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テーマ:気になったニュース(30421)
カテゴリ:文献発表
CANTOS(Canakinumab Antiinflammatory Thrombosis Outcome Study)の結果がN Engl J Medに掲載されました。
これは心筋梗塞の既往を有し、CRPが2mg/L以上の患者10,061例を対象にカナキヌマブプラセボと3用量のカナキヌマブ(50mg、150mg、300mg)の無作為化二重盲検下試験です。 収容評価項目は非致死的心筋梗塞の発病、非致死的脳卒中の発病、心血管死亡です。 48か月間投与してCRPは低下しています。 主要評価項目ではプラセボ4.5件/100人・年、50mg 4.11件/100人・年、150mg 3.86件/100人・年、300mgでは3.90件/100人・年で、事前に規定した多重性調整域値(プラセボに対するハザード比0.83、 95%CI0.73~0.95、P=0.005)を満たしたのは150mg投与群の0.85(95% CI 0.74~0.98,P=0.021) のみ。
脂質に対する影響はなかった。 カナキヌマブ全用量の全死亡のプラセボに対するハザード比 0.94,95% CI 0.83~1.06,P=0.31です。 スポンサーはカナキヌマブ(商品名 イラリス)の製造販売元のノバルティスファーマです。 文献の結論は Antiinflammatory therapy targeting the interleukin-1β innate immunity pathway with canakinumab at a dose of 150 mg every 3 months led to a significantly lower rate of recurrent cardiovascular events than placebo, independent of lipid-level lowering. (Funded by Novartis; CANTOS ClinicalTrials.gov number, NCT01327846.)です。 はいそうですかというだけの試験と思います。臨床的には全く意味のない試験だと思います。脂質に影響を与えずに炎症を抑制することで心血管リスクの低下が動物実験で証明されたので、臨床試験を行ったものと思います。 1年間に4.5人心血管リスクが実際に発現するのが3.86人に減ったということで、統計的に意味があるとしても3か月に1度150万払う人はいないでしょう。 しかも、カナキヌマブを投与することによって致死的感染症の発生率が増えるので、総死亡率は変わらない(ハザード比0.94,95% CI 0.83~1.06,P=0.31)のですから。 ディスカッションで触れているのかもしれませんが、金を出してまで読む気はしません。 少し遅れて、CIRT(Cardiovascular Inflammation Reduction Trial)がカナキヌマブの代わりにメトトレキサートを使った試験が実施されています。この結果は同じようにでるかもしれません。しかし、MTXの作用機序は代謝拮抗薬ですので、副作用が多くて、試験継続が問題になり効果が出ないかもしれません。死亡率に関してはリウマチ患者ではメトトレキサートの使用、非使用で死亡率に差がないとの文献が出ています。 これも、実際のエンドポイントの強さ(件/100人・年)と総死亡率を明らかにしないと、安いので、予防薬としてハザード比だけで%死亡率が低下と言うことが統計的に有意なことから、効能追加が認められてしまうかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年10月24日 21時15分27秒
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