新しい農薬候補 リスク比 桜
熊本大学が微生物科学研究所と新しい農薬を見つけたと文献発表しました。Ishida, T., Yoshimura, H., Takekawa, M. et al. Discovery, characterization and functional improvement of kumamonamide as a novel plant growth inhibitor that disturbs plant microtubules. Sci Rep 11, 6077 (2021)土壌に含まれる放線菌が体内で合成する物質であるクマモミナド(熊本+アミド?クマモン+アミド?)を培養液上清から分離しました。この化合物をリードコンパウドとし、植物成長阻害をスクリーニング条件にして、安全性も考慮しながら最適化した化合物がKANDです。オリジナルは法戦記由来物質ですが、最適化は合成することによって行われました。比較的簡単な構造ですので、可能だったと思います。試験管内の実験では・植物細胞に必要な細胞内構造物である微小管とアクチンフィラメントに作用して細胞を死滅させていることが明らかになっている。・Hela細胞(人細胞の代表としてよく試験管内での実験に用いられる)の分裂、増殖に全く影響を与えない。ことから、新しい除草剤になる可能性があることを示されたと言うことです。プレスリリースに関しては作用機序は「植物細胞に必須な微小管を壊して細胞分裂を阻害する活性」と記載してあったので、「壊す」の意味が分からなかったので、元文献に当たって、ぼんやりと意味が分かりました。微小管はバラバラになっているものが、分裂の際に集合して細胞分裂が始まります。植物と動物でこの仕組みは変わりません。しかし、細胞分裂開始前の微小管の存在様式が植物と動物で異なることから、微小管に影響を与えることが動物に影響を与えない除草剤の可能性が出ています。微小管阻害剤として植物由来のタキサン系薬剤が制がん剤として販売されています。由来がどうあれそれだけでは人間に影響を与えるかどうかは分かりません。これから人間の組織毒性などが越える壁だと考えられます。万能幹細胞はこの毒性の有無に関して実際の人間に試す前に毒性の有無が分かるツールとして期待しています。人間に全く無害であることはなかなか証明することはできません。「洞窟のカナリア」のようにこのまま進むと毒にやられるという警句があります。現在ミツバチがあちこちで姿を消しているの警句を気にする必要があります。次にいなくなるのは人だと言うことです。ぱっと分からない毒性あるいは有効性を検出するためにリスク比が用いられます。例えば高血圧の薬を1万人を半分に分け、無作為に高血圧用薬を飲ませる群と飲ませない群を作り、5から10年観察を続けて、生死、脳血管障害の発生率、心血管障害の発生率を比較します。だいたい、高血圧症の人がそのままほっておいて死ぬのは(他の病気がない場合)200人ぐらいで、薬を飲めばそれが100人ぐらいになれば降圧薬を飲まないことのリスクは2倍になると言うことになります。しかし、0.2%の発生率が0.1%になった、治療を行わなくても9,800人は死んでいないことになります。当然人間には寿命があるので、それに対する補正することが必要ですが、あまりに絶対値が少なすぎると思いませんか? リスク比で効果を現しているものとか、ある症状(血圧、血糖、コレステロールなど)が上がるという場合にリスクが上がるというのは、専門的にその症状の問題性を引き出すためには必要な指標とは思いますが、その治療を行うのにインフォームドコンセントを取ることには使うことには、私は、向いていないと思っています。桜の便りが届いてきました。今年の桜の開花は気象庁が記録を取りだしてからは、一番早いそうです。だから、地球温暖化が進んでいるなんていう人には地球温暖化賛成派に入って欲しくないなぁ。桜は開花の前に適切な低温状態を過ごさなければ開花しません。従って、確かに3月に4月並の気温が記録されていますが、その前に寒い時期があったからです。これは地球規模では誤差範囲でしょう。季節外れの開花が報告される時には、開花の条件を検索してみるのも一興です。「羹に懲りて膾を吹く」が「緊急事態宣言に懲りて科料を科す」某小池都知事を評価しているようなきがします。羹にさわらず、膾も吹かず、ただ命令をだす かな