脳卒中と自殺および他の外因死との関連について
脳卒中と自殺および他の外因死との関連について出典:プレスリリース 多目的コホート(JPHC)研究から、脳卒中の発症と自殺および他の外因死との関連について検討した研究の結果が発表されました。この研究により、脳卒中になっていないグループに対する、脳卒中発症から5年以内のグループにおける自殺および他の外因死のリスクはともに約10倍という結果が得られました。 この結果はDeath by Suicide and Other Externally Caused Injuries After Stroke in Japan (1990-2010): The Japan Public Health Center-Based Prospective Study. 自殺に関連する要因として、精神疾患があることは良く知られていますが、身体疾患との関連についてはあまりよく分かっていません。また、他の外因死(不慮の事故など)についても、自殺と同様に様々な心理社会的要因との関連が示唆されています。本研究では、脳卒中の発症がその後の自殺および他の外因死に及ぼすリスクについて検討しました。 多目的コホートの40~69歳の男女約12万人を研究開始(1990年または1993年)から2010年まで追跡した調査結果をもとに、脳卒中発症と自殺のリスクとの関連を検討しました。 追跡期間中に脳卒中を発症したグループでは、その後5年以内に17人が自殺により、34人がその他の外因により亡くなりました。また、脳卒中から5年目以降の自殺は5人、外因死は19人でした。一方、脳卒中になっていないグループでは490人が自殺により、675人がその他の外因により亡くなりました。 この研究の結果は、脳卒中発症後5年以内において(1)脳卒中後のうつ病・抑うつ状態をきちんと把握すること、(2)脳卒中後のリハビリテーションにより身体的および認知的な障害の程度を小さくすることが、自殺および他の外因死の予防を考えるうえで重要であることを示唆するものと考えられます。 (文献抄録より)追跡できた日本人の数は93,027人。1990年から2010年の追跡期間に脳卒中と診断されたのは4,793人。この期間中に自殺は22人、他の外因死は53人。脳卒中の診断を受けていない人では自殺は490人、他の外因死は675人。 追跡期間中に脳卒中を発症したグループでは、その後5年以内のリスクが増加していた。 (自殺: RR = 10.2, 95% confidence interval [CI] = 6.3-16.6; 他の外因死: RR = 12.8, 95% confidence interval = 9.0-18.2)。 この年代の死因は癌が一番ですが、20代、30代では自殺が一番。これに関する疫学的研究とかはないんでしょうかね。