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2015/08/04(火)04:38

中国・上海株乱高下 中国紙「市場救済策の失敗ではない」 FTは「株価は市場に任せよ」

M【マネー】【ビジネス】(92)

【環球異見】中国・上海株乱高下 中国紙「市場救済策の失敗ではない」 FTは「株価は市場に任せよ」… 産経新聞  中国・上海株式市場が乱高下に見舞われている。市場全体の値動きを示す上海総合指数は7月下旬、約8年5カ月ぶりの下落率を記録した。ギリシャの財政危機が落ち着きを取り戻す中、中国の実体経済の悪化を懸念する声が広がり、その動向を国際社会が注視している。中国では市場の混乱を抑制するかのような報道もあったが、欧州やアジアでは政府の過度な市場介入に警鐘を鳴らす論評が相次いだ。                    ◇  □環球時報(中国)  ■市場救済策の失敗ではない  中国共産党機関紙、人民日報の傘下にある環球時報は7月28日付で、「下落は国家による“救市(市場救済策)”の失敗を意味しない」との見出しで、証券アナリストら専門家5人の見解を伝えた。  上海株式市場が27日、約8年5カ月ぶりの規模となる8・48%もの暴落を記録したが、政府主導の株価下支え策が不十分だったとする個人投資家の不満が、政府に向かわぬよう牽制(けんせい)したとみられる。  専門家の一人は、「国家による株価安定策によって上場銘柄の過半数が通常の取引に戻ったほか、市場の流動性が回復した」として“救市”効果を評価した。  別の専門家は「投機的な株価操作に対する調査が行われている」「米国が金利引き上げ局面に入っている」「投資家の心理作用だ」などと背景を説明した。  28日付の広東省紙、21世紀経済報道も「市場のリスクは下降した」との社説を掲載するなど、中国紙は市場混乱を抑えたい政府の思惑をこぞって代弁した。  上海と広東省深センの2カ所にある中国証券市場では、市場参加者の80%は9200万人を超える個人投資家とされる。手持ちの何倍もの資金を銀行から借りて株式売買を行う「信用取引」が急速に広がる中での相場下落で、負債が一挙に膨らんでしまった投資家も少なくない。  問題は、株式市場にはリスクが存在するとの常識を無視し、「相場下落は政府が必ず救済してくれる」と甘い考えにひたる未熟な個人投資家が大半を占めることにある。  そうした個人投資家の歪(ゆが)んだ不満が、社会不安につながらないかという中国政府の懸念が、“言い訳”とも読める中国紙の報道に反映されたようだ。  中国政府寄りの香港紙、文匯報はさらに強気だ。28日付の論評で、「今回の事態は下げ相場への回帰ではなく、上げ相場への調整で、基礎は動揺していない」との見方を強調した。(上海 河崎真澄)                    ◇  □フィナンシャル・タイムズ(英国)  ■株価は市場に任せよ  英紙フィナンシャル・タイムズは7月28日付で、「中国の株式市場は、自らの水準を自分で見つけなければならない」と題する社説を掲載し、「政府が決めた株価ブームが中国の計画の一部であってはならない」と強調、株価はあくまで市場に任せるべきだと主張した。  社説はまず、中国政府が株価下落を食い止めるため、市場に介入してから3週間で株価が再び暴落し始めた点を重視。「中国政府はいま、憂鬱な選択に直面している。さらに市場を下支えして深みにはまるか、それとも仮面がはがれ落ちるのに任せるかだ」と切り込んだ。これは、「中国の為政者たちがこれまで直面する必要がなかったジレンマだ」と断じた。  社説は、株価の上昇で国有企業は自己資本を充実させて債務を減らし、個人投資家は保有財産を増やすはずだったと説く。株価上昇で、習近平国家主席は「市場に対する決定的な国家の役割」を宣伝することもできたはずだった。だが実態は、「消費拡大どころか、国が保証する利益を熱狂的に追い求める人の財布から資金を引き出す手段として機能した」と指摘した。  社説はさらに、「最も大きな痛手は心理的なものだ」と力説した。「中国政府は長年、経済を誘導することができたが、自らの力の限界を認めざるを得なくなるだろう」と予測。景気が減速する中、経済の信頼感に対する深刻な打撃となる可能性があるとの懸念を示した。中国政府がその場しのぎの介入を長く続けるほど、市場原理に基づいた金融市場への転換という計画はさらに先送りされ、人民元の国際化に向けた取り組みにも影響が出るという。  最後には、「仮に株価が低迷し、消費者心理に打撃を与えても、中国は株価を買い支える以外に需要を喚起する手がある」とし、さらなる介入には反対の姿勢を示した。そして、「投資家はこれから落ち着かない数週間を迎えることになる」と警告した。(ロンドン 内藤泰朗)  □ビジネス・タイムズ(シンガポール)  ■モラルの危機招いた  上海株の急落は、中国との経済関係が深まるアジア各国の株式市場にも大きな影を落とした。アジアの代表的な株価指数が軒並み下落する中で、アジアの金融センターの一角を占めるシンガポールの英字経済紙、ビジネス・タイムズは7月28日付で、「中国株式市場に必要なのは、より軽い規制だ」と題する社説を掲載。政府の介入による株価下支えの弊害を訴え、市場の自律的な調整機能を重視することが、金融市場の健全な発展に必要だと主張した。  社説は、中国当局の積極的な介入にかかわらず、27日の上海株式市場が約8年5カ月ぶりの下落率を記録したことについて、今後の展開や影響を思い切って予想するよりも「ふさわしい見方がある」と指摘した。上海市場の代表的な株価指数である上海総合指数は、2013年から今年6月までに2・5倍に上昇した。その一方で、下落が続いた6月12日から7月8日までの3週間余の低下は32%にすぎないとし、長期的なデータを踏まえた冷静かつ客観的な対応が必要だと訴えた。  一部の投資家は、株価急落の影響が株取引をしていない中国の一般市民にも「心理的な影響」を与えると警告した。だが、社説はこれに反論する形で、国営メディアによる株式購入の熱心な推奨、空売りの禁止といった形の介入は、「強硬な手段だった」と評価した。また、株価が一定の幅で下落すれば政府が介入して下支えするとの理解を投資家に与え、「モラルの危機」を作り出したと批判。中国政府の対応は、海外投資家からは支持されないと忠告した。  ただ、大型倒産を防ぎ、金融システムを安定させるため、中央銀行が利下げで市場に流動性をもたらした伝統的な措置は、「適切だった」と支持した。そして、中国の株式市場は「あるべき水準に自律的に到達させるべきだ」として、中国政府が株価急落から学び、市場への「不干渉」的な政策へ転換することに期待を込めた。(シンガポール 吉村英輝)

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