【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

2022/01/30(日)07:47

だから日本人は「英語で雑談」できない! 脳科学者と英語教育者が語る、英語上達法

E【英語】英単語 英語表現(98)

だから日本人は「英語で雑談」できない! 脳科学者と英語教育者が語る、英語上達法 東洋経済オンライン編集部 国際的な脳の研究者、加藤俊徳先生と東進の安河内先生が英語学習法について語り合います(前編)。 © 東洋経済オンライン 国際的な脳の研究者、加藤俊徳先生と東進の安河内先生が英語学習法について…  「世界で活躍する日本人」はどうやって英語を上達させたのか?  国際的な脳の研究者で、『脳科学的に正しい英語学習法』の著書でもある加藤俊徳先生と、東洋経済オンラインでもおなじみの英語講師・安河内哲也先生が、その方法について、徹底的に語り合います。今回は対談前編です。  安河内:現在、脳科学の分野で国内外において活躍されている加藤先生ですが、まずは英語経験からお聞きしたいと思います。先生、お生まれはどちらですか?  加藤:新潟県旧三島郡寺泊町という、陸の孤島のような田舎です。英語とはまったく無縁の場所で、実家にはアルファベットで書かれた本は一冊もありませんでした。越乃寒梅など日本酒の有名な地域でしたので、洋酒を飲む人すらいない。英語からさらにfar away な場所ですよ。  長岡高校時代は数学や理科は得意だったんですけれど、英語や国語などは、上達方法がまったくわかりませんでした。偏差値は50台でしたね。  安河内:医学部志望で偏差値50台! じゃあ、大学に入ってからも英語に苦手意識があったんですね。  加藤:ええ。ただ、なんとかしたいという思いだけはあって。大学の卒業旅行で、たまたまパイロットの奥さんと隣になって、なんとか英語を話してみよう! と頑張ってみたら、なんとなく通じたんですよね。  安河内:そのときは、もう完全に英語がわかったんですか?  加藤:いえ、そのときはなんとなくだけ。私は医学生だったので、医療の話だけはわかったんです。でもリスニングはほとんどわかりませんでしたね。  安河内:つまり、「自分専門の英語」であれば、理解できたということですね。  安河内:一般の人は、まんべんなく全部の単語を覚えて、どんな会話にでも対応したい、と思うものです。でも実は、金融業に携わっている方は、金融の話題だと語彙が限られるので、英語でも会話がしやすかったりします。パイロットインストラクターである私の友人は、英語を使って町で物を買ったりするのは苦手でしたが、管制塔と英語で話すのは得意でした。  自分の「守備範囲」から英語を学ぶのは、学習方法としては有利ですよね。  加藤:そうなんですよね。今になって言えることですが、これは脳の観点から見ても正しい学習法だと言えると思います。  加藤:私は脳を8つの脳番地に分けて説明するのですが、 脳はそれぞれ ● 思考系(考える) ● 感情系(喜怒哀楽を感じる) ● 伝達系(伝える) ● 理解系(情報を理解する) ● 運動系(体を動かす) ● 聴覚系(聞く) ● 視覚系(見る) ● 記憶系(覚える) で分けることができます。  実は脳が英語を話すとき、知らない単語が出てくると、 「理解系脳番地」という場所を集中的に使うことになります。 しかし、ここに脳の活動が集中してしまうと、 英語を聞く「聴覚系脳番地」や、会話の流れを記憶する「記憶系脳番地」の作用が妨げられてしまうのです。  「英語は聞けた気がするけど、なんの話か覚えていない」というのは、そこに原因があると考えられるのです。  特に、ネイティブとの雑談は、話題が多岐に及びます。 天気の話をしていたかと思うと、前日の野球の話に飛んだり、今朝は何食べた?と突然聞かれたりします。 そうしているうちに、理解系脳番地が酷使されていくわけです。 ↓  ↓  ↓  鉄則その1:英会話は、「仕事英語」から始めるべし!  安河内:リスニングのテストでも、「聞く」ことに集中するあまり内容を忘れてしまって、問題が解けないということはよくありますよね。  加藤先生は、その当時は「あまりリスニングはできなかった」とおっしゃいましたが、アメリカでの研究経験もあり、国際学会などでもプレゼンされているんですよね。リスニングを克服された時、いったい何が起こったのですか?  加藤:私の場合、リスニングが上達したのは、ひと通り英語でリーディングやライティングができるようになってからですね。その後、論文が認められてアメリカで研究者となり、ようやくリスニングが上達しました。  安河内:では、もともと英語が苦手だった先生が、リーディングやライティングができるようになった秘密はどこにあったのでしょうか?  加藤:「英語でしか手に入らない情報」を得たいと思ったことです。  安河内:「英語でしか獲得できない情報」を「獲得したい」という欲求で動いた、ということですね!  加藤:そうです。まずは「見る英語」でしたね。医師になりたての頃は年に2回、国際学会に出ていました。世界の研究者が英語でプレゼンしているのですが、当時はまったく耳には入ってこない。でも、ポスターセッションの画像や資料を見ると、その下にはリジェンド(legend=解説文)が載ってるんです。画像や資料は「医師としての知識」で理解できたわけです。そして、一度内容がわかってから英語で読むと、リジェンドの単語も頭に入ってきた。  しかも不思議なことに、その時に頭に入った英単語は、自分で書いて覚えたわけでもないのに、すぐに覚えることができたのです。  安河内:ちょっと待ってください! それはどういうことなのでしょうか。