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名古屋市緑区の加藤厚税理士事務所 相続税 贈与税 相続対策 中京大学非常勤講師

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相続放棄

先日こんな相談がありました。親族が亡くなったのですが、その被相続人には資産がたくさんあるそうですが、ほとんど土地。しかも負債もあり、多額の借金を残されて亡くなったのです。中京大学オープンカレッジの私の担当講座『相続・贈与の基礎知識』を受講していただき、そこで相続放棄というものを知ったそうなのです。しかし、とき既に遅し。しかも異母兄弟がみえるから余計に複雑。遺言書もなし。

 『もっと早くこの講座を受講していれば、こんなことにならなかったのに』といっていただけるのは有難いのですが、事前の相続財産の把握や、贈与計画、遺言書の作成、相続人の確認を怠っていたのです。

 そこで本日は相続放棄のことを簡単にご紹介します。

【質問】 
 亡くなった人に借金がある場合、それを引き継がなくていい方法はないですか。 
 
【回答】
 相続放棄という制度があります。 相続放棄とは一切の財産の相続を放棄することをいいます。相続財産の中には多額の借金があり、プラスの財産でまかなえない場合は放棄の手続きをとることになります。もちろんこれは任意ですから、借金を相続して支払うことも自由です。

【解説】
 相続放棄は家庭裁判所に相続放棄の申立てをし、それが審理され受理されるとはじめて放棄が認められます。それが認められると、その相続人は「最初からいなかったもの」とされます。このため、ほかに銅順位の血族相続人がいる時は、その人の相続分が増えます。また、同順位に相続人がいなければ、次順位の者が繰り上がって相続人となります。

 通常、配偶者と子がいる場合は、被相続人の親は相続権がありませんが、子が相続を放棄すると、配偶者と被相続人の親が相続人として認定されることになります。

 こうしていくと今まで相続人で無かった人がいつの間にか相続人になってしまうケースが起きます。誰もが借金など相続したくないですから、その場合はそれぞれの相続人が放棄の手続きをしなくてはなりません。つまり、こういう場合は子、直系尊属、兄弟姉妹、配偶者のすべてが相続放棄を行なう必要があるということです。また、子や兄弟姉妹がすでに死亡している場合はその子も相続人となりますので、相続放棄が行なわれた場合は注意が必要です。

 相続の放棄は、相続人自身に相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して『相続放棄申述書』を提出して行ないます。この期間を過ぎると、自動的に単純承認(無条件で相続する)をしたことになってしまいます。「知ってから」ですのでこの期間はそれぞれの相続人ごとに異なって進行します。明らかに債務超過のケースは、相続放棄を選択されたほうが賢明でしょう。ちなみに条件付で相続する『限定承認』という制度もあります。これはまたお話します。


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