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むらさきのつぶやき

2020.11.06
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カテゴリ:つぶやき
  
               私の心の奥には
               紫色の小さな箱がひとつ

               心が薄汚れ
               大切なものを見失ってしまったとき
               美しい紫の色をしたその箱のふたを
               そっとあけてみます

               中には
               詩歌や写真・絵・和紙・千代紙・音楽・本など
               私の好きなものがたくさん

               小箱の中には
              「かぜのでんわ」も入っています

               このでんわで私は毎日のように
               父と母にひとことかふたこと
               話しかけています

              〈死んだときから本当の対話が始まる〉
               と言いますけれど
               本当だったのですね・・・

               そしてときどき
               社会人1年生の勤務先会社で出会った
               初恋の人にも
               かぜのでんわをかけています・・・
               生死もわからない方ですけれど
               どこかで幸せにお暮らしのことと
               信じています

               いま紫色の小箱からそっと取り出したものは
               島崎藤村の詩でした
               今でも空で言える数少ない詩のひとつです



                         初恋

                    まだあげ初(そ)めし前髪(まへがみ)の
                    林檎(りんご)のもとに見えしとき
                    前にさしたる花櫛(はなぐし)の
                    花ある君と思ひけり

                    やさしく白き手をのべて
                    林檎をわれにあたへしは
                    薄紅(うすくれなゐ)の秋の実(み)に
                    人こひ初(そ)めしはじめなり

                    わがこゝろなきためいきの
                    その髪の毛にかゝるとき
                    たのしき恋の盃(さかづき)を
                    君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

                    林檎畑の樹(こ)の下に
                    おのづからなる細道(ほそみち)は
                    誰(た)が踏みそめしかたみぞと
                    問ひたまふこそこひしけれ




                               







最終更新日  2020.11.07 01:00:46
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