1426353 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

土井中照の日々これ好物(子規・漱石と食べものとモノ)

PR

プロフィール


aどいなか

カレンダー

バックナンバー

カテゴリ

日記/記事の投稿

コメント新着

aどいなか@ Re:漱石の痔の手術とリチネ(04/30) この写真はイメージです。 本文にもある通…
岸波靖彦@ Re:漱石の痔の手術とリチネ(04/30) この記事に掲載してある「頓服薬」の写真…
aどいなか@ Re[1]:子規と諸国からの贈り物02_全国の魚(10/11) 匿名希望さんへ 返事が遅くなってすみませ…
背番号のないエースG@ チョコレート(09/03) 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
匿名希望@ Re:子規と諸国からの贈り物02_全国の魚(10/11) 「鳥取県鹿足郡」とありますが、 鹿足郡は…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2020.08.23
XML
カテゴリ:正岡子規
   暑き夜を籠の鶉の眠らざる(明治32)
   向きあふて鳴くや鶉の籠二ツ(明治32)
   妻を呼ぶ籠の鶉や庭の萩(明治32)
 
 子規が本格的に色彩画を描き始めるのは、明治32年秋のことでした。それから子規は画に目覚めます。
 この年の3月20日に「日本」の付録週報に書かれた『病牀譫語』には「◎文学者とならんか、両工とならんか、我は両工を択ばん。文学は文字に縁あるがために時に無風流の議論をなす。議論は一時を快にすといへども、退いて静かに思えば畢竟児戯のみ。絵画は議論をなす能わず。怒れば則ち画き、喜べば則ち画き、悲めば則ち画き、平ならざれば則ち画く。楽、黙々の中にあり。ただ我両に拙く、画工たる能はざるを憾む。もし自ら楽まんとならば画の拙なるを憂えず。口を糊する能わず」と書き、画への関心を寄せています。
※子規の初めての色彩画については​こちら
 
 この文が書かれた頃、子規のもとにはつがいのウズラが届けられました。高浜虚子が三宅雪嶺からもらったもので、鳴かせるために別々のカゴに入れられました。
 このことは『根岸草廬記事』に書かれています。
 

 
一、今年の春、また虚子から生ける鶉のつがいをもろうた。これは虚子が雪嶺氏から贈られたのをまた贈ってくれたので、病牀のなぐさめにせよということであった。鶉は形の面白いのでそれだけで気に入っていたが、内の者は、鳴かぬ鳥は面白くないなどと不平をいうている。ある人に聞いて見たら、籠を別にしたら鳴くであらう、しかし卵の中から籠で育てたのでなければ善くは鳴かぬ、ということだから、早速籠を買うて来てつがいを別々に入れた。果して明方になると、一声二声、変な短い調子で雄が鳴きはじめた。けれども朝一二度より外は鳴かぬ。昔から鶉は秋のものとなっておるから秋になったら善く鳴くかも知れぬというていたが、庭の萩の散る頃より盛んに鳴き出した。二つの籠は同じ檐並びに四五尺離れて釣ってあるのであるが、中に壁が出ていて互に見えぬようになっておる。日がずっぷり暮れて内では灯をともす時分になると、先ず雌の方からクツクツクツクツと切な声で咽ぶように嗚く。雌の声を聞くと直にそれに答えて雄は大きな声で二三度つづけさまに鳴く。その声が夏聞くのと違うて何だか悲しくあわれに聞える。それからその籠をおろして二つ並べて橡側に置くと、両方から覗きあうて、クツクツクツクツといいながら子規りにウロウロして出口を探している。如何にも思いに堪えぬという様子が見えるので非常にあわれを催した。考えて見れば人間は残酷なもので、つがいになっている鶉をわざわざ別に離して、そしてそれを悲しがらせて泣かせて、そしてその声が善く響くとか面白いとかいうて喜んでいる、つくづく愛相の尽きたものだと思うた。そう思いながら再び考えて見ると、人間も鶉のような境涯にある者が少くは無い。いうて見れば横笛と時頼との如き、朝顔と阿曾次郎との如き、お染と久松との如き焦れ焦れし恋人と咫尺の間に居りながら逢うことが出来ぬ、逢うことが出来なくて切ないからこの人らは皆大声あげて泣いた、するとその泣きようが面白いというので琵琶や三味線に掛けてその泣く真似をして見せる、それを聞いて皆ひどく喜んでいる。けれども人間はその泣きまねをして喜んでいるのであるが、実際その人の泣く慮を聞いて、これは泣き磐が善い、などヽ巻めてござる神様があるのではあるまいか。二人の懇人が患尺の間に居てそれで逢ふ事が出来ぬといふや
うな場合は、神様が人間を別々の籠に入れて置かれたのに違い無いと思われる。(根岸草廬記事)
 
 このウズラは秋に1羽が死んでしまうのですが、子規は一羽のウズラを2羽に写生したと、12月10日に子規庵で行われた句会で話しています。






最終更新日  2020.08.23 19:00:06
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.