「うわ、もうこんな時間だよ、９時までには送り届けられるかな？」
「すっかり遅くなっちゃたわね、送って下さい」

「あっ、お金は良いよ、僕が出します、と言いたいけどね、叔父が置いてった（笑）」
「何か悪いわね、でも今日は甘えさせていただきます（笑）」

職歴は僕よりも数年長いだけあってしっかりはしている、だが歳が下の分、どこかあどけない少女の感じも残っている
おしゃれでセンスの良さを感じる、化粧も綺麗にしている感じ、でも、顔立ちのどこか幼さが残りそのアンバランスさが余計に可愛く思える

こちらに帰ってきて彼女いない歴を更新してきたが　その甲斐があった
叔父の紹介と言うことで知り合ったが　それはもう　どうでも良いことであった
会う前は色々と想像を巡らしてきた
かなりの美人だぞ！と言う表現で自分なりの美人を想像してみたが全く違った

想像を超えるというとオーバーだが　想像とはかなり違うタイプであった
これから先どうなるか？と言うことよりも今の出会いが嬉しかった
もし振られたら？という考えは不思議と起きてこない
全く根拠無く何か大事なものを手に入れた気分に浸った

車に乗り込み取り敢えず駅に向かった

「バスタオルがシートカバーなんだね　ハングテングって言うのこれ？」
「おしい、ハンテンだよ。ホンゴコングと書いてホンコンと同じだよ」

「自分で考えたの？」
「そうなんだ、ちょっと派手だけどね、気に入っています（笑）」

「何て言う車なのこれ？」
「スターレットです、一年間残業代溜めて買ったばかり、それまではチャリ乗っていました」

「じゃあさ、もし去年会っていたら私チャリの後ろだったかな？（笑）」
「車を買った甲斐があったよ（笑）」

「女の人を乗せるのは私で何人目？」
「実は３人目、お袋でしょ、叔母さんでしょ、あなたでしょ（笑）」

「おかあさんやおばさんは女の人って言わないよ、普通」
「そうなんだ、お袋と叔母にそう伝えておきます（笑）」

「あっ、意地悪なんだ（笑）」