【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

2018/03/19(月)22:14

​​記事 どっしり構え慌てずV テニス大坂、成長の証し

V 【過去ログ 迫田さおり選手 その1】(187)

​​​記事 どっしり構え慌てずV テニス大坂、成長の証し  ​​ MIRAIテニスアカデミー代表 辻野隆三 2018/3/19 20:10  ついに花が開いたか。大坂なおみ(20、日清食品)の感慨深い女子テニスツアー初優勝だった。スターになるべき選手にふさわしい大坂の初優勝だった=AP ​ 大坂が本格的にツアーを転戦し始めたのが2016年。当時、彼女の世界ランキングはまだ3桁だった。だが現役時代からの知り合いで、今は解説者仲間であるメアリー・ジョー・フェルナンデス、パトリック・マッケンローらに「彼女は必ず頭角を現してくる」と言われた。将来、解説をするときに必要だからか、彼らも彼女の試合をチェックしていたし、僕に「なおみはどんな性格か」とよく聞いてきた。それにしても、こうした派手な勝ち方をするとは……。​  スターになるべき選手にふさわしい初優勝だった。今回、制したBNPパリバオープン(米インディアンウェルズ、3月5~18日)は四大大会に次ぐ規模の大会で、ビッグタイトルだ。決勝まで戦った7試合のうち初戦のマリア・シャラポワ(ロシア)、準々決勝のカロリナ・プリスコバ(チェコ)、準決勝のシモナ・ハレプ(ルーマニア)の3人の対戦相手は世界1位経験者。金星を挙げるだけにとどまらず、大会を勝ちきった。​ 勢いだけではない、レベルの高い内容だった。​ ​​ ハレプも決勝で戦ったダリア・カサキナ(ロシア)も緩急を自在に操る。多彩なショットで揺さぶり、相手に気持ちよく打たせない。いずれも大坂がこれまで苦手とするタイプで、昨年までなら相手の術中にはまってミスを連発し、自滅していたと思う。 今回は焦らずにラリーを続け、確実なチャンスが来るまで待ち、来たら強烈な一撃で仕留めていた。 「強打はあるが、ミスも多い」と思っていた相手はミスをしなくなった大坂を前にして、どうプレーしていいかわからなくなった。ハレプもカサキナも第1セットを落とすと、第2セットは迷走していまい、一方的な展開になった。​​ 強烈なサーブも大坂の武器=AP​ このようにどっしり構えて、慌てなくなったのが昨季までの大坂との大きな違いだ。 昨季はベースライン近くに立ち、早いタイミングでボールを打ち返していた。大坂のようなビッグサーバーで、強烈なショットがあるタイプの選手が、相手に合わせるのは「もったいない」と思っていた。体が小さく、パワーのないタイプの選手はボールの上がりはなをたたくライジングショットを多用し、マシンガンのように打ち込んで速い展開に持ち込んだ方がいい。しかし、大坂のように一発で仕留める「大砲」と呼べるタイプの選手は、時間をかけて試合を組み立てられる。そしてチャンスボールが来たら、ウィナー(決定打)を決めればいい。セリーナ・ウィリアムズ(米国)しかり、男子なら今回BNPパリバを制したファンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)やアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)しかりだ。 ​これは的確な指摘だが 前のコーチの指示で、今までは三発以内に決着をつけるというプレーをしていたのだそうだ コーチが代わって良かった ​ ​ その点、今季から大坂を指導するサーシャ・バインは格好のコーチだった。選手としては目立った成績を残せなかったが、セリーナ・ウィリアムズ(米国)の練習相手を15年まで8年間務めた。その後もビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)ら四大大会覇者の相手を務めてきた。親しみやすく、テニス界での好感度は高い。コーチという役職につくのは大坂が初めてでも、それまでトップクラスの選手を教えるコーチの指導を間近で見てきて、知識は十分ある。まだ33歳と若く、実際に選手と一緒にコートで打ち合えるのが大きい。 大坂にはさらなる進化を期待してもいい=AP 彼の指導を受けるようになってから、大坂は練習で今まで以上にたくさんのボールを打っていると思う。体が絞れており、技術的にも戦術的にも進化している。セリーナのように、自分のリズムで打つテニスに戻った。 今回の優勝を機に対戦相手からのマークはきつくなるだろう。しかし、心配はしていない。研究されても、それを打ち破るだけのショットを持っている。今大会まで大坂と3戦して一度も敗れたことがなかったハレプの準決勝第2セットでの崩れ方を見ると、「一度大坂に負けたら、勝てないかもしれない」と思っていたような気がする。 ​それほどの潜在能力の持ち主だった。 ようやく今大会、これまでトレーニングしたきたことがかみ合って大化けした。​  大坂にはさらなる進化を期待してもいい。次戦のマイアミ・オープン(米マイアミ、3月19日~4月1日)が興味深い。乾燥してボールがよく飛ぶインディアンウェルズから一転、湿気が多いマイアミではボールが重くなり、飛ばない。マイアミは大坂の本拠地とはいえ、こうした変化にすぐに適応するのはなかなか難しい。しかも1回戦の相手はセリーナ。どんな戦い方をするのか、大坂の今後を占う大会になりそうだ。(敬称略)  辻野隆三(つじの・りゅうそう) 1969年生まれ。東京都出身。ジュニアのタイトルを総なめして87年にプロ転向。94年全豪オープン出場、94年アジア大会団体銅メダルを獲得、デビス杯日本代表でも活躍。現在はテレビ解説のほか、日本テニス協会プロツアー委員会委員長などを務める。MIRAIテニスアカデミー代表。

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