2007/12/01(土)23:53
【復刻日記】 SM喫茶 ダンモ喫茶
今日は【復刻日記】で楽だったので、ついでにもう一つ【復刻日記】をサーブスしよう。
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【復刻日記】 SM喫茶 ダンモ喫茶
私の記憶の奥底で、昔たしか「SM喫茶」という言葉があったという気がしていた。
「SM」という激しくも鮮烈な世界と、「喫茶店」という、つつましくもほのぼのとしたスポットとのコントラストに、一体どのような「喫茶」なのか?興味を覚えたのだ。
ところが最近、そのSM喫茶というものが不死鳥のごとくよみがえっているのを知った。
たまたまある女神の名前をネット検索したら,その名前を持つこのSM喫茶が、呼びもしないのに検索に引っかかってきたのだ。
飛んで火にいるSM喫茶なのである。
このSM喫茶のサイトは美しい言葉で飾られている。
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■ 音楽の無い静けさが神秘の世界への出発点なのです。過去の人生を捨てて今日から【素晴らしい未来への旅立ち】へ挑戦して下さいね。素晴らしい【愛への思いやり】・・真実のSMを男女スタッフが心を込めてご指導致します。
ショーを観に来られた女性客は大胆な会話に花を咲かせた後、「私も縛られてみた~い」「女王様を演じてみた~い」とショーへの飛び入り参加を熱望する。筋書の無いショーの始まりである。
Mに興味ある女性は縛られての逆さ吊りや十字架への張り付け。Sに興味ある女性は女王様の衣装に着替え鞭を持つ。その瞬間から雰囲気も女王様になりきってしまい、思わず溜息を付いてしまう変貌振りに店内は和気藹々ムードです。
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『店内は和気藹々ムード』だとは言うが、『真実のSMを男女スタッフが心を込めてご指導』されたら、真実の「S」か、「M」になってしまうじゃないか!
『女王様とM女募集中! 本当にやる気のある女性募集しています。』・・・とも書いてあるが、こういう所で『本当にやる気のある女性』って、怖く無い?
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実は、昔は、いろんな種類の喫茶店があった。
まず『美人喫茶』というのがあった。
私が覚えているのは『プリンス』と『コンパル(金春)』。
中は長いカウンターになっていて、美人たちがズラッとカウンターの中で立っている。
客はスタンドに座って、トイメンの美人達と会話を楽しみながらコーヒーなどを飲む。
それだけなんだけれど、この美人喫茶の美人達は本当に美人だった。
今は美人だったら、いろいろなお仕事があると思うけれど、むかしは女優ぐらいしか思いつかなかったのではないだろうか?
そういう、思いつかなかった美人が美人喫茶のカウンターの内側でにこやかに微笑んで私を迎えてくれたのだ。
(別に私だけじゃないんだけれど)
銀座のバーの喫茶店ヴァージョンと考えてみればいいのだと思う。
今でもこういう美人喫茶があればいいのだけれど、今は美人のコストが高くなっていて、美人喫茶ぐらいの報酬では雇えないだろうと思う。
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喫茶店といえば、大昔の、つまり私の高校生の頃までは、むやみに入ることをはばかれる社会的風潮があった。
そう言えば映画館もそんな感じだった。
私は平気だったけれど。
そう言う喫茶店のメニューの一番底の方には 飲み物 とあって、『ウヰスキー』(わざと旧い「ヰ」を使ってみました)というのがある。
これを注文すると(さすがに高校生の時ではなくて、大学生になってからだけれど)、お猪口ぐらいの小さなサイズのガラスのグラスにウヰスキーが注がれているのが出てくる。
ストレートだ。
もちろん、お水のチェーサーもついてくるが。
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ジャズ喫茶というのもあった。
私は高校の時からモダンジャズが好きになり、大学でモダンジャズの同好会に入ったほどだから、「ダンモ喫茶」と当時称していたモダンジャズがかかっている喫茶店で、毎日何時間も聴いていた時代がある。
(なんだか、喫茶店という単語からどんどん、昔の記憶が出てくる)
このダンモ喫茶では、普通は映画館でしか揃えないような、超高級なハイファイステレオ装置を備えていて、モダンジャズのレコードを大音響でかける。
JBLとかアルテックとかいう、ジャズ向きのアメリカ製のスピーカーに、マッキントッシュなどのアンプ・・・。
ダンモ喫茶の壁面全体がスピーカーになっていたようなすごい店もあった。
その典型が新宿にあった木馬かな?
