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2019.07.27
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カテゴリ:チベット仏教


7月25日の日記『虫ごころ・前編』​の続きです。

 

「羽虫君」のことは以前ブログで触れたけど(2018年12月7日のブログ『初めての独りリトリートと僧院ステイと、夢見と』​に)、十年程前からコップに注いだジュースや鍋に入った味噌汁の中で溺れている虫の存在に気がつくようになった。

たいていはメルボルンでよく見かける羽のついた小さな虫だった。

 

どうして虫ってば、こんなところでしょっちゅう溺れちゃうんだろか?

と思いつつ、ある日試しにティッシュでそうっと掬い上げてみた。

それをカウンターに置き、数時間後に見てみたところ、虫はいなくなっていたのだった!?

 

以来、虫が溺れているのに気がつくとティッシュで掬い上げるようになった。

そのうち、既に息絶えているように見えても、実は生きている可能性が極めて高いということに気がついた。

身体を傷つけないようにティッシュでそぅっと掬ってあげれば、羽が乾いて体力を回復すると自力でまた飛び立ってゆくことができるらしかった。

 


そんなある朝、洗面所の水滴で溺れていた枯葉色の羽虫をティッシュで掬い上げ、書斎に飾った薬師如来の写真の前に置いた。

98%死んでいるように見えたので、せめてもの供養のつもりだった。

 

数時間後、子どもたちを小学校に送り出して書斎に戻ってみれば、死んだと思っていた虫がモゾモゾと動いていた。

黄土色の2枚の羽を動かして、なんとか飛ぼうとしているのだった。

 

だけど飛ぶどころが、歩くことさえもう満足にできないようだった。

モゾモゾと糸のようにか細い足を踏ん張って、立ち上がってはバランスを崩して倒れ―

立ち上がってはバランスを崩して倒れ―

 

それでも、その虫は自分の足で立ち上がろうとしていた。

なんとか再び舞い上がり、生き延びようと奮闘しているのだった。

 

立ち上がっては倒れ、立ち上がっては倒れ―

その懸命な様子が心に迫った。

いつしか私はその虫を腹の底から応援していた。

 

応援していてもどうすることもできず、ただ見守っていた。

これがペットの犬であれば間違いなく獣医へ連れていき、子どもなら即救急車を呼んだだろう。

だけど私は死と格闘している虫を前に、ただ見守っていたのだった。

 

残念ながら、その虫は飛び立つ前に力尽きてしまった。

それでも最後の最後まで生きようともがいていたその姿を見守るうち、目頭が熱くなっていたのだった。涙ぽろり

 

虫にそんな感情をもつなんて…と頭では思っていたけれど、心はその子(もはや敢えて「子」と表現したい心境だった)に愛しさを覚えていた。

虫のお供養をするようになったのは、その時からだ。

 


溺れていた虫がもう一度羽ばたく瞬間に居合わせたのは、それから数年後だったと思う。

あのときは息子が飲み残した牛乳の中で溺れていた枯葉色の羽虫に気づき、ティッシュで掬ってキッチンのベンチに置いたのだった。

 

家に戻って、あの羽虫はどうなったかな?と見遣れば、ちょうどモゾモゾ動いているところだった。

何度も何度も立ち上がってはよろけ倒れる姿に、数年前の羽虫の姿が重なった。

 

だけど、その子は飛び立っていったのだった。

見事、羽ばたいた瞬間、思わず私は拍手を送っていた。


「良かったね、良かったね、羽虫君!」大笑い

 
それはほとんど感動的でさえあった。

感動の余り、その種の虫を「羽虫君」黄ハートと呼ぶようになったのはそれからである。

 
自分的には大いにカンドーしていたものの、それは他者と共有できる類の感動ではなかった。

なんだかあまりにも「イっちゃってる」感が漂い過ぎていて、聞いた方も引くだろーなぁとか、リアクションに困るんじゃないかなぁっていうか…

「何言ってんの…」とか「大丈夫かな、このひと…」って気持ちを作り笑いで覆いつつ「そ…うなんだ」とかしか答えようがない…ような?

