ドジボ、実は文化的
以前、山形の天童っていう温泉に泊まったとき旅館の近くにあった『広重美術館』に寄ってみた。浮世絵の安藤広重の美術館。小さな美術館だ。美術館の前に3台分の駐車場があるんだけど敷地が狭いので何度も切り返ししなくちゃならない。隣にあるJTBの店舗ぎりぎりまで近づいて切り返す。そしたら…JTBの自動ドアが開いちゃった。車で自動ドアを開けたのは初めてだ…。JTBの女の子たちが、びっくりしてこっちを見ていた(笑)さて、広重は絵師だ。ま、画家ってことだ。それまでの私のイメージだと浮世絵って版画だから広重が自分で版木を彫ってるんだと思ってた。違うのだ。広重は原画を描くだけ。これは、北斎や写楽も同じ。(描くだけって言っても、その原画がすごいんだけどね)版木を彫るのは、彫り工房の職人だ。今で言うとイラストレーターがポスターの原画を描いて印刷会社が印刷するって感じ。ただ、当時の印刷は版画。原画どおりに版木を彫らなくちゃならない。例えば、広重のこの浮世絵。細かい色使いの原画が工房に持ち込まれる。それをスキャンして色素の割合を分析してプリント……なんてワケにはいかない。じゃ、どうするか?色ごとに版を作るのだ。赤の部分の版、青の部分の版、黄色の部分……と、全色分。10色あったら、10枚の版を作らなければならない。それを一版一版、紙に押していくのだ。全部の色がぴったり合うように。ちょっと脱線するけど版木を合わせるための目印を「見当」と言う。見当からズレてしまうと、仕上がりもズレてしまう。「見当外れ」とは、ここから来てるのだ。広重のこの浮世絵、細い雨が降っている。この一本一本が彫刻されたものだ。ちなみに、雨の線は彫刻刀でスーっと彫ったんじゃない。雨の線を残して他の部分を彫ってあるのだ。すごい技術だ。どっちかと言うと広重より、彫り師のほうがスゴイと思っちゃう。でも、彫り師の名前はほとんど残されない。どんなに技術が優れてても一介の下請け職人としてしか扱われないのだ。むむぅ…。彫り師たち、ちゃんと正当な報酬を貰えてたのだろうか?展示されてるたくさんの作品の、あまりの素晴らしさについそんなことまで心配になってしまうのだ…。地域の小さな美術館、意外と良かったりするよ♪たまには美術館に行ってみようかなと思った人も別にぃ~と思った人もまぁ騙されたと思って行ってごらんよ。で、行く前にクリックしてね♪