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土井中照の日々これ好物(子規・漱石と食べものとモノ)

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2021.11.16
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カテゴリ:正岡子規
 明治27年から体調を崩していた愚庵は、翌年、療養先の須磨で新年を迎えます。ようやく退院して、清水に戻った愚庵は、庵から見える風景十二景を選び、「愚庵十二勝」として発表します。そして、日本新聞紙上で様々な人に声がけして、同志を募りました。和歌だけではなく、漢詩や絵などの参加も呼びかけています。
 中村不折は、「古銭擬愚庵十二勝」という古銭にちなむデザインを出しました。
 愚庵のところに押しかけて、親しくなっていた朝日新聞社の寒川鼠骨が、その年の暮れに子規の病を知らせてきました。12月9日、愚庵は子規のところに見舞状を送ります。
 
 近来御無沙汰仕候。鼠骨生昨日来候。君の消息を伝うるに病追々進むと十分自愛し給え。我愚作あり。
 
   まだ死ぬな雪の中にも梅の花
   独して急ぐ旅かは雪のそら
   こたつして君和韻せよ十二勝
   浄林の釜に我を独でしぐらすな
 
 句になるものありや否や、もし万一死期近きにありと思わば、片身と思い、十二勝を和してくれ給え。
 千万自玉
   十二月九日  愚庵
  子規宗匠搨下
   見舞ひして我先立つも知れず雪の路
 
 この愚庵の見舞い状に応え、子規は俳句の仲間たちと「愚庵十二勝」に唱和します。
 この内容を12月24日の「日本」『松蘿玉液』に載せました。
 
〇愚庵十二勝というを択びて詩を作らる。王維の悌(おもかげ)をとどめておもしろし。この詩一たび出でて唱和の作山の如く庵主の徳を慕う者多し。この頃庵主書を寄せていう老少不定なり、子が病また重きを加うと。願わくは十二勝を和してわがための紀念(かたみ)とせよ。あるいは知らず我かえって子に先だって逝くを。云々。わが病やや間あり。この書を見て覚えず徴笑を漏らしぬ。すなわち害を返していう、われ詩を善くせず。推敲日を移さばあるいは終に高嘱に負(そむ)かん。因りて同人とともに俳句十二首を作りもって責を塞ぐ。ただ俳句は詩に比して暴露に傾くの嫌いあり。しかれども暴露かえってこれ禅家の真面目なりと信ず。伏して厳斧を請う。
 
     帰雲巌
   秋落葉石冷えて雲帰るべく    碧梧桐
   午頃にしぐれし岩の夕日かな   虚子
   吹きたまる岩の窪みの霰かな   把栗
   雲消えて花ふる春の夕かな    子規
     霊石洞
   石を為す鍾乳の露滴るよ     碧梧桐
   雪を丸めて仏を造る雪の朝    虚子
   仏の灯清水にうつる洞午なり   把栗
   春風や眼も鼻も無き石仏     子規
     梅花𧮾
   白梅は紅梅に劣る厠かな     碧梧桐
   散る梅の掃かれずにある窪みかな 虚子
   暁の山に月出づ梅の花      把栗
   活けんとす梅こぼれけり維摩経  子規
     紅杏林
   君心ありて伐り捨てざりし杏かな 碧梧桐
   鴉ありて白李の種を盗みけん   虚子
   鳥啼くや杏の花に日三竿     把栗
   霊聖女来らず杏腐り落つ     子規
     清風関
   更衣出べくとして我約ありし   碧梧桐
   敲けども/\水鶏許されず    虚子
   竹林に昼の月見る涼しさよ    把栗
   涼風や愚庵の門は破れたり    子規
     碧梧井
   桐にしてかぶさる井戸の青葉かな 碧梧桐
   桐を栽ゑて古びし井戸を新らしむ 虚子
   山の井の底に沈める一葉かな   把栗
   桐掩ふ庭の清水に塵もなし    子規
     棗子逕
   長い棗円い棗も熟しけり     碧梧桐
   熟したる棗の下に径を為す    虚子
   鉄鉢に棗盛りたる僧奇なり    把栗
   行脚より帰れば棗熟したり    子規
     採菊籬
   菊一籠ここに愚庵十二勝を成す  碧梧桐
   鋏誤つて白菊を切る黄菊かな   虚子
   昼鎖す間に菊花の乱れ咲く    把栗
   霊山の麓に白し菊の花      子規
     錦風崕
   僧僧を送り出でて紅葉夕日なり  碧梧桐
   崖の上に鳴かざる鹿の馴れて来る 虚子
   崖を削つて道つくるべく蔦紅葉  把栗
   紅葉散りて夕日すくなし苔の道  子規
     霽月壇
   物干に月一痕の夜半かな     碧梧桐
   犢鼻褌を干す物干の月見かな   虚子
   松はしぐれ月山角に出でんとす  把栗
   鳴けば月あらはるる山の上    子規
     欄柯石
   寒夜一棋石盤をうつて嗚る    碧梧桐
   石の上に春帝の駕の朽ちてあり  虚子
   閑古鳥僧石に詩を題し去る    把栗
   野狐死して尾花枯れたり石一つ  子規
     古松塢
   松に蔦風吹き荒れて塚ならざる  碧梧桐
   草枯れて松緑なる御法かな    虚子
   蛇の衣のかかる木末や雲の峰   把栗
   冬枯や日<庭前の松樹子     子規(松蘿玉液 明治29年12月24日)






最終更新日  2021.11.16 19:00:05
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