まず加藤先生は、「英語でしか手に入らない情報」を得ようとした。さらにその時、画像などのビジュアルイメージを見て、「推測力」を働かせながら、自らの「強い欲求」に従って文字情報を読んだ。この「欲求」と「文字情報」が結びついた時に、鮮烈な記憶となって英単語を覚えたということでしょうか。  加藤:そうですね。当時は特に、物事を理解する「理解系脳番地」が重要な役割を果たしたのだと言えます。英語や日本語の情報が一度処理されると、その内容は理解系脳番地で理解されます。当時は、MRIの技術は最先端で日本語の情報はありませんでしたが、学会に行くまでに自分の中で事前によく勉強していたのです。その予備知識をうまく使うことで、その時は英語の処理ができたと言えると思います。  つまり、英語学習はあくまで言語情報の処理が目的なので、 ● 内容を理解することに脳が集中してしまうと、言語処理にまで 手が回らなくなります。 ● 逆に、容易に理解できる情報で英語学習すれば、脳は言語処理に集中できるのです。  安河内:なるほど。確かに、環境問題に関心がない人が、英語で環境に関する英文を読んだり聞いたりしても、あまり深く理解することはできませんよね。 英語情報を解析するための予備知識を「スキーマ」と言います。 ● 予備知識を駆使して英語を理解する。まさにこれは脳科学的にも正しかったと言えるのですね。  加藤:そうです。私の場合は、たまたま日本語では獲得できない最先端技術でしたが、事前に広く深く日本語で情報が得られる場合は、日本語で予備知識を蓄えることで、いろいろな話題に対応できるでしょう。  安河内:えっ、日本語! 日本語でもいいんですね!! 母語だろうと英語だろうと、予備知識は蓄えられますものね。文法や英単語だけが、英語の勉強じゃないということですね。 ↓  ↓  ↓ ●  鉄則その2:予備知識を「日本語」で蓄える!  安河内:私も長い間英語を勉強していて、同じような経験があります。昔、あるカフェでネイティブの友人が、Your part-timer is very dexterous. (君のところのアルバイトはとても器用だね) と言ったんです。  単語帳を開いてABC順で覚えるよりも、この時聞いたdexterousという単語は、その時のイメージと一緒に、一発で覚えましたね。  加藤:私もまったく同じで、31歳のときに、MRIのパイオニアであるローターバー博士(後の2003年にノーベル医学生理賞受賞)に、新しい脳機能イメージングの論文が認められてアメリカに渡りました。英語論文が認められていても、その時の英会話のスキルはゼロでした。しかし、日常的にほかの研究者と、英語でMRI専門の用語を何度もやり取りするわけです。そういう「場面記憶」が頭に残るとね……。  安河内:第3の鉄則が出てきましたね……。 ● 「経験と結びつけて記憶しろ」ということでしょうか?  加藤:そうです。 ● 「declarative memory =陳述記憶」といって、「出来事」に関する記憶は、比較的長い時間残りやすいんですね。特に、ドラマのように時間軸に沿って体験が記憶されると、思い出しやすいわけです。  安河内:ということは、好きな映画のドラマの一場面で、好きな俳優さんが話す英語というのは覚えやすいと言えるのでしょうか。  加藤:覚えやすいし、なにより、親近感がある。自分が好きな記憶というのは、よく思い出しますよね。つまり ● 再生率が高い記憶ですから、より何度も思い出し、その分さらに記憶が強くなります。  たとえば、授業で習った英語というのは、授業が終わると思い出しませんよね。しかし、英語は、授業と授業の合間に伸びるわけです。  アメリカで研究しているときは、四六時中英語で考えるわけですよ。 患者さんを診ながら、「Magnetic Resonance Imaging (MRI)」とか「sequence=撮影プログラムなどの順序」とかっていう単語がぐるぐる回るんです。 ● 「自分専用の単語」が、何度もリフレインされることで、脳の中の神経細胞が繋がって、「英語の道路」ができるわけです。  安河内:先生、それはつまり、 ● 一度、脳番地がつながって「英語の回路」ができると、それまで苦労していた英語が、脳に入りやすくなるということですか?  そして、脳に英語が入りやすくなることで、英語学習に拍車がかかる……?  加藤:入りやすくなって、拍車がかかるし、記憶することも楽になります。  そして、 ● 一度その回路を使うと、脳はまた同じ回路を使いたくなるんです。 つまりゲームでも一緒ですね。一度、パチンコや競馬で勝つと、同じようなやり方で、もう一度勝ちたいと思うというような。  安河内: ● その回路を作る作業としては、記憶したことを反復することによって、その回路も強くなるわけですか。  加藤:そうなんです。 ● 記憶の回路というのはブドウの房みたいなものなんです。 始めは実がない軸だけですが、何度も使っていくうちに、枝分かれてしていって、また別の英単語の知識と結びついて、どんどん軸が太くなり、ブドウの実がもりもりとついてくるわけです。 こうなってくると、記憶が固定化されます。  つまり、「英語のエピソード記憶」を積み重ねていくうちに、ほかの記憶と結びついて、より多くの単語を確実に身に付けていくことができるわけなんです。 ↓  ↓  ↓ ●  鉄則その3:英単語は「エピソード記憶」で覚えろ! (次回に続く)    ―――― ◇ ―――― native に生まれてこなかったら こんなに苦労するんだ(笑)

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