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国境なき うずら団

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2009年12月02日
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 ちょうどバスが空気を乗せて走るお昼頃はいい陽気だ。
 上着も無しで歩けるほどの。

 町は静かで。道路は車もまばらで。「汚物は消毒だ!」とうずこを脅かすカラスの声も飛行機の音も空から降ってこない。「奥深い感情は、つねに沈黙となって表れる―いや、沈黙ではなく、慎みだ」といけど、こういう時にまさにだよねえ。今にもあふれ出そうとするような世界の意味を湛えているようでもある。

 だから窓を開けてタルト@うずらと通りの様子を見下ろしていたという訳なのさ。
 風も出て手の中のタルトがくしゃみをするまで。

 ところがね、その「くちゅん」がね。本当に自分がやるような「ぶえーっくしょい、うー」じゃなくって上品なんだよ。音なんて聞こえるかどうかだし。それはもう密やかな仕草で。 しぶきを顔面に浴びなきゃ幻かと思ったかもしれないね。

 タルトもなんて慎ましやかなレディーになったんだろうとちょっと感激したよ。
 でも君が黙していた時間どれだけ寒かったか考えると、言うに言われぬ気持ちにもなったんだよ。

 ああ、たるぴょん。





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最終更新日  2009年12月02日 19時47分08秒
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