続2
『ですが、鷹邪には時間が』
先ほどの永遠の言葉を思いだし首を左右に振りながら断る私をお構い無しに鷹邪は私の手を掴み扉を開いた。
「どちらに?」
『いや…えっと』
扉を開けた先には永遠が怒った様子で待ち構えていて鷹邪はばつが悪そうに視線を泳がせた。
「全く、寛大な秘書に感謝してください?貴方の愛車なら裏に手配しました」
呆れたように大きく息を吐いた永遠は肩をすくめどうぞと道を開けた。
『感謝する、さすが永遠。』
『永遠さん、ありがとうございます』
鷹邪は嬉しそうに笑むと私の手を引きその場を後にするよう廊下を走った。
「気をつけてくださいよ?…やれやれ、今夜は帰れませんね」
走る二人を見ながら首を左右に振る永遠は楽しそうに微笑んだ。
私は鷹邪に手を取られるままに裏口へと連れ出され離された手の代わりに差し出されたのはバイクのメットだった。
『えっ、まさか』
『空港まで飛ばすなら車よりこっちが早いからな。ほら、間に合わなくなるぞ』
鷹邪はバイクの車体をポンポンと叩き笑むと私を急かす。
私は慌ててメットを被り慣れないバイクに股がると前にのる鷹邪の服を掴んだ。
『馬鹿、落ちるだろ?こうだ』
服を掴む手を鷹邪の手に握られるとぐいっと引き寄せられるよう腰に回された。
『ぶっ飛ばすからしっかり掴まってろよ?』
『えっ、はい』
鷹邪がエンジンをかけると爆音が響き渡り私は鷹邪の腰に回した両手に力を入れた。
そしてバイクは大きな音を立てながら空港へと向かって走り出した。
空港へ向かう鷹邪と私は爆音や風やらで言葉を交わす暇なんて無かった。
カーブを曲がる際などは私がついつい悲鳴をあげる以外は。
凭れかかるように抱き着いた鷹邪の背中が温かくて優しさが苦しくて鷹邪の背中で声を殺して泣いた。
しばらく走るとバイクは空港の入り口で勢いよく停まる、私は両手を解き身体を離すとバイクから降り立ち、メットを外し鷹邪に渡す。
『鷹邪さん…あの』
『いいから、行け。行かないなら拐うぞ。』
『ありがとうございます。』
私は鷹邪に頭を下げあげると走って空港の入り口をくぐり抜けた。