 

 

だけど水野敬也さんの『ウケる日記』を読んで、「!?」と思ったのだった。

 

水野氏は持ってきたジュースに小さな虫が浮いていることに気づき、「この虫、まだ息があるんじゃないか?」と思ったのだそうだ。

(以下は本文からの抜粋です)

 

 * * *

 

これまで三十年以上生きてきて、自分の飲み物の上に虫が浮いていることは数え切れないくらいありましたが

「ふざけんなよ!」とイラだったことはあっても、

「この虫、大丈夫か?」と虫の安否を心配することは、たったの一度もありませんでした。

そして、僕はこのとき生まれて初めて「虫の立場」に立つことができたのであり、

つまりは、初めて自分の欲望よりも、虫の欲望を優先できたのであり、

その様子をブッダが見ていたのだとしたら

「彼は、どんどん私に近づいてくるなあ」

と感心していたことであり、

僕は、リンゴジュースの中から虫を取り出して、タンカに見立てた紙ナプキンの上にそっと置いてみたわけです。

全身リンゴジュースだらけになって身動きがとれなくなっていた虫ですが、

しばらくすると、ピクッと足を動かしました。

「ま、まだ息がある……っ!」

 

興奮して見ていると、虫は体をゆすりながらリンゴジュースを跳ね飛ばし

空に向かって飛び立っていったのです。

去り際に、

「水野さん、ありがとう」

そんな虫の声が聞こえた気がしました。

 

 * * *

 

なんとっ!

ブルータス、お前もかっ! ならぬ、

水野さん、あなたもでしたか!びっくり

 

ですよねっ。

完全な悟りを開いた慈悲と英知の存在である仏陀が虫を見て、哀れな存在であるから殺めるように、とか弟子たちに教授するとは思えないですよねっ。ねっ。

 

などと一方的に同意を求めつつ、思った。

コップで溺れている虫を見つけると思わずティッシュで掬って助けようとしてしまう人は案外、多いのかもしれない。

ただみんななんとなく「イっちゃってる」感に気恥ずかしくて口外できないだけで…

つーか、わざわざそんなことは敢えて話さないだけで、きっと多くの方が同様のことをされているんだろうナ、と。

 

そう思ったら、なんだかほのぼの~と心が嬉しくなってきたのでした。ぽっ

 



▶『ウケる日記』水野敬也

 

 

人間のみならず、生きとし生けるものは幸福を求め、苦難を避けたいと願っている。

大乗仏教における認識である。

 

ゴキブリだって、食べ物をゲットできたときは嬉しいだろうし、命が脅かされたときには恐怖に苛まれるだろうし。

人間にとっては「たかが虫の命」でも、その虫本人にとっては大問題であるわけで。

私たちの命が人類75億人の一人にすぎなくても、自身や親しい人たちにとってはとてつもなく重要であるように。

 

かと言って、家が虫屋敷になっても困るので、我が家に入り込んだ蜘蛛や蟻や虫たちは即、屋外強制退去としている。

その手足を傷つけないように透明な瓶と厚紙を使って捕獲して(ちなみに上の写真が我が家の虫捕獲器デス)、外にお引き取り願うのだ。

これも何かのご縁というわけで、幸福を願ってマントラを唱え送り出すようにしている。

 

だけどそれがレッドバックスパイダーとか毒をもっていたら話は別になる。

別だけど、恐怖心からギャーギャー悲鳴を上げてしまったら、ますます場が破壊的暴力的なエネルギーに支配されちゃって、殺される蜘蛛側のダメージが深くなりそうだから、一発でスムーズに殺せるよう天に助けを請い、マントラを呟きながらできるだけ静かに穏やかな心で、一撃を。

ごめんね、毒虫…しょんぼり

それから成仏とより良い転生を祈ってプチ祈祷している。

せめても成仏してね、くらいの想念は送ってあげたいと思って。


昔、菩薩戒を授かったときにダライラマ法王もおっしゃっていた。

菩提心はとても大切であるけれど、マラリアの蚊を哀れに思って血を吸わせ、自分の方が病んでしまったら、それは英知の欠如である、と。



そういえば、ネパールにあるチベット仏教のコパン僧院でラマ・ゾパ・リンポシェのリトリートに参加したというオージーの友達が言っていた。

友人は僧院に2か月ほど滞在したそうだが、あるときリンポシェと僧院の庭を散歩していたら、タランチュラに出くわした。

リンポシェはタランチュラの前でわざわざ足を止め、呟いた。

 

「いったい、どうしてこんな姿になっちゃったんだい?」と。

 

それから暫く祈祷されていたそうだ。

驚いたことにタランチュラは逃げもせず、その間そこでじいっとしていた。

それからまた草陰に隠れるように逃げて行ったのだという。

 

「いったい、どうしてこんな姿に…」とは、興味深い呟き。

リンポシェの心眼には、タランチュラのカルマでも見えていたのだろうか?

自分のカルマさえ部分的にしか理解できない私に、虫のカルマなど見えるハズもないのだけれど…。

 

それでもやはり、慈悲の仏陀、観音様のマントラを、心を込めて合掌したいと思うのです。



OM MANI PADME HUM

生きとし生ける者が、幸福とその因に恵まれますように。

生きとし生ける者が、苦難とその因から解放されますように。

 

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


 

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Last updated  2019.08.10 10:12:22
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