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カテゴリ:diary (etc.)
なんだか、緩やかにまったりと忙しいお仕事時間が流れていく。
「忙しい」の形容詞に“まったりと”はオカシイか???でもそんな感じ。 相変わらずお仕事は半人前以下。だから間違っても激しくは忙しくはなく、でも、かといって暇ではなく、あっと言う間に1日が過ぎて行ってしまう。 そんな訳で、本日も残業也。 あたしが通勤で使っているローカル私鉄電車。同じ駅で降りる人の中に白い杖をついた目の不自由な男の人がいる。たまに帰りの電車で会うのだが、彼が大柄なこともあり、きちんとしたスーツ姿と白い杖がとても印象的で目立つ人である。(たぶん彼はほとんど目が見えないのではないのだろうか。) 帰りの電車、その彼があたしと同じ車両に乗り込んできた。 あたしが座っている席の並びの、端のほうの座席の前に彼は立ったらしい。 “らしい”というのは、その時はあたしは彼の姿を目で確認したわけではなく、その杖の音で彼を認識していたから。 「座りますか?」 あたしが彼の存在を認識した、ほぼ同時くらいに、その方向から、大きくはっきりとした若い女の子の声がした。 彼に席を譲ろうと話しかけたらしい。 (彼は「いや、結構です。」と辞退したようだった。) なんていうか、その「座りますか?」の一言が、あたしにはすごく衝撃的だった。 別に、お年寄りや身体の不自由な人に席を譲るという行為に衝撃を受けた訳ではない。 それは当然だと思っているし、あたしも出来るだけそう心掛けている。 でも、あんなにはっきりとした大きな声で席を譲ろうとする姿は見たことがない。 たいてい席を譲るときって、小さな声で、とか、照れくさそうに、とか、ヘタすると黙って(!)席を立ったりする光景はよく見かける。(かくいうあたしも“小声で”の部類だと思う) 恐らくあの場合、目の不自由な彼に“席を譲る”ことを伝えるのは、大きな声が一番であろう。 だけど・・・ もしも彼が自分の座っている目の前に立ったとしたら、あたしには、果たして言えただろうか? あんなに大きくはっきりした声で。 白い杖の彼とあたしは同じ駅で電車を降りた。 降りるときにチラリとあたしは「座りますか?」の声の主のほうに目をやった。 高校生かな?と思っていたので、勝手に制服姿の女子高生をイメージしていたのだが、そうではなかった。 そこには、今どきな格好をした、ちょっととっつきにくい感じのアンニュイな雰囲気を持つ、黒髪のショートカットの女の子が寝ていた。 ををぉ、あの娘が・・・ あたしはちょっと、尊敬の気持ちすら持ちながら電車を降りた。 改札を出ると、その彼とあたしは、帰り道が左右全く逆の方向になる。 あのアンニュイな黒髪の女の子の顔と、大きくはっきりとした「座りますか?」という言葉を想いつつ、あたしは家路を急いだ。 あたしの後ろで、彼の杖の音がだんだん遠ざかっていった。 ・・・あたしには言えるかな? いや。 今度、誰かに席を譲るときは、はっきりと爽やかに「どうぞ」と言ってみよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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