読んだ本
今年になって読んだ本「闘牛の影」マヤ・ヴィイチェホフスカ作 渡辺茂男訳岩波少年文庫に入っている、見た目実に地味な本です。今は亡き伝説的な闘牛士の息子として生まれた主人公、マノロ。周囲はマノロが大きくなったら、父と同じように偉大な闘牛士になることを期待していた。しかしマノロは、自分がおくびょうであることをだれにも打ち明けることができず悩んでいた。刻々とマノロの闘牛士としてのデビューが近づいてくる。マノロのこころの動きを追った、題材としてもかなり地味な本。でも、地味ながらもスペインの風が吹き、闘牛への人々の思いを感じ、マノロの細やかな心の動きが手に取るように感じられた。フラメンコをしていた時、スペインにかなり興味を持っていたこともあり、とても面白く読んだ。それにしても、これを読んでくれる対象年齢の子どもが今どれだけいるのか・・・。おもしろい本は姫たちに勧める私でも、これは勧めようとは思わなかった。おもしろいけど、うーーん、こんな本はたまたま図書館とかで見つけてうっかり読むタイプの本なんだよね。うっかり出会って読んでほしい本です。「南総里見八犬伝」滝沢馬琴原作 浜たかや編・著1巻目を読みました。なんとなく知っているけどちゃんと読んでなかった本のうちの1つ。江戸時代に書かれた本だけど、普通に面白いんだ、と。江戸時代って、よく考えたらそんなに昔じゃないもんね。ひいばあちゃんが明治生まれだったから、ひいばあちゃんのおばあちゃんくらいは江戸生まれだったよね、きっと。そう考えると近いな~と。だから人の考えとかそんなに変わらないよね。もっと昔の平安とか鎌倉時代の本だって、同じ感覚でおもしろかったり悲しかったりするところも多いわけだから、本当に人間というのは脈々と変わらず生きているのだなぁ。特に日本の物語はやはり感覚が同じと思います。「うたうとは小さないのちひろいあげ」村上しいこ中学時代、いじめられている友達を裏切ってしまった主人公。そのせいで友達は不登校になってしまい、主人公は彼女の家に通いながら、罪滅ぼしのためにも入学した高校では友達を作らない、と決心している。ちょっとドロドロの始まりで、あんまり好きじゃないな~という感じ。でも、主人公はひょんなことから短歌を詠むクラブ、「うた部」に入ることに。そこから、ちょっとずつ楽しくなって、一気におしまいまで読みました。「短歌」を題材にした小説って、たぶんすごく難しいと思うのに、読み終えてみると、短歌を作ってみたくなるような、素敵な青春小説でした。今年も、心に跡を残す本に出会いたいです。