殺:悪煙家


私は嗅覚が人並みはずれて優れている。

これは代々の遺伝で、


祖母(父方)

父(一人っ子)

私(長女)


と、北斗真拳に負けず劣らずの一子相伝による嗅覚なのだ。

しかし残念ながら、我が可愛い弟達はバカっ鼻。

玄関から帰宅し、台所の鍋の蓋を開け、中を覗き込んで
ようやく、「今日の夕飯はカレーか。」と気づくほどの無能鼻だ。

彼らの鼻はインテリア性重視のイタリア家具のように実用性がない。

ここで頑張らなくてはいけないのが嗅覚の宗家
この私だ。
来る襲名式の為に、日々精進しなくては。

と、意気込んでいる最近
私の出世を阻む奴等がいる。

愛煙家。

ヤツらは、なぜ公共の空気を害しておきながら平気な顔をして、
カッコつけているつもりになっているのだろうか。

燃やした葉っぱの煙を吸うことに依存してることを
カッコヨイと思うなんて
大勘違いもはなはだしい。

依存=自己管理のできないただのダメ人間だ。

いや、ただのダメ人間なら、私だって寛大な心で許す余裕はある。

タバコへの依存を、
人目にふれぬところで、
人知れず吸って解消するなら、
私はなんの文句もない。
どうぞご自由になさってください。

しかし、それではヤツらの一部は満足しないのだ。
『タバコを吸う俺様』を認識してくれるギャラリーが
悪な愛煙家=悪煙家には絶対条件である。

公共の場でモクモクとタバコをいぶすヤツらは
ただのダメ人間どころか
地球の空気を汚し、他人の健康を害する超ダメダメ人間なのだ。

嗅覚の宗家である私は、
煙の匂いで料理の味も悪くなり
何を食べても煙風味。

そりゃ、キミ達にはレストランで食後の一服かもしらんけど
その周りには、まだ食べてるお客さんもいるでしょう?

私の吸う空気を汚す権利は、キミ達にはナイ。

「ニコチン」に依存してるなら、ニコチンシートを貼りなさい。

「タバコを吸う俺=カッコイイ」に依存してるなら・・・・
もはや手のほどこしようがない。


愛煙家達よ。

タバコに汚されるのは
キミ達の肺
キミ達の家族の肺
キミのお家の壁
だけで充分だ。


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