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カテゴリ:チベット仏教
3か月程前の話になってしまうけど、チベット歴でサカダワ―修行の吉月6月の7日から、地元のチベット仏教寺院の3泊4日ニュンネ・リトリートに参加してきた。 ニュンネとは、断食、断飲、無言の行なんて戒律の下で千手観音に帰依して五体投地や観想、真言詠唱などを行うパワフルな浄化のタントラ行。
2013年に初めて参加してから(⇒2013年10月21日の日記「ニュンネ明けのチャイ」に)、そろそろ10回目。 思い返せば初めてのころは断食、断飲というシチュエーション自体に緊張しまくって眠れない・・・とか焦っていたものだったけど(ちなみに2度目のニュンネは⇒2014年3月16日の日記「ニュンネの夜に満月を仰ぎ」、10回目ともなれば心にも余裕。 しかもサカダワ月とあって功徳倍増。 ドラマチックなリトリートを期待して臨んだのですが、なんというかちょっと不思議なニュンネになって…。 そのときのことを少し。
今回の参加者は意外に少なくて15人ほど。 前回同様、月に一度子どもたちのダーマクラブという仏教教室が開かれる、倉庫を改装したような部屋を5人でシェアした。 マットレスを五つも置いたらもうほとんど床は見えないという空間ではあったけど、仏像やタンカがそこかしこに飾られているのが、嬉しい。 ニュンネ中は霊的に過敏になって霊現象にも見舞われやすくなってしまうので、これくらい周りにアイコンがある方が心強いのよ。 5人のメンバーの顔触れはもうお馴染みのニュンネ仲間だし、何を案じる必要などあろうか?ですよね。
と余裕綽々で始めたニュンネだったけど、やはり土曜の夜ともなると雲行きが怪しくなってくる。 正午から断食が始まっているうえに、床に就いてからは水も飲めなくなってしまうので神経質になってくるせいか、寝袋に潜り込むや激しい喉の痛みに襲われた。 ♪懐かしい痛みだわ~ 2年ぶりに体験した刺すような痛み…。
実はこういう痛みを最後に体験したのは2年前のニュンネだった。 昔、煙草を吸っていたことがあるせいか、止めてからも就寝前や瞑想をしているときなどに猛烈に喉が痛くなることがあったのだけれども、とりわけニュンネ中は酷かった。 それが2年前のニュンネのこと―
最後の夜に喉がまたとてつもなく痛くなったのだった。 切り裂かれるような痛みに、もう藁にも縋る思いで自分レイキをしていたら、喉の奥から何かが逆流してきて吐きそうになった。 それはニコチンじみた味がして、脳裏にでかでかと「Poison」という言葉が見えた。
その後、喉の痛みは収まったのだけど、翌日ニュンネを終えてからが問題だった。 お昼ごろ口の中、口蓋に水泡ができた。 何だろう?と思っていたら見る間に膨れて広がって、夜には口蓋全体が水疱疹で覆われていた。
ニュンネ明けの数時間で起きたことなので、浄化なのかも・・・と思ってはいたけれど、GP(と呼ばれるオーストラリアの一般医)に診てもらって、遂には専門医にまで見てもらう羽目になったのだった。 結局、原因が判らず治療もしなかったのだけど、いつの間にか治っていた。
以来、不思議なことに、つーか、やっぱりのニュンネ効果か、普段の生活でも喉が痛くなるということは無くなったのだった。
さすがにその次のニュンネでは再発の不安に怯えたけど(⇒2017年5月29日の日記「Nyung Nye浄化のリトリート」に)、全く何の問題も起きなかった。 だからてっきりそれで自分の喉に関する負のカルマは浄化されたのだろうと思っていた・・・。
それが、ほんと~に久しぶりに体験した喉の激痛で…。 あまりに久しぶりなので対応の仕方さえ忘れていた。 とにかく、いちおー霊気マスターだし・・・と自分レイキをしてみたのだけれども、今一つ効かなかった。
これから一滴の水も飲めなくなるというのに・・・。 これではとても続けられそうにない・・・。 かといって、諦めて荷物をまとめて帰るのも・・・。
ニュンネは、神仏との絆を深めるための行でもある。 もう自分レイキとか独りマッサージとか、自分で何とかしようとするのは諦めて、神仏にひたすら祈ることにした。 つーか、宣言した。
自分は今回のニュンネを、健康上の理由から参加できなかった夫や子どもたち、益々具合の悪そうな両親のためにも、どうしてもやり遂げたいと思っている。 だけどこの喉で断飲はとても無理だから何とか助けてほしい、と千手観音と薬師如来をイメージして語り掛け、それぞれのマントラを唱えたのだった。
すると、す~っと痛みは引いていったのだった。 ほら、痛みは取ってあげたから精進しなさい、とでもいうように(笑、でもマジ)。 それからは眠りの渦に引きずり込まれるように眠ってしまった。
夜中に誰かの声で目が覚めた。 一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。
薄闇の中、悲鳴のような怯えた声に、自分が今どこにいるのか、何をしているのかを思い出そうとした。 何度もニュンネをしたけれど、こんなことは初めてだった。 夢を見ていたのでも霊現象でもない。 ここはダーマクラブで、自分はニュンネをしているのだと気がついたとき、声の主がAさんであることに気がついた。
寝言のようだった。 英語だし、早口で、よく聞き取れなかったのだけれども、助けを求めるような、何か恐ろしげな寝言で…。 既に無言の行も始まっていたので、声をかけようか迷っていたら静かになった。 他の人たちが気づいたのかどうかもわからない。 結局その夜は、Aさんの悲鳴のような寝言で何度か目が覚めたのだった。
もう一つ、奇妙なことが・・・。 何かの気配に目覚めると、薄闇にBさんが立っていた。 私の傍らではなくてCさんの枕元に立って、彼女の寝顔をじぃ~っと覗き込んでいたのだった。 何をしているんだろう?と見ていたら、そのうち自分のベッドに戻っていった。
けれどしばらくするとまた戻ってきて、Cさんの枕元に立った。 そうして直立不動で、彼女の寝顔をなぜだかじぃ~と見下ろしているのだ。 だけど暫くするとまた自分のベッドに戻ってゆく。 Bさんはそんな行動を土曜日と日曜日の夜中にかけて数回とった。
??? いったい、なぜ?
Bさんはニュンネ古株なので私も何度か同室になったことがあったし、前回などBさんともCさんとも部屋は一緒だったけど、こんなことは初めてだった。 二人の間に何かトラブルでもあったのだろーか? まったくもって謎の行動ではあった。
日曜の行も早朝5時から始まった。 始まってから1時間ほど経ったころ、経典を詠唱していたAさんが突然、意識を失って倒れた。 2、3分で意識は戻ったけど、医療関係の仕事をしている参加者が救急車を呼んでいた。 本人は大丈夫だからこのまま続けたいと言っていたけれど、きちんと検査をしてもらった方がいいからと救急隊員や皆に言われて病院に運ばれていった。
瞳を潤ませ手を振るAさんを見送りながら、昨夜の寝言が思い出された。 昨日、一緒にお茶をしたときに、なんだか悲しいのだと彼女が突然泣き出したことも。
もしかすると、Aさんにはこうなることがわかっていたのだろうか??? 倒れてしまう前に、何かできることが自分にもあったのかも・・・。 たとえばあのときもっと話を聞いていれば、防げたのか・・・?
心配すればキリがなかったけれど、とにかく彼女は医療関係者に見守られて安全な場所にいるのだから大丈夫だとは思った。 それに浄化のタントラ行であるニュンネでは、浄化すべき、もしくはそのとき浄化できる用意のできた負のカルマが表に出てくると言われているから、何かカルマの浄化と関係あるのかもしれない。 ニュンネ中に病の因が浄化されることもあるというし。 昨夜は久しぶりに傷んだけど、私の喉もそうだったし・・・。
頭の中には「不幸中の幸い」という言葉も浮かんでいた。 彼女はメルボルンから車で1時間ほどの農場で一人暮らしをしている。 もしも家にいるときにこんな発作が起きていたら…それこそ大変なことになってしまっただろう。 発見が遅れたら命に関わるような事態にもなりかねないし。 まんいち健康に何か問題があるなら今きちんと検査してもらった方が安心じゃないか、と・・・。
とはいえ、リトリート中に誰かが倒れたのは私が知っている限りでは初めてだったので、皆さん動揺しているようだった。 皆でAさんの回復を祈り、ニュンネを再開した。
Aさんがニュンネを続けたがっていたから、私は彼女と一緒に行をしているとイメージしながらやった。 チベット密教では自分の左側に女性、右側に男性をイメージして行をすることが多い。 左側に自分の娘と母とHさん、右側に息子と夫と父が一緒に五体投地をしているとイメージしながら続けた。 彼らのためにと思えば行をする意味がより明確になって気力が湧いてくるだけでなく、自分と同じ動作で皆が一斉にやっているさまを思い描くと、どこかユーモラスで楽しく、筋肉痛と疲労感も和らぐような・・・。
続きは9月6日の日記「サカダワNyung Nye―チベット密教浄化のリトリート(後編)」をお読みください。
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Last updated
2019.09.07 14:16:29
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