このダンモ喫茶でかかるレコードは、客のリクエストによる。
演奏中のレコードのジャケットは、客の目につく場所に掲げられる。
モダンジャズのレコードのジャケットは、当時なかなか重要な役割を演じていたのである。
数あるレーベルの中でも、ブルーノートというレーベルのジャケットがセンス抜群だった。
中でも私のもっと好きなジャッキー・マクリーン、それにソニー・クラークの【Cool Struttin’】は、マンハッタンとおぼしき街中を、スリット入りの黒いタイトスカートをはいた脚線美のキャリア・ウーマンらしき女性がハイヒールでさっそうと歩いているもので、演奏も最高、ジャケットも最高の見本のようなレコードである。
もうひとつ、今は超有名盤になったヘレン・メリルの【You'd Be So Nice to Come Home To】が入っている【Helen Merrill with Clifford Brown】。
日本ではヘレンは「ニューヨークのためいき」とか「魅惑のハスキーヴォイス」とかの形容がお決まりだが、米国のアマゾンではこのレコードでのヘレンを【breathy】と表現している。
このレコードを聴いていると、本当にヘレンの息づかい・つぶやき・あえぎが耳元で鮮明に聞こえ、悩ましい。
このジャケットは、そんなふんいきを伝えるものになっている。
ジャッキー・マクリーンもヘレン・メリルも来日コンサートへ行った。
ヘレンは高校時代に初来日した時にその歌声とモダンな唱法にひとめ(?)惚れして、(本当はその美貌にもだが)、二回目に来日した時は大学生だったが、コンサートが終わった後、勇気を振り絞って楽屋に行き数枚のレコードにサインをしてもらった。
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ダンモ喫茶に戻ろう。
自分の好きな曲をリクエストして、その曲がかかるまで、自分の席でジッとうずくまって待つのだが、この間の時間がまた、それなりにいいのである。
リクエスト曲がかかると「みなさん これは私がリクエストした曲ですよ」的な表情を浮かべながらリズムをとる人が多い
たまに自分の知らないレコードがかかると、そのジャケットを手にとって、ライナーノートを読んでみる。
ダンモ喫茶の客はもちろんモダンジャズが好きな客ばかりで、普通の喫茶店のように集団やカップルで入ってきたり、コーヒーを飲みながら談笑する・・・ということはない。
ひとりひとりが、ひたすらに曲に没入しながら何時間も過ごす。
モダンジャズ・ファンという層は考えてみればおかしな人種だったなと思う。
当時のダンモ喫茶の名前も覚えている。
新宿の「きーよ」「ヨット」「DIG」「汀」「木馬」「ピットイン」「メッセンジャーズ」・・・。
早稲田の「もず」。もう一軒あったな。
渋谷の「オスカー」その他。
東京駅と有楽町の「ママ」
そういえば「DIG」は三軒ほどあって姉妹店らしかった。
村上春樹が一時「DIG」のオーナーをしていたという。
村上春樹の小説は二三冊持ってはいるのだがまだ読んでいない。
ただし、その題名にひかれて「やがて哀しき外国語」という、彼が米国ニュージャージー州のプリンストン大学で客員教員(かな?)として過ごした頃の事を書いた本を読んだ。
アマゾンの書評では「アメリカでの生活の実態が鮮やかに描かれている」とか「日本とアメリカの文化の違いが」とか「彼の本の中で一番好きな本」などと絶賛だが、私には、ありきたりの退屈でつまらない本だった。
新刊書で買うのじゃなかったと思うほど。
これで彼の小説を読む意欲が、また減退してしまった。
今ではダンモ喫茶は、ほとんどもう死に絶えてしまった。
吉祥寺に「メグ」という店があるそうだが。
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私は入ったことがないが「電話喫茶」というのが一時流行った。
店内の各座席のテーブルに電話機がのっている。
その電話は内線でつながっていて、魅力的な異性を見つけると内線で「もしもし!」と話しかけるわけだ。
一種の出会い系サイトといえないこともない。
シャイな私?には、露骨すぎる感じがして、行こうという気が起きなかった。
当時は「俳句喫茶」というものもあったというが、どんな喫茶店なのか? 見当もつかない。
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近くは「ノーパン喫茶」というのもあったな。
これは、どんな喫茶店なのか? 行ったことが無くても見当はつく。
松井秀喜選手が通ったというのは「ノーパン喫茶」ではなくて、「ノーパン・しゃぶしゃぶ」だった。
ところでこの「ノーパンなになに」というネーミングは、「しゃぶしゃぶ」だけに与えるのはもったいないのではないか?
「ノーパンすき焼き」とか「ノーパン焼き肉」とか「ノーパン信州蕎麦」とか「ノーパン・フランス料理」とか「ノーパン本屋」とか「ノーパン百貨店」だとか「ノーパン・スーパー」だとか「ノーパン薬局」とか「ノーパン・キオスク」だとか「ノーパン魚屋」だとか・・・。
でも、さすがに、「ノーパン下着屋」は、おかしいかな?
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「歌声喫茶」というのも一時流行った。
二三回行ったことがある。
店内にリーダー(従業員)がいて、ロシア民謡や左翼系の歌を客に合唱させるのだ。
当時の流行歌のいくつかは、こんな歌声喫茶から広まっていった歌がある。
「ともしび」等はその代表格かな?
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「名曲喫茶」というのもあった。
今も一部に生存している?らしいけれど。
クラシック音楽をかけてくれる。
いい雰囲気だったけれどな~。
渋谷にライオンというのがあった。