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土井中照の日々これ好物(子規・漱石と食べものとモノ)

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2018.01.07
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カテゴリ:正岡子規

 
   七草は七ツ異なる風情かな(明治22)
  
 明治21年(1888)の夏、子規は三並良、藤野古白とともに向島にある長命寺境内の桜餅屋に寄宿して、『七艸(草)集』を書き上げました。しかし、これは春の七草でなく、秋の七草から題を取り、漢文の「蘭之巻」、漢詩の「萩之巻」、和歌の「をミなへし乃巻」、俳句の「尾花のまき」、謡曲の「あさかほのまき」、「かる萱の巻」で構成されましたが、後に向島の地誌「葛之巻」と小説の「瞿麦の巻」を書き足して、「かる萱の巻」をはずします。この『七草集』は友人たちの間で回覧されて評判となり、夏目漱石が漢詩紀行文『木屑録』を書くきっかけをつくりました。
 秋の七草は、花の美しさを愛でるものテスが、春の七草はビタミンか不足する冬に、地面から顔を出す食べられる野草を摘んで、自らの栄養とします。芹(セリ)、薺(ナズナ)、五行(ゴギョウ=母子草)、はこべら(=はこべ)、すずな(=蕪)、すずしろ(=大根)、仏の座(=タビラコ)が七草です。明治大正の頃は、野に出ればこれらの七草は簡単に揃いましたが、今の時代ではスーパーのパックで販売されています。
 愛媛では、七草を迎えると、台所の七つ道具といわれる火箸、火搔き、連木、杓子、包丁、火吹き竹、しゃもじを揃え、茹でた七草をまな板の上に乗せて「もろこしの鳥が、日本の土地へ飛びわたらぬうちに、薺七草カチカチカチ」という呪文を、台所の七つ道具で七草を叩きながら唱えます。これは、農作物への被害を無くし豊作を祝う願いが七草と結びついたもので、こうした行動には厄災を払う意味があります。「もろこしの鳥」とは「鬼車鳥」のことで、この鳥が子供の着物の上に血を落とすと疳の虫が起こるとか切った爪を食べるといわれ、7歳以下の子供の着物は夜干してはいけない、夜に爪を切ってはいけないというタブーがありました。また、七草を茹でた湯で爪を洗うと邪気払いになるという伝承もありました。
  

 
   砧うつ拍子でたゝく薺哉(明治26)
   手鞠つく拍子にあはす薺哉(明治26)
   薺泥に咲て蛙なく田の薄月夜(明治30)
   松の内薺うつ日も過ぎにけり(明治30)
   摘み残す薺は花にあらはれぬ(明治32)
   若餅や薺の七日過ぎて後(明治32)
 
   古沢や泥にまみるゝ芹薺(明治26)
   この岡に田芹つむ妹名のらさね(明治27)
   継橋知れず野芹を摘んで戻りけり(明治28)
   田の中や芹摘みて去る足の跡(明治33)
   苗代の濁り流れて芹の花(明治35)
 
 子規は、明治34年1月17日発表の『墨汁一滴』に七草の鉢植えのことを記しています。これは7日の新年会に、岡麓が持参したものでした。
 
 一月七日の会に麓のもて来しつと(=苞)こそいとやさしく興あるものなれ。長き手つけたる竹の籠の小く浅きに木の葉にやあらん敷きなして土を盛り、七草をいささかばかりずつぞ植えたる。一草ごとに三、四寸ばかりの札を立て添へたり。正面に亀野座という札あるは菫(スミレ)の如ごとき草なり。こは仏の座とあるべきを縁喜物なれば仏の字を忌みたる植木師のわざなるべし。その左に五行とあるは厚き細長き葉のやや白みを帯びたる、こは春になれば黄なる花の咲く草なり、これら皆寸にも足らず。その後に植えたるには田平子の札あり。はこべらの事か。真後に芹と薺とあり。薺は二寸ばかりも伸びてはや蕾のふふみ(含み)たるもゆかし。右側に植えて鈴菜とあるは丈三寸ばかり小松菜のたぐいならん。真中に鈴白の札立てたるは葉五、六寸ばかりの赤蕪にて紅の根を半ば土の上にあらはしたるさま殊にきわだちて目もさめなん心地する。『源語』『枕草子』などにもあるべき趣きなりかし。
   あら玉の年のはじめの七くさを籠に植ゑて来し病めるわがため
(墨汁一滴 明治34年1月17日)





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最終更新日  2018.01.07 04:09:31
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