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魂の叫び~響け、届け。~

宇宙の呼ぶ声

萌えツボの99.99999%以上がシンクロしてしまう、魂の双子YUEちゃんの書いたお話です。

もの凄いです…。
砂吐く程は甘すぎない筈なのに、なんだか判んないけど…ニヤニヤしちゃうんだ!
ラブシーンの所なんかは、ワタクシ勃起状態です。(下品スギ!)

乳首立ったからね!!(まだ言うか)

いやー、カッチンカッチン!!です。(切腹してお詫び)


そんなYUEちゃんのお話を、じっくり堪能して下さい。
(私…、こんな素敵な作品を前振りでツブしてる?ゴメン…ゴメンっっ)


※著作権は執筆者様が持っていますので、無断での持ち帰りはしないで下さい。


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宇宙の呼ぶ声





 アスラン・ザラはアークエンジェルの談話室で、無重力に身を任せて星々の煌く窓外の宇宙を見つめていた。担当医務官の『絶対安静』も、そろそろ許される頃だろうと勝手に判断しての云わば脱走だ。
 負った傷が軽いものではないのは自覚している。事実、隣のベッドで暇を持て余しているフラガ少佐──本人はネオ・ロアノーク『大佐』だと主張しているが──には随分世話になってしまっていた。
(情けないな、俺も)
 コツ、と窓に額を押し当てて呟く。情けない。大見栄をきってザフトに単身乗り込んだのは誰だったか。結局そのザフトに追撃され、重傷で保護されるなんて。
「あ、こんな処にいた!」
 シュンッとドアが開くと同時に掛けられた声の主は、ドリンクのボトルを投げて寄越した。ボトルから零れたドリンクが焦げ茶色の球体になって漂う。コーヒーらしい。キラ・ヤマトだ。
「探しちゃったよ。医務室に君はいないし、僕達の部屋にもいない。メイリンって子、泣きそうになってたよ? フラガさんも気にしてたし。『あの坊主ちょっと目を離した隙に脱走しやがった。少しは自分の身体ぐらい考えろ』だってさ」
「そうか、すまない」
「そう、それ」
「え?」
 何を指摘されたというのか、咄嗟に自分では判らなくて聞き返す。
「俺、何か変だったか?」
「無自覚なんだもんね。最悪」
 キラは自分用に持って来たドリンクに口をつけて云った。
「その、『すまない』ってやつ。『すまない』で済んだら楽だった筈のことなんて、両手の指でも足らないよ。第一……」
 俯いて、ドリンクのボトルに視線を落としてキラはぽつりと云った。
「それで済むなら、今頃こんな戦争してないよ。カガリだって泣いてないよ!」
「泣いてる……? カガリが? それは──」
 アスランは俯くキラの頬に触れた。びく、と肩が揺れた。
「泣いているのは、お前の方じゃないのか?」
「泣いてないよッ!!」
 頬に伝う涙をそっと拭ったアスランの手を振り払って、キラは涙混じりの声で云った。
「僕がしっかりしなくちゃいけないんだから、今の僕には泣いてる暇なんかないよ! そんな事、云われたら……余計泣けてくるじゃないか」
 アメジストの大きな瞳を潤ませて、キラは搾り出す声で云う。
「君はいつだって優しくて残酷だ。ああもう、なんでこんな男を僕は好きになっちゃったんだろう」
「俺を好きなら、俺を頼ればいい。お前を傷つけるものから守ってみせるから……」
 云って、アスランはキラの身体を軽く引き寄せた。額に唇を落とし、それから涙を舌で舐めとって。キラはなすがままに身を震わせる。
「……や……っ!!」
 キラの唇をアスランのそれが掠めた時、キラは抱きすくめられているアスランの腕から逃れようと拒んだ。アスランは素直にその腕を開放してやる。キスに潤んだ唇でキラは吐息に甘さの余韻を残したまま云う。
「アスランは本当にカガリが好きで指輪を渡したの? だったらどうして僕にこんなことして平気なの? ……僕は……カガリを裏切るみたいで、嫌だ」
 アスランは軽く息を吐いた。カガリへの裏切り。キラが気にするであろう事は容易に想像できた事だ。しかしアスランにも言い分はある。多少言い訳めいてはいるが。
「あのな、キラ。カガリのことはカガリ・ユラ・アスハという一人の女性として愛してる。でもキラは違う。違うんだ」
 ああ、どう云えばこの愛しい人は判ってくれる? 他の誰より愛おしいこの想い。
「キラは違うんだ。男だとか女だとか、そんなことは問題にならないほど好きなんだ。だから……」
 まだ紫玉の瞳を潤ませるキラにどう想いを伝えようかと言葉を探しているうちに、シュンッ、と音を立てて談話室のドアが開いた。
「……でさぁ、フラガ少佐が看護師のお尻触ったとか触らないとかで救護室大もめ。せめて目撃者がいれば少佐も言い逃れ出来ないんだけど……あれ? アスランくんこんな処で何してるの? キラくんまで」
 同じ様なドリンクボトルを持ったトノムラとノイマンが入室してきたのだ。
 アスランは咄嗟に、涙目になっているキラを背中に隠した。
「救護室のセンセイがオカンムリだよ? また傷口が開いても知らん!! って云って」
 肩を竦めてノイマンが云う。
「君がここにいたなら証言者はいないってことだな。少佐も気の毒に」
「触ってもおかしくない処が少佐らしいけどな」
 ストローの端を噛んでトノムラが笑った。もうここでキラとこれ以上の話をするのは無理だ。
「部屋へ行こう、キラ」
「救護室戻らなくていいのかい、アスランくん?」
「後で謝ります。それじゃ失礼します」
 キラの肩を抱いてアスランは談話室を出た。


 二人の部屋に戻ると、アスランはキラをベッドに座らせた。まだ涙ぐむキラの額にそっとキスを落とした。
「落ち着いて? 泣いてたら話なんて出来ないだろ?」
「……だって……アスランが……っ」
「俺のせい……なのか?」
「アスランのせいだよ! アスランが僕を好きじゃなかったらカガリは泣かなくていいんだ!!」
 そう云ってキラは、また涙を零す。しかしそれは無茶な仮定の話と云うものだ。
「キラを好きじゃなかったら、俺は俺じゃないよ。キラが好きだから俺は俺でいられる」
 アスランは云った。
「ヤキン・ドゥーエの時に、カガリに云われたんだ。『生きるほうが闘いだ』って。そんなカガリの強さに惹かれたのは確かだけれど、誰よりも愛しいのはやっぱりキラだよ……。キラを愛する決意を、カガリに貰ったんだ。だから、カガリも知ってる。俺達の事」
 キラが大きな目を見開いて驚く。知っている? カガリが、僕達の関係を!?
「知ってるなら、余計残酷だ。指輪を渡すなんて」
「ああ……あれは浅はかだったと思うよ、俺も。女の子にとっての指輪の価値って、俺達が考えるものより大きくて重いからな」
 ふっ、と自嘲的に笑ってアスランは云った。
「それでもカガリは俺を好きだと云ってくれてる。キラを愛してると云っても構わないと云ってくれてる。俺はそれに甘えてるんだ。……狡いな」
「狡いよ、アスランは。そんな事僕に云うのも狡い。僕まで……甘えてもいいのかなって思っちゃうじゃない」
「いいよ」
 アスランは微笑した。
「甘えていいよ。俺はいつだって、キラを甘やかしたい──好きだよキラ。君が好きだ」
「アスラン……そんなこと云われたら僕自惚れちゃうよ。アスランに好かれてるんだって幸せに浸って、自分を甘やかしちゃうよ」
「どんなふうに?」
 頬を染めて目を逸らすキラの顔を覗き込んでアスランは問うた。
「どんなふうにキラは自分を甘やかすの?」
「……こんな風に……」
 目の前にせまっていたアスランの肩に両腕を廻して引き寄せ、キラはアスランの耳朶を軽く噛んだ。そして吐息の声で囁く。
「アスラン……好き……」
「キラ……」
 頬を摺り寄せ、互いの唇を探して貪りあうよな口づけを交わす。性急なアスランの掌がキラの胸元を撫でた。
「アスラン……傷に障るよ?」
 アスランの情動に流されそうな自分を押し留めて、熱のこもりかけた吐息交じりの声でキラは云った。アスランはくす、と小さく笑った。
「そうだな。治ってからでもキラは逃げないな」
「逃げないよ。当たり前でしょう?」
 つられてキラも思わず笑い出す。
 と、その時。
「キラ、いるのか? 開けるぞ」
 カガリの声がドアの向こうから聞こえた。
「しまった。さっき俺ロックかけちゃった」
「ええっ!? 怪しまれるんじゃない!?」
「開かないじゃないか、キラ。どうかしたのか?」
「い、今開ける。ちょっと待って」
 慌ててキラはドアの電子ロックを解除した。
「キラ、アスラン見掛けなか……ってどうしてここにいるんだアスラン!?」
 部屋に入るなりカガリが声をあげる。なんとしても切り抜けなければ、アスランは双子二股だ。
「……フラガ少佐の邪魔しないように……その……」
「ムウさんって……アスラン?」
 何を云い出すかとキラは動揺する。
 
 しかし、アスランのこのひとことが、フラガの命運を決めたのだった。


「俺は無実だ!! ラミアス艦長!!」
「知らないわよ!! 2,3日営倉入ってなさい!!」


<.了>








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