2006/08/31(木)12:28
★もてない男の小説「悲望」小谷野敦/著
あの「もてない男」の小谷野敦が小説を発表した。
自身のもてない体験を綴った「悲望」がそれ(「文学界」8月号)
軽~い小谷野ウオッチャーでもある私としては(うそ!^_^;)
早速この長篇小説を読ませてもらいました。
ちなみに小谷野敦(こやのあつし)とは、
東大卒、東大大学院博士課程修了の比較文学者で、
現在は、東大の非常勤講師&文芸評論家。
30代半ば三十過ぎまでデート体験ゼロを綴った「もてない男」の筆者。
一度短期間の別居結婚(未入籍)するも以後独身、
身長164cm、44才43才。非イケメン。
小谷野氏、なぁ~んも変わってないね。
あるストーカーの手記と副題を付けてもいいくらいの小説です、これは。
「十年くらい前に書いて、二年ほど前に抜本的手直しをしたものだ。
事情は別にない」そうですけど・・・。
もてない人生を送ってきた藤井(筆者自身?)が、
同じ東大の院生である篁(たかむら)響子さんという女性を好きになる。
「知的であるということがわかっている女性が
かわいい仕種をするから、くらっとするのである」
篁さんの方は、最初から藤井には関心が無いのだが、
思いは募るばかり。
篁さんがカナダへ留学すると、藤井も同じ方法で追っかけ留学、
ヴァンクーバーの同じ大学の、同じ学生寮に入ろうとする。
「私はあなたに何の関心も持っていません。
友人だとも思っていません。
大学には他にも寮はあります。
私が住んでいる寮に移るという考えは捨ててください。」
・・・の主旨の手紙を受け取っても、
「女は押しの一手」と思い込んでいる藤井には伝わらない。
「篁さんが、私を拒否して拒否して拒否し抜く姿勢こそが、
私に生きる意味を与えてくれたのである」と。ヽ(´Д`;)ノ
相手は逃げ回り、藤井と一緒の授業には出てこなくなり、
それでも続くラブレター攻撃に、
「あなたの手紙は気持ちが悪いんです。
最近は読まないで捨てています。
手紙も電話もダメです!
逢っても話しかけないでください!」ときっぱり断られ、
それでも、
「人間には説得というものが・・・」と態度を変えない。
ついには、
篁さんからハンドバッグで殴られるまでになるのだが
「俺はお前を諦めないぞ。地の果てまで追っていくぞ」
と凄まじい手紙を投函する・・・。
相手の女性、気の毒だぁ・・・。
最高学府の(しかも文学の)勉強をしても、
恋愛の機微なんてなぁ~んにも分かっていないのね。
女が「大嫌いっ!」とマジで言ったら、もうダメなんだよ!
小説の形態をとっているけれど、
小谷野氏が東大の院生時代に、
片思いの女性を追って、海外の同じ大学に留学し、
「気持ち悪いからやめて!」と言われた
もてないエピソードは有名だ。
そうやってストーカー(だよね)されて、
ついにはこうやって小説で締めくくられたら
モデルとなった女性はたまんないね。
しかも小説の結論は、
篁さんはある教授からも逃げていたことを知って、
「篁さんは、いくぶん男性恐怖症、あるいは極端な潔癖症なのではないかと
気づいたのである。」ヽ(´Д`;)ノ
・・・・・・・・・・・、
脱力だなぁ・・・。
篁さんはおそらく正常な神経の持ち主。
もし男性恐怖症があるとしたら、その原因を作ったのは
小谷野氏、あんただよ!
なぜこの小説を発表したのか、
これが文学であるのか、の反響は大きいようです。
私には相手の女性が受けた恐怖だけは、
読んでよ~く伝わってきました
小説の冒頭に記されている言葉は真実ね。
「男の恋愛のデフォルマシオンは、
女にとって迷惑か、恐怖以外のものではあるまい」金子光晴