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カドヤ時代大変お世話になったウエノさんに、大阪へのフェリーが連絡する新門司港へ送って頂いた。
旅慣れた方はご存知かも知れないが、二等の船旅は電源が確保できる大部屋の角が争奪戦となる。 そのうえ小倉駅や門司駅で乗客を拾う送迎バスは乗船開始時刻より遅く現場へ乗り入れるので、二等の乗客団はバスから飛び降りた瞬間から、なにかしらの捕物競争的ダッシュを強いられる。 それを見越してウエノさんには乗船開始時刻前に現場へ送り届けて頂いたのだが、乗船を予定していたフェリーはUターンラッシュの最終便で二等客室が飽和しており、その緩和策として通常長距離トラッカー用の船室であるドライバールームを、お値段据え置きの先着順に割り当てていた。 この部屋はカプセルホテルのような引き戸による個室に電源を完備し、その上窓辺に固定席を配し、お茶や酒盛りが楽しめる専用のテラスも擁している。 二等船室の上位である二等洋室が二段ベッドの相部屋で、基本機関室側に列を成している事を考えれば(海に面した船室は一等以上)、実にお値打ちかつ贅沢なグレードアップだ。 むしろはじめから二等洋室を予約していた方に、申し訳ないくらいである。 「いつでも帰って来いよ!」 ま、俺が大阪行くのが早いかもな そんな風にどこか照れ笑うウエノさんと握手でお別れし、一番風呂を飛び出した展望甲板に缶ビールを握り締め、純白の航跡の彼方に暮れなずむ夕日と小さくなってゆく新門司の港を見つめながら、俺は40ノットの巡航風に、いつまでも吹かれていた。 人は思った通りの人になる 突き付けられた厳しい現実に自らを負け犬と自覚し 心の片膝をつくのなら、負け犬にもなろう しかし例えいつか見た夢に一度は敗れても 打ちひしがれた胸の底に挑戦の心火を灯し続けてさえいれば お中元の荷捌きに身を軋ませ 日当五千円の汗に塗れたって 握り締めた拳に、気高い挑戦の心は宿る 明日から始まる新しい冒険の夜明け前に 俺の心は震えていた 船首に次々と押し寄せる波濤の如き不安ではない 機関室の機動にも似た…力強い、再起の喜びにだ さぁ盛大に楽しもうぜ冒険家中林あきお 静かに照らす月の向こう 次の決戦場大阪に 一年遅れちまった 人生の、ペイバックタイムをな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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