアスラン一人で何かやってるし、毎日のようにメイリンからは通信入ってくるし・・・。かっこ悪いけど、ただのヤキモチ。彼女はいい子だって分かってるけど、どうしても普通に話が出来そうになくて、通信が来ても出たくなかったんだ。だって、彼女アスランのこと好きだから・・。」
「メイリンが、俺を・・・?」
やっぱり、全然判ってなかったんだ。
相変わらずだね。
君は自分のことには凄く鈍感だ。
僕は少しおかしくなって、アスランの胸に顔をうずめながらクスクス笑ってしまった。

すると不意に頭の上からアスランの言葉が降ってきた。
「それだけ?」
「え?」
僕は顔を上げないまま、聞き返した。
「それだけじゃないだろ?キラの涙の理由。」
なんでだろう。
自分のことにはあんなにも鈍感なのに、僕のことにはどうしてこうも鋭いのかな?君って。
「キラ・・・。」
僕の言葉を促すように、耳元で優しく名前を呼んでくれる。

アスラン。
僕の想い、受け止めてくれるよね?

「アスランは、僕の事好き?」
「好きだよ。」
「愛してる?」
「あぁ。もちろんだ。愛してるよ。」
甘く囁くアスランの声。
僕だけのものだよね?

「不安・・・・だったんだ。」
「不安?」
「うん。最近アスラン忙しそうで。何か手伝ってあげたくても、君は『キラは疲れてるんだから』って僕を先に寝かせちゃうし。そのあと、いつもメイリンから通信が入って・・。
僕にも言えないことなのかな?って・・。」
「キラ、それはっ。」
「聞いて、アスラン。」
僕から体を離し、表情を伺おうとするアスランを、僕は背中に回した腕に力を込めて、それを阻止した。
「キラ・・・。」
「アスランは、僕のこと好きで居てくれるって信じてるけど・・。最近ゆっくり話も出来なくて、寂しくて。何となくアスランが離れていってしまいそうで。けど、僕はアスランが大好きで、すごく愛しくて。僕だけがアスランのことを愛してるような気がしてたんだ。どれだけ愛してるって伝えても、後から後から気持ちが溢れて、胸がいっぱいで苦しくて。けど、なんだかアスランが遠くて・・・・僕・・・。」

限界だった。
さっき押し留めたはずの涙が、堰を切ったように溢れ出した。
「キラ・・・、キラ・・。」
アスランが僕を抱きしめる。
苦しいくらい。
でも、アスランがここに居るって感じられて、嬉しい。
「今日・・・・久しぶりの休暇・・だったから・・。君とゆっくり・・・過ごし・・・・たく・・て。・・僕の・・・・僕の我がまま・・とヤキモチ・・なんだ・・。なのに・・困らせて・・・ごめん。アスラン・・・・ごめ・・・ん。」
泣いているせいで、言葉がうまく綴れない。
アスランは僕を抱く腕を緩め、頬に手を当て上を向かせると、今日一番優しいキスをくれた。
そして僕を見つめたまま「ごめん」と言った。

どうしてアスランが謝るの?
僕が勝手にヤキモチ妬いて、勝手に寂しいと思ってただけなのに。

「ごめん、キラ。不安にさせてごめん。俺がお前のためにと思ってしていたことが、お前を不安にさせてたんだな。」
「僕の・・・ため?」
アスランが僕を先に寝かせて、毎晩していたことが?
僕のためだったの?
「最近仕事が立て込んでて、お前が言うとおり話もロクに出来なかっただろ?」
「うん・・・。」
「だから、まとまった休みを取ろうと思って。」
「休みを?」
「あぁ。」
でも、それとアスランの夜更かしと毎夜のメイリンの通信がどう関係してくるの?
僕の頭の中の?マークが見えたのか、アスランは「そうか」と微笑むと、まだ目に溜まる涙を親指で拭い僕の手を取り立ち上がらせると、自分が作業しているデスクへと連れて行った。
「これ。」
アスランが僕に書類を差し出す。
それを受け取りパラパラとめくってみると・・・
「アスラン、これっ。」
それはあと5日で僕がまとめて提出しなければならない、仕事の資料だった。
「どうしても、今週末から一週間位の休みが取りたかったんだ。キラはたくさん仕事があるのに、こんな誰にでも出来そうな仕事までしてたら、期限いっぱいまでかかっちゃうだろ?けど、お前は手伝うって言っても『大丈夫だよ』って手伝わせてくれないだろうから。」
僕はあっけに取られて、言葉も出なかった。
僕を悩ませていた正体が、僕の仕事だったなんて。
「いつかメイリンと通信で話をしたら、今ミネルバも無くなって配属が決まるまでは休暇で暇だからって言うから、プラント側の資料を集めるのを手伝ってもらってたんだ。メイリンも快く引き受けてくれたし。」
メイリンとの通信も僕のため・・・。
それなのに・・・
「僕・・・メイリンに冷たかったよね・・。」
俯く僕の頭を、アスランはくしゃっと撫でた。
「大丈夫、気にしなくていい。それに、メイリンは俺たちのこと知ってるから。」
「えっ!?」
知ってるって・・・。メイリンが?
「キラの言うとおり、メイリンは俺の事好きだった。」
「アスラン、知ってたの?」
「あぁ。俺メイリンに告白されたんだ。けど俺は、キラだけを愛してるってきちんと言って、断った。メイリンも判ってくれたよ。なんとなく、そんな気がしてた・・・って。」

そんな・・・
大好きな人に受け入れてもらえなくて、メイリンだって辛いはずなのに・・。
それなのに、あんなに明るく・・。
僕は・・・
「恥ずかしいよ・・・。僕・・。僕の勝手な思い込みで、困らせて・・。」
「いや、俺がちゃんと最初っから言って置けばよかったんだ。突然長期の休暇をもらって、びっくりさせようなんて思ってたから。それに・・・。」
そこで言葉を切ったアスランは、僕の髪を撫でる。
それは泣いている子供をあやす様で、ちょっとだけ悔しかったけど、アスランの手のひらの温もりを感じていたくて、しばらくそのままでいた。
「それに、想いは同じだ。」
「同じ?」
アスランは大きく頷くと、綺麗に微笑んだ。
「お前がカガリのために一生懸命動いている姿を見ると、どうしても妬けてしまう。お前たちは血を分けた姉弟だ。だからそんな対象じゃないのは分かっているのに、どうにもお前を取られた気になってしまって。」
「アスラン・・・。」
「そんな時、俺だけがキラを愛しすぎてしまっているのかもしれないって、思うんだ。」
「アスランも、そう思ってたの?」
「あぁ。」

僕は結局自分のことしか考えてなかったんだ。
アスランと想いは同じだって分かっているつもりだったのに、自分だけが寂しいって思ってた。
早くちゃんと言葉にすれば良かった。

「ごめん、アスラン。ちゃんと言えばよかった。そうすればこんなに君を困らせることも無かったのに・・。」
「お互い様だ。それにキラの言うとおり、久々の休みだったのに全然構ってやらなかったし。」
アスランはちょっと苦笑い。
僕もつられて苦笑い。
そして、「ごめんな」と一言付け加えて、アスランは僕に口付けた。

優しく、でも、お互いの想いを確かめ合うように、深く・・深く・・。

そっと唇を離すと、綺麗な翠の瞳が微笑んで僕を見つめた。
「キラの俺への想いが溢れて胸がいっぱいになって苦しいなら、それを俺に頂戴。何度でも何度でも受け止める。だから、俺の想いもキラがちゃんと受け止めて?俺の想いもずっと溢れ続けてるんだから。」
「うん・・・。アスラン。」
僕たちはもう一度、深く口付けた。

僕は、一人なんかじゃなかった。

「仕事、一緒にしようか?アスラン。その方がもっと早く休暇がもらえるかもしれないでしょ?」
「そうだな。一緒なら俺たちは最強だからな。」
そう言って、おどけたようにアスランは笑う。

困らせてごめんね、アスラン。
メイリンも冷たくしちゃって、ごめん。
今度きちんと謝ろう。

これからもまた、不安になる時がくるかもしれない。
想いが溢れすぎて苦しくなる時があるかもしれない。
でも、そのときは君が受け止めて。

想いに終わりが来れば楽になるって、思ってた。
でも、終わりなんか無くていい。
胸に入りきらなくて苦しくなったら、二人で分け合えばいいんだ。
そうだよね?アスラン。

君と一緒なら、不安も悲しみも喜びも、ずっと・・・
分け合える幸せが、僕らにはある・・。



Fin